薬剤師の転職面接、「わからない時」の誠実な答え方とNG対応
転職活動の面接という、強い緊張感が伴う場。面接官からの質問に対し、「質問の意図がよく分からない…」「この質問への答えが、全く思い浮かばない…」と、頭が真っ白になってしまう。そんな、背筋に冷たい汗が流れるような経験をした、あるいは、そのような事態を想像して、不安に感じている方も少なくないでしょう。「わからない」という状況は、誰にでも起こり得ることです。しかし、その一瞬のあなたの対応一つで、面接官に与える印象は、天と地ほども変わってしまうのです。この記事では、「わからない」というピンチを、むしろあなたの誠実さや学習意欲をアピールするチャンスに変えるための、正しい対処法と心構えについて詳しく解説いたします。
面接で「わからない」状況は、主に2パターン
まず、面接で「わからない」という状況に陥るのには、主に二つの異なるパターンがあります。一つ目は、面接官の質問が抽象的であったり、専門的すぎたりして、相手が何を知りたいのか、その質問の「意図」がわからない、というパターンです。二つ目は、質問の意味はっきりと理解できるものの、それに対するご自身の知識や経験がなく、質問への「答え」がわからない、というパターンです。この二つの状況では、それぞれ取るべき対応が異なります。
【パターン1】質問の「意図」がわからない時の対処法
面接官の質問の意図が掴めない時に、最もやってはいけないのは、分かったふりをして、見当違いの答えを長々と話し始めてしまうことです。これは、コミュニケーション能力の低さや、話を聞いていないという印象を与えかねません。
このような時は、決して恥ずかしがらず、質問内容を確認するために、聞き返すことが正しいマナーです。その丁寧な確認の姿勢は、むしろ、相手との正確なコミュニケーションを心がける、誠実な態度として、ポジティブに評価されます。例えば、「大変恐縮ですが、もう一度ご質問をお伺いしてもよろしいでしょうか」とシンプルに聞き直すか、あるいは、「〇〇というご質問は、△△という理解で相違ないでしょうか」と、ご自身の解釈が合っているかを確認する形で聞き返すのが、非常にスマートな対応です。
【パターン2】質問への「答え」がわからない時の対処法
次に、質問の意味は分かるものの、その答えとなる知識や経験がない場合です。この状況で最悪の対応は、その場しのぎの嘘をついたり、曖昧な言葉でごまかしたりする「知ったかぶり」です。あなたの不誠実さは、その後の深掘りする質問によって、必ず見抜かれてしまいます。
このような時は、まず、「申し訳ございません。その点につきましては、私の勉強不足で、現時点では明確にお答えすることができません」と、ご自身の現状を正直に認める勇気を持ちましょう。その上で、ただ「分かりません」で終わらせるのではなく、「大変恐縮ですが、もしよろしければ、後ほど自分なりに調べさせていただき、改めてご報告させていただくことは可能でしょうか」というように、その場で終わらせずに、粘り強く学ぼうとする「意欲」や「向上心」を示すことが、あなたの評価を大きく高めるのです。
「わからない」への対応が、薬剤師としての資質を示す
薬剤師の日常業務は、常に「わからないこと」との遭遇の連続です。未知の医薬品情報、前例のない副作用、あるいは患者様からの難しい質問。そのような場面に直面した際に、分かったふりをしたり、曖-昧な知識で対応したりすることは、患者様の安全を脅かす、最も危険な行為です。「わからない」という事実を正直に認め、正確な情報を改めて確認し(疑義照会など)、そこから真摯に学ぼうとする姿勢こそが、信頼できる薬剤師の、最も重要な資質と言えるでしょう。面接官は、あなたの「わからない」への対応から、その薬剤師としての根幹となる誠実な姿勢を、見極めているのです。
ピンチをチャンスに変える「対応力」を、プロと共に
面接で「わからない」という状況に陥った時、パニックにならず、誠実に対応する能力は、あなたのプロフェッショナルとしての価値を証明する、重要なスキルです。しかし、本番の極度の緊張の中で、とっさに最適な言葉を選び、冷静に対応するのは、練習なしでは非常に難しいものです。転職エージェントは、模擬面接を通じて、あえて答えにくい質問や、意図的に曖昧な質問を投げかけ、そうした状況へのあなたの対応力を、徹底的に鍛えるお手伝いをいたします。「質問が分からなかった場合は、このように聞き返すと丁寧ですよ」といった、具体的な対処法を実践的に身につけることで、あらゆるピンチを、あなたの魅力を伝えるチャンスに変えることができるのです。