薬剤師の転職面接、「尊敬する人」は誰？人柄と価値観を伝える答え方

転職活動の面接において、志望動機や自己PRといった定番の質問に加えて、時に「あなたの尊敬する人は誰ですか？」という、あなた自身の内面や価値観に踏み込むような質問をされることがあります。一見すると、どのように答えるべきか戸惑ってしまうこの質問ですが、実は、あなたの目指す人物像や人間性の核となる部分を伝え、面接官に深い印象を残すための、絶好の自己アピールの機会なのです。この記事では、この質問に込められた面接官の意図を理解し、「尊敬する人」というテーマを通じて、ご自身の強みや薬剤師としての適性を効果的にアピールするための答え方について詳しく解説いたします。

企業が「尊敬する人」を質問する意図

まず、なぜ企業側が「尊敬する人」について尋ねるのか、その背景にある意図を理解することが大切です。面接官は、この質問を通じて、あなたが「どのような人物に惹かれ、その人のどのような点を素晴らしいと感じるのか」を知ろうとしています。これは、あなたの行動や判断の基準となる「価値観」を理解するための、非常に重要な手がかりとなります。また、あなたがどのような人物を目指して成長していきたいのか、その「目標像」を知ることで、企業の求める人物像と合致しているか、そして入社後の成長の可能性を見極めたいと考えているのです。

誰を選ぶべきか？人物選びのポイント

「尊敬する人」として誰を挙げるかに、唯一の正解はありません。大切なのは、その人物を選んだ「理由」を、ご自身の言葉で語れることです。例えば、歴史上の偉人や著名人を挙げる場合は、多くの人が知っているため共感を得やすいですが、その人物のどのような行動や考え方に感銘を受けたのか、ご自身なりの深い解釈を述べることが重要です。また、学生時代の恩師や、前職でお世話になった上司といった身近な人物を挙げるのも、オリジナリティがあり、具体的なエピソードを交えやすいため、非常に説得力のある回答になります。一方で、ご両親を挙げること自体は間違いではありませんが、「公私の区別がついていない」と見なされるリスクも伴うため、仕事観に繋がる明確な理由が語れない場合は、避けた方が無難でしょう。

評価を高める答え方の構成術

尊敬する人について語る際は、話の構成を意識することで、より論理的で、自己PRに繋がる回答にすることができます。まず、結論として「私が尊敬する人物は、〇〇です」と、その人物の名前を明確に述べます。次に、その理由として、「〇〇という状況において、△△という行動をとった点に、強い感銘を受けました」というように、単なる功績の羅列ではなく、具体的な行動や姿勢に焦点を当てて説明します。そして、「私も〇〇氏のように、△△という姿勢を忘れず、日々の業務に取り組んでいきたいと考えております」と、ご自身がその尊敬の念を、どのように自己の成長に繋げたいかを語ります。最後に、「その姿勢は、貴社で薬剤師として働く上で、〇〇という形で必ず活かせると信じております」と、応募先企業への貢献意欲に結びつけて締めくくります。

薬剤師向けの回答例文

上記の構成に基づいた、薬剤師向けの具体的な回答例をご紹介します。「私が尊敬する人物は、野口英世です。彼が、自身のハンディキャップや数々の困難にも決して屈することなく、人類のために研究に生涯を捧げた、その不屈の探求心と粘り強さを特に尊敬しております。私も、日々の業務の中で困難な課題に直面した際に、彼の姿勢を思い出し、諦めずに解決策を探求することを常に心がけております。この粘り強さは、患者様一人ひとりに最適な薬物治療を提供するために、深く考察し続ける薬剤師の業務において、必ず活かせると考えております。」

回答する際の注意点

この質問に対して、「特にいません」と答えてしまうのは、目標がない、あるいは思考が浅い人物という印象を与えかねないため、必ず誰か一人、自信を持って語れる人物を準備しておきましょう。また、人物名だけを答えて、肝心の理由を語れなければ意味がありません。尊敬する理由を通じて、ご自身の価値観を伝えることが、この質問の最大のポイントです。

あなたの価値観を、専門家と共に言語化する

「尊敬する人」の質問は、ご自身の内面にある価値観や目標を、具体的なストーリーとして伝える絶好の自己PRの機会です。ご自身の経験や価値観と、尊敬する人物の生き様を結びつけ、さらにそれを応募先企業への貢献意欲へと繋げるという一連のストーリーを、ご自身一人で構築するのは難しいと感じるかもしれません。そのような時は、転職の専門家であるキャリアアドバイザーにご相談ください。あなたのキャリアカウンセリングを通じて、あなたの価値観の根源を探り、それを表現するのに最もふさわしい「尊敬する人」のエピソード作りを、力強くサポートいたします。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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