薬剤師の転職面接、「高校で頑張ったこと」を問われた際の意図と答え方
転職活動の面接準備では、多くの方が大学時代の研究内容や、社会人になってからの業務経験を中心に、ご自身のキャリアの棚卸しをされることと存じます。しかし、面接本番で、時に「高校時代に最も頑張ったことは何ですか」という、少し意表を突くような質問をされ、答えに窮してしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、なぜ面接官が過去の経験を尋ねるのか、その意図を理解し、ご自身の人柄やポテンシャルを効果的にアピールするための答え方について詳しく解説いたします。
なぜ面接官は「高校時代」のことを聞くのか
転職面接、特に社会人経験がまだ浅い若手の方の面接において、なぜ面接官はあえて「高校時代」の経験について尋ねるのでしょうか。その背景には、応募者の人柄や価値観の「原点」を知りたいという意図があります。人格形成において重要な時期である高校時代に、何に情熱を注ぎ、どのように困難と向き合ったかを知ることで、その人の思考や行動の根幹にある、本来の姿を理解しようとしているのです。また、目標達成に向けてどのように努力したか、壁にぶつかった時にどう対処したかといったエピソードから、応募者のストレス耐性や課題解決能力の基本的な姿勢を見極めたいという狙いも含まれています。
エピソード選びのポイント
「高校で頑張ったこと」と聞かれても、輝かしい実績や特別な経験である必要は全くありません。面接官が知りたいのは、大会で優勝した、あるいは試験で一位を取ったといった結果そのものよりも、その目標に向かって「何を考え、どう工夫し、どのように努力したか」という、あなた自身の「プロセス」です。部活動でのチーム目標の達成に向けた努力は「協調性」や「継続力」に、苦手科目の克服といった学業での経験は「目標達成意欲」や「課題解決能力」に、それぞれ繋がります。大切なのは、その経験を通じて何を得て、その学びが現在の自分にどう活かされているかを語れるエピソードを選ぶことです。
薬剤師としての適性に繋げる答え方の構成
選んだエピソードを、自己PRとして効果的に伝えるためには、話の構成を意識することが重要です。まず、「私が高校時代に最も力を注いだのは、〇〇部の活動です」と、質問に対する結論を簡潔に述べます。次に、「当初、〇〇という目標を掲げましたが、△△という課題がありました」と、ご自身が置かれた状況と直面した課題について説明します。続けて、「その課題を解決するために、私は仲間と話し合い、〇〇という練習方法を取り入れました」というように、課題に対してご自身がどのように考え、行動したかを具体的に語ります。そして、「その結果、目標を達成することができ、この経験を通じてチームで協力することの重要性を学びました」と、行動の結果と、そこから得た学びを伝えます。最後に、「この経験で培った協調性は、患者様はもちろん、医師や看護師といった多職種の方々と連携して業務を進める上で、必ず活かせると考えております」と、その学びを薬剤師としての業務に繋げて締めくくります。
回答する際の注意点
エピソードを語る際には、いくつか注意すべき点があります。まず、結果だけを誇張して話すと、単なる自慢話と受け取られかねません。謙虚な姿勢を忘れず、あくまで努力のプロセスを中心に語ることを心がけましょう。また、「特にありません」という回答は、意欲がない、あるいは自己分析ができていないと見なされるため、どんな些細なことでも構いませんので、必ず何かしらのエピソードを準備しておくことが大切です。
過去の経験を未来のキャリアに繋げるために
「高校で頑張ったこと」という一見意外な質問は、ご自身の過去の経験を通じて、未来のポテンシャルを示すための絶好の自己PRの機会となり得ます。しかし、ご自身の古い記憶を掘り起こし、それを現在の強みや、応募先の求める薬剤師像と結びつけて、説得力のあるストーリーに仕立て上げるのは、ご自身一人では難しい作業かもしれません。そのような時は、転職の専門家であるキャリアアドバイザーにご相談ください。客観的な視点からあなたの経験の棚卸しをお手伝いし、魅力的なエピソードを発掘し、それを効果的に伝えるためのストーリー作りを力強くサポートいたします。