薬剤師の転職面接、名刺交換はするべき?正しいマナーと対応法
転職活動の面接の冒頭で、面接官から「〇〇部の〇〇です」と、丁寧に名刺を差し出されることがあります。その際に、「自分も、今勤めている会社の名刺を渡すべきなのだろうか」「受け取った名刺は、どこに置くのが正解なのだろうか」と、一瞬の対応に戸惑い、不安を感じてしまったという経験はございませんか。ビジネスの基本である名刺の扱いも、面接という特殊な場においては、普段の営業活動などとは異なる、独自の作法が求められます。この記事では、面接における名刺の正しい扱い方を理解し、どのような場面でも慌てることなく、社会人として洗練された印象を与えるための対応について詳しく解説いたします。
応募者側から名刺を渡す必要はない
まず、応募者であるあなた自身の「名刺を渡すべきか」という疑問についてです。結論から申し上げますと、転職活動の面接において、応募者側からご自身の(現職の)名刺を渡すのは、基本的には不要であり、むしろ「渡さないのがマナー」とされています。
その理由は、あなたが面接に臨んでいる立場にあります。面接は、会社の代表としてではなく、あくまで「個人」の資格で参加している場です。そのため、現職の会社名が入った名刺を渡すことは、公私の区別がついていない、という印象を与えかねません。また、面接官によっては、「まだ現在の会社に籍を置いているにもかかわらず、その名刺を転職活動という私的な目的で利用している」と、コンプライアンス意識の低さを懸念する可能性もゼロではありません。
非常に稀なケースですが、もし面接官から「よろしければ、名刺をいただけますか」と求められた場合は、「大変申し訳ございません。本日は個人の立場で参っておりますので、あいにく名刺は持ち合わせておりません」と、丁重にお断りするのが、最もスマートで正しい対応です。
面接官から名刺を渡された場合の、スマートな受け取り方
次に、面接官から名刺を差し出された際の、正しい受け取り方と、その後の扱い方についてです。この一連の所作は、あなたのビジネスマナーへの理解度を示す、非常に重要な場面です。
椅子に座っている場合は、まずその場で必ず立ち上がります。そして、相手の目を見て、「頂戴いたします」と一言述べ、両手で丁寧に名刺を受け取ります。受け取ったら、すぐにしまおうとせず、まずは記載されているお名前と部署、役職などを確認し、「〇〇部の〇〇様でいらっしゃいますね。よろしくお願いいたします」と、相手の名前を声に出して復唱します。これにより、相手への敬意と、名前をしっかりと覚えようとする真摯な姿勢を示すことができます。
そして、受け取った名刺は、面接が終わるまで、机の上の、ご自身から見て左斜め前の位置に置きます。その際、直接テーブルの上に置くのではなく、ご自身の名刺入れを座布団代わりにして、その上に乗せて置くのが、最も丁寧なマナーです。
面接終了後、名刺をしまうタイミング
面接中は、テーブルの上に置いておいた名刺ですが、それをしまうタイミングにも配慮が必要です。面接官から「どうぞ、名刺をおしまいください」といった指示があれば、その言葉に従います。もし、特に指示がない場合は、面接の質疑応答が全て終了し、退室の挨拶をするタイミングでしまうのが一般的です。「本日はありがとうございました」とお礼を述べ、一礼した後、テーブルの上の名刺を丁寧に両手で取り上げ、名刺入れにしまいます。そして、立ち上がって退室の準備をする、という流れがスムーズです。面接の途中でしまったり、帰り際に慌ててポケットに入れたり、ましてや置き忘れてしまったりするのは、重大なマナー違反となりますので、注意しましょう。
名刺の扱い方が、薬剤師としての信頼性を映す
名刺は、その人の「顔」であり、分身であると言われます。その名刺を丁寧に扱うことは、相手の人格そのものを尊重する姿勢の表れです。薬剤師は、患者様や医師、看護師など、常に相手への敬意を持って接することが求められる職業です。名刺の扱い方という基本的なビジネスマナーから、面接官は、あなたの「他者を尊重する姿勢」という、医療人として根幹となる資質を見ているのです。
細やかな所作も、プロの視点で万全に
面接における名刺の扱いは、普段のビジネスシーンとは異なる、特殊なマナーが求められます。特に、受け取った名刺の置き場所や、しまうタイミングといった細やかな所作は、知っているか知らないかで、あなたの評価を大きく左右する可能性があります。もし、こうしたビジネスマナーにご不安があれば、転職の専門家であるキャリアアドバイザーにご相談ください。模擬面接などを通じて、ご自身の立ち居振る舞いを客観的な視点からチェックし、具体的な改善指導を行うことで、あなたが自信を持って面接に臨めるよう、力強くサポートいたします。