薬剤師の転職面接、ESの通りに答えるべき?書類以上の魅力を伝える話し方
転職活動の面接を控え、ご自身が提出したエントリーシート(ES)や職務経歴書の内容を読み返し、想定される質問への回答を準備することは、対策の基本であり、非常に重要です。その過程で、「ESに書いた文章を、一語一句その通りに、正確に答えるべきなのだろうか」という疑問を抱く方も少なくないでしょう。この記事では、ESの内容を基礎としながら、面接という対話の場でご自身の魅力を最大限に引き出すための、効果的な「受け答え」のあり方について詳しく解説いたします。
ESの「丸暗記」が与える印象
面接の場で、ESに書いた文章をそのまま暗唱するように答えることは、実はあまり推奨されません。その理由として、まず、用意された文章をただ読み上げているかのような話し方は、感情がこもりにくく、ご自身の持つ熱意や入社への強い思いが面接官に伝わりにくくなってしまう点が挙げられます。また、面接官が求めているのは、応募者との自然な対話です。一方的な発表のようになってしまうと、柔軟なコミュニケーション能力に欠ける人物という印象を与えかねません。さらに、丸暗記に頼りすぎていると、想定外の角度から深掘りする質問をされた際に言葉に詰まり、思考が停止してしまうリスクも伴います。
ESは「台本」ではなく「要約」と捉える
面接におけるESの役割を正しく理解することが、効果的な受け答えへの第一歩です。ESは、面接本番で話すべき内容を記した「台本」ではありません。ESとは、ご自身のこれまでの経験やスキル、考えなどを、限られたスペースの中に凝縮して記述した「要約版」と捉えるのが適切です。そして面接は、その要約を基に、より詳細な情報や、その行動の背景にあるご自身の人柄、思考のプロセスなどを、言葉のキャッチボールを通じて深く理解してもらうための場なのです。したがって、ESの通りに答えることを目指すのではなく、ESの内容を話の「骨子」として、そこに豊かな肉付けをしていくという意識を持つことが重要になります。
ESの内容を効果的に発展させる話し方
では、具体的にどのように話を広げていけば良いのでしょうか。最も効果的なのは、ESに記述した事実に対して、具体的なエピソードを加えて話すことです。例えば、ESに書いたご自身の強みについて説明する際に、「例えば、前職では〇〇という課題に対し、このように工夫して取り組んだ結果、△△という成果に繋がりました」といったように、背景やプロセスを詳しく語ることで、その強みに圧倒的な説得力とリアリティが生まれます。また、志望動機についても、「なぜそう考えるようになったのか」というご自身の原体験や価値観にまで言及することで、人間的な深みを伝えることができます。
「ESについて詳しく」と問われた際のポイント
面接では、「ESにご記入いただいた〇〇について、もう少し詳しく教えていただけますか」といった形で質問されることが頻繁にあります。これは、まさにESの内容を応募者自身の言葉で発展させてほしい、という面接官からのサインです。この質問に対し、「ESに記載の通りですが」と前置きしてしまうのは避けましょう。「はい、ESには〇〇と記載いたしましたが、これについて補足させていただきますと」と切り出し、前述したような具体的なエピソードや背景、その経験から得た学びなどを付け加えて説明するのが理想的な答え方です。面接官は、ESの情報をなぞってほしいのではなく、そこからは読み取れない「あなた自身の言葉」に耳を傾けたいのです。
対話力を磨き、内定を勝ち取るために
面接で高く評価されるのは、ESの内容を正確に暗唱する能力ではなく、ESを話の出発点として、面接官と円滑で深い対話ができる、優れたコミュニケーション能力です。ご自身の経歴や考えを、どのように深掘りし、どのようなエピソードを交えて話せば最も効果的なのか、その戦略を客観的な視点で練り上げるのは、ご自身一人では難しい場合もあります。そのような時は、転職の専門家であるキャリアアドバイザーにご相談ください。ESの内容を踏まえた上で、面接で話すべき内容の組み立て方から、模擬面接を通じた実践的な練習まで、皆様が自信を持って対話に臨めるよう、力強くサポートいたします。