薬剤師の転職面接、履歴書のスマートな「渡し方」で差がつく基本マナー
転職活動の面接において、ご自身の分身とも言える、履歴書や職務経歴書といった応募書類。その「渡し方」一つにも、あなたの社会人としての品格や、物事に対する丁寧な姿勢が表れることをご存知でしょうか。封筒から出すべきか、どのタイミングで、どのような言葉と共に渡せば良いのか。いざその場になると、一瞬の動作に迷ってしまう応募者の方は少なくありません。この記事では、面接官に「仕事も丁寧に進めてくれそうだ」という好印象を与える、応募書類の正しい渡し方の手順とマナーについて、一から詳しく解説いたします。
準備が9割:渡す前の「準備」のマナー
スマートな渡し方は、面接当日の朝、家を出る前の準備段階から始まっています。まず、ご自身が心を込めて作成した履歴書や職務経歴書は、運搬中に折れたり汚れたりすることがないよう、必ず新品のきれいなクリアファイルに挟んでおきましょう。これが、書類と、それを受け取る相手に対する、最初の配慮です。
そして、そのクリアファイルを、A4サイズの書類が折らずに入る、白い無地の封筒に入れます。封筒の表面には、左下に「応募書類在中」と朱書きし、裏面には、ご自身の住所と氏名を忘れずに記載しておきます。これらの準備を済ませた封筒を、面接が始まったらすぐに取り出せるよう、ビジネスバッグの外ポケットなど、分かりやすい場所に収納しておきましょう。
渡すタイミングは「相手の指示を待つ」のが基本
面接室に入室し、着席した後、どのタイミングで書類を渡せば良いのでしょうか。焦ってご自身から先に「こちらが応募書類です」と差し出すのは、マナー違反です。正しい手順は、面接官からの指示があるのを、落ち着いて待つことです。面接の冒頭で、面接官から「では、まず応募書類をいただけますでしょうか」といった言葉で、提出を求められるのが一般的です。もし、面接の終盤になっても指示がない場合は、「本日は、応募書類を持参いたしましたが、いかがいたしましょうか」と、こちらから謙虚な姿勢でお伺いを立てるのが、スマートな対応です。
美しい所作で渡す、具体的な手順
面接官から書類の提出を求められたら、いよいよ実践です。まず、カバンから封筒を取り出し、その場で封筒から、クリアファイルごと中身の書類を取り出します。ここで重要なのは、封筒そのものを相手に渡すのではない、という点です。封筒は、ご自身のカバンにしまうか、カバンの下に敷くように置きます。
次に、取り出したクリアファイルを、相手(面接官)が受け取ってすぐに読める向きに、両手で持ち替えます。そして、テーブルの上を滑らせるようにして渡すのではなく、少し身を乗り出すようにして、相手の手元まで届け、両手で丁寧に差し出します。その際、「こちらが、私の応募書類でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします」と、はっきりとした声で言葉を添えることを忘れないようにしましょう。
面接官が複数いる場合の渡し方
もし、面接官が複数名いらっしゃる場合は、それぞれの面接官に一部ずつ配って回る必要はありません。その中で、最も役職が上席と思われる方(一般的には、中央の席に座っている方)に、代表して一部をお渡しするのが基本です。その際、「皆様で、どうぞご覧ください」といった一言を添えると、より丁寧な印象になります。
書類の扱い方が、薬剤師としての信頼性を映す
履歴書や職務経歴書は、あなたのキャリアを記した、極めて重要な公式書類です。それを丁寧に、そして敬意を払って扱うあなたの姿勢は、処方箋や薬歴、あるいは医薬品そのものといった、患者様の重要な情報を、同じように丁寧かつ正確に扱うことができる人物である、という信頼性に直結します。面接官は、この書類の渡し方という、ほんの数秒の所作から、あなたの薬剤師としての資質や、仕事に対する真摯な姿勢を、既に見極め始めているのです。
細やかな作法も、プロと一緒なら万全
頭ではマナーを理解していても、本番の緊張の中で、これらの手順を慌てずに、かつ美しく実践するのは、意外と難しいものです。そのような時は、転職の専門家であるキャリアアドバイザーにご相談ください。模擬面接などを通じて、こうした立ち居振る舞いの細かなマナーについても、客観的な視点から丁寧に指導し、あなたが自信を持って面接に臨めるよう、力強くサポートいたします。