薬剤師の転職面接、案内された「席」はどこに座る?上座・下座のマナー
転職活動の面接で、担当者に部屋へ案内され、「どうぞ、お好きな席にお掛けください」と声をかけられた時、複数の椅子が並んでいるのを見て、どの席を選ぶべきか一瞬迷ってしまった、という経験はございませんか。何気ない行動のように思える、この「席」の選択一つにも、応募者の社会人としての常識や、相手への敬意を払う姿勢が表れる、非常に重要なビジネスマナーが含まれています。この記事では、日本のビジネス文化の基本である「上座・下座」を理解し、どのような状況でも迷うことなく、かつスマートに適切な席を選ぶためのポイントについて詳しく解説いたします。
面接の席選びの基本:「下座」に座る
まず、面接の場における席選びの絶対的な基本ルールは、応募者は「下座」に座る、ということです。面接は、応募者であるあなたが「選考していただく側」の立場です。そのため、面接官に対して敬意と謙虚な姿勢を示すために、最も入口に近い席である「下座」を選ぶのが、社会人としての鉄則です。ご自身で勝手に判断し、入口から最も遠い奥の席である「上座」に座ってしまうことは、ビジネスマナーを知らない、あるいは横柄な人物であるという、意図しないマイナスの印象を与えかねませんので、注意が必要です。
「上座」と「下座」の見分け方
では、具体的にどの席が上座で、どの席が下座になるのでしょうか。その見分け方には、いくつかの基本原則があります。最も分かりやすい原則は、部屋の入口から「最も遠い席」が上座、入口に「最も近い席」が下座である、というものです。一般的な会議室のように、テーブルを挟んで椅子が並んでいる場合は、ドア側に並んだ椅子が下座となります。もし、面接官がまだ入室しておらず、あなたが先に部屋に通された場合も、慌てて席に着くのではなく、入口に最も近い席の横で、立ったまま静かに待つのが正しい作法です。
席を勧められた際の正しい対応
席選びのマナーは、面接官とのやり取りの中にも表れます。部屋に通され、最初の挨拶を終えた後も、ご自身から勝手に椅子に座ることはせず、必ず面接官から「どうぞお掛けください」と着席を促されるのを待ちましょう。
また、面接官によっては、あなたへの配慮から、「どうぞ奥の席へ」と上座を勧めてくださる場合があります。このような場面では、その言葉にすぐに従うのではなく、一度は謙虚に辞退するのが、より丁寧なマナーとされています。「お心遣いいただきありがとうございます。ですが、こちらの下座に座らせていただきます」と伝えましょう。それでも重ねて上座を勧められた場合は、相手の配慮を無にするのも失礼にあたります。「それでは恐れ入ります。失礼いたします」と感謝を述べてから、勧められた席に座るのが、最もスマートで柔軟な対応です。
席選びの作法が薬剤師の評価に繋がる理由
上座・下座をわきまえるという作法は、単なる形式的なルールではありません。その根底にあるのは、相手の立場を尊重し、敬意を払うという「配慮の心」です。この姿勢は、日々、患者様やそのご家族、あるいは医師や看護師といった、常に敬意を持って接するべき多様な立場の方々と関わる、薬剤師という職業の根幹をなすコミュニケーションの基本と、深く通じるものがあります。面接官は、この席選びという一つの所作から、あなたが薬剤師として不可欠な「他者への敬意」という資質を、自然に身につけている人物であるかどうかを見極めているのです。
細やかな作法に、自信を持つために
面接室での席選びは、ビジネスマナーの基本であり、その知識と実践が、あなたの第一印象を大きく左右する可能性があります。本番の緊張の中で、部屋のレイアウトを瞬時に判断し、スマートに行動するためには、事前の知識と心構えが重要です。もし、こうした立ち居振る舞いの細かなマナーにご不安があれば、転職の専門家であるキャリアアドバイザーにご相談ください。模擬面接などを通じて、どのような状況でも自信を持って、かつスマートに行動できるよう、丁寧に指導し、皆様の転職活動を力強くサポートいたします。