薬剤師の転職面接、「カンペ」は必要?記憶に頼らず自信を持って話す準備術
転職活動の面接を控え、ご自身の経歴や志望動機など、伝えたいことを整理する中で、「本番でこれら全てをきちんと話せるだろうか」「緊張で頭が真っ白になってしまった時のために、カンペを用意しておきたい」と、不安に感じる方は少なくないかと存じます。万全を期したいというそのお気持ちは、真剣に面接の準備に取り組んでいるからこそ生まれるものです。しかし、結論から申し上げますと、面接の場でカンペを見ながら話すことは、原則としてビジネスマナーに反する行為と見なされます。この記事では、なぜカンペが不適切とされるのか、その理由から、カンペに頼らずとも自信を持って面接に臨むための、より効果的な準備の方法について詳しく解説いたします。
なぜ面接でカンペを使うべきではないのか
面接でカンペを見ながら話す行為は、面接官にいくつかのネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。最も大きな問題は、面接官との円滑なコミュニケーションが阻害される点です。カンペに視線を落とすことで、相手の目を見て話すという対話の基本が疎かになり、一方的な文章の読み上げになってしまいます。これでは、ご自身の持つ熱意や誠実な人柄は伝わりません。また、用意された文章に頼る姿勢は、応用力や柔軟性の欠如、あるいは準備不足と受け取られてしまうリスクも伴います。
オンライン面接(Web面接)におけるカンペのリスク
「対面でなければ、カメラの死角にカンペを置いてもバレないのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これも非常に危険な考え方です。ご自身では気づかなくても、手元や画面の横を頻繁に確認する視線の不自然な動きや、文章を読み上げているような一本調子の話し方で、経験豊富な面接官には意外と簡単に見抜かれてしまいます。そして、もし見抜かれてしまった場合、「対面でないからと気を抜いている」「誠実さに欠ける」と、対面でのカンペ使用以上に厳しい評価に繋がる可能性があることを、心に留めておくべきです。
カンペの代わりとなる「キーワードメモ」という準備法
では、カンペに頼らずに話す内容を忘れないようにするためには、どうすれば良いのでしょうか。その答えは、準備の方法そのものを変えることにあります。文章を丸ごと書き出したカンペを用意するのではなく、ご自身が話したいことの要点だけを箇条書きにした「キーワードメモ」を作成することをお勧めします。このメモは、面接中に見るためのものではなく、面接が始まる直前までに見返し、話の骨子を頭の中で整理するためのものです。例えば、自己PRであれば「傾聴力」「多職種連携」「在庫管理の改善」といったキーワードと、それに関連する象徴的なエピソードを頭の中で結びつけておくのです。これにより、文章を丸暗記するよりも記憶に定着しやすく、本番でもご自身の自然な言葉で、柔軟に話を展開することができるようになります。
それでも不安な場合の「お守り」としての活用法
どうしても手元に何かがないと不安で仕方がない、という場合は、最終手段として、前述した「キーワードメモ」を机の上に置かせてもらう、という方法も考えられます。ただし、その場合でも、面接の冒頭で「大変恐縮ですが、緊張で要点を忘れてしまいそうなので、話の骨子をまとめたメモを手元に置かせていただいてもよろしいでしょうか」と、正直に面接官に許可を得ることが絶対条件です。無断で机の上に置いたり、許可なく頻繁に見たりする行為はマナー違反です。あくまで「お守り」として手元に置き、基本的にはそれを見ずに話す努力をすることが大前提となります。
「語る力」を専門家と共に育む
面接における本当の自信は、完璧なカンペを用意することによって得られるものではありません。ご自身が伝えたい内容を深く理解し、何度も練習を重ねることで、「自分の言葉で語れる」ようになった時にこそ、生まれるものです。しかし、ご自身の数ある経験の中から、何をキーワードとして抽出し、どのように語れば最も効果的なのかを、客-観的な視点で見極めるのは難しい作業です。そのような時は、転職の専門家であるキャリアアドバイザーにご相談ください。皆様の職務経歴の棚卸しから、アピールすべきキーワードの選定、そして模擬面接を通じた「語る」練習まで、カンペに頼らない本物の自信を育むためのサポートをいたします。