薬剤師の転職面接で迷わない、正しい相手の呼び方と敬称の使い方
転職活動の面接は、ご自身の経験や能力をアピールする重要な機会ですが、同時に社会人としての基本的なビジネスマナーが評価される場でもあります。話の内容はもちろんのこと、細やかな言葉遣いの一つひとつが、ご自身の印象を大きく左右します。中でも、応募先の企業や面接官をどのように呼ぶかという「相手の呼び方」は、敬意を示す上で基本となる大切なポイントです。この記事では、薬剤師の転職面接の様々な場面で迷うことのない、正しい相手の呼び方と敬称の使い方について詳しく解説してまいります。
応募先企業の敬称:「御社」と「貴社」の使い分け
応募先企業を指す敬称として「御社」と「貴社」がありますが、この二つは明確に使い分ける必要があります。結論から申し上げますと、面接の場で使用するのは「御社(おんしゃ)」が正解です。御社は、相手への敬意を示す話し言葉ですので、面接や電話といった口頭でのコミュニケーションの際に用います。一方で、「貴社(きしゃ)」は書き言葉ですので、履歴書や職務経歴書、メールといった文書を作成する際に使用します。面接という対話の場では、「御社」と正しく使うことで、基本的なビジネスマナーを心得ていることを示すことができます。なお、応募先が病院であれば「貴院(きいん)」、薬局であれば「貴局(ききょく)」と応用することも覚えておくと良いでしょう。
面接官の呼び方の基本
面接官個人について言及する際には、どのように呼ぶのが適切でしょうか。最も丁寧で間違いがない呼び方は、お名前の後に「様」をつけた「〇〇様」です。面接の冒頭で自己紹介があった際に、お名前をきちんと聞き取り、会話の中で自然に「〇〇様がおっしゃるように」といった形で使用できると、相手への敬意が伝わります。もし、面接官の方から「〇〇と申しますので、〇〇と呼んでください」といった指定があった場合は、それに従うのが良いでしょう。お名前が聞き取れなかったり、名札がなかったりする場合には、無理に名前を呼ぶ必要はございません。
複数の面接官がいる場合の呼び方
面接官が複数名いらっしゃる場合、誰に対して話しているのかを明確に意識することが大切です。質問を投げかけた特定の面接官に回答する際には、その方の方へ視線を向けながら話します。もし、その場で全員に向けて話す必要がある場合は、特定の方を指すのではなく、皆様に視線を配りながら話を進めると良いでしょう。その際、「面接官の皆様」という言葉を用いるのも丁寧な表現です。状況に応じて、誰に対する言葉なのかを意識することで、より円滑なコミュニケーションが図れます。
役職名で呼ぶ際の注意点
面接官のお名前と共に役職が紹介された場合、その呼び方には少し注意が必要です。例えば、「〇〇部長」という役職が分かっている場合、「〇〇部長様」と呼ぶのは誤りです。役職名そのものに敬意を表す意味が含まれているため、「様」をつけると二重敬語になってしまいます。この場合は、「〇〇部長」と呼ぶか、あるいはシンプルに「〇〇様」と呼ぶのが正しいマナーです。どちらを使うか迷った際には、どのような相手にも失礼にあたらない「〇〇様」という呼び方で統一するのが最も無難で丁寧な対応といえます。
言葉遣いへの配慮が信頼につながる
正しい敬称や呼び方を意識することは、相手への敬意を示すことであり、円滑なコミュニケーションの礎となります。特に、正確さと丁寧な対応が求められる薬剤師という職業においては、こうした細やかな言葉遣いへの配慮が、ご自身の信頼性を高めることにも繋がります。しかし、面接本番の緊張した場面では、普段なら間違えないような基本的なマナーに不安を感じてしまうこともあるかと存じます。そのような時は、転職を専門とするキャリアアドバイザーにご相談いただくのも有効な手段です。ビジネスマナーの基本から、模擬面接を通じた実践的な練習まで、専門家が皆様の転職活動を丁寧に支援いたします。