面接で病歴を聞かれたら?薬剤師のための上手な答え方と対処法
予期せぬ「病歴」の質問に、どう答えるか
薬剤師の転職面接の最中、予期せずご自身のプライベートな領域である「病歴」について質問され、戸惑い、どう答えるべきか言葉に詰まってしまった。そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。企業側が応募者の業務遂行能力を把握したいという意図も理解できる一方で、どこまで答えるべきか、その線引きは非常に難しい問題です。ご自身のプライバシーを守りながら、誠実に対応するためには、正しい知識と事前の準備が重要になります。
面接官が病歴を質問する意図とは
まず、なぜ企業はこのようなデリケートな質問をするのでしょうか。その主たる目的は、応募者が入社後、長期的に安定して勤務できるか、健康上の理由で業務に支障が出ないかという「業務遂行能力の確認」にあります。また、応募者の健康状態を把握し、必要な配慮を行うことで、安全に働ける環境を整えたいという意図がある場合もあります。決して、興味本位や差別を目的としたものではないケースがほとんどです。
どこまで答える義務があるのか
基本的な考え方として、あなたにすべての病歴を開示する法的な義務はありません。答えるか否かの判断基準は、ただ一つ。「その病気が、応募する業務の遂行に直接的な影響を及ぼすか否か」です。もし業務に全く影響がないのであれば、詳細を話す必要はありません。逆に、定期的な通院など、企業側に何らかの配慮をお願いする必要がある場合は、正直に伝えるのが誠実な対応と言えるでしょう。
【状況別】誠実さが伝わる上手な答え方と例文
実際に病歴について聞かれた際の、状況別の回答例をご紹介します。
業務に支障がない場合
最もシンプルで角が立たないのは、業務への影響がないことを明確に伝えることです。
「これまで大きな病気をした経験はなく、健康状態は良好です。業務の遂行に支障は全くございません」
「過去に入院経験はございますが、現在は完治しており、業務に影響が出ることはございませんのでご安心ください」
伝えるべき配慮事項がある場合
必要な配慮について、誠実に、かつ前向きな姿勢で伝えることが大切です。
「はい。現在、持病の経過観察のため定期的に通院しております。ただ、業務にご迷惑がかからないよう、休診日などに予約を入れるなど自己管理を徹底しており、日々の業務は問題なく遂行できます」
答えたくない、不適切だと感じる質問の場合
業務と無関係なプライベートな病歴について、執拗に聞かれるようなことがあれば、丁寧にお断りすることも可能です。
「業務の遂行に支障はございませんので、その点ではご安心いただきたいのですが、それ以上の詳細につきましては、プライバシーに関わることのため、回答を控えさせていただけますと幸いです」
薬剤師として、自身の健康管理能力を示す機会に
薬剤師は、人々の健康を支える専門職であると同時に、ご自身の健康管理も重要な責務の一つです。病歴に関する質問に対し、冷静に、そして論理的にご自身の状態を説明し、業務への影響がないことや、自己管理ができていることを伝えられれば、それはあなたの高い自己管理能力と誠実さの表れとして、むしろプラスの評価に繋がる可能性もあります。
デリケートな質問への対策は、プロに相談を
病歴に関する質問への対応は、個々の状況や応募先の企業によっても正解が異なり、一人で判断するのは非常に難しい問題です。薬剤師専門の転職エージェントは、守秘義務を遵守した上で、こうした個人的でデリケートな悩みにも親身に寄り添います。あなたの健康状態や懸念点を丁寧にヒアリングし、数多くの過去の事例に基づいて、どの情報を、どのように、どのタイミングで伝えるべきか、具体的なアドバイスを提供します。
まとめ
面接で病歴について聞かれた際は、慌てずに、まずは質問の意図を冷静に考えましょう。業務に支障がない限り詳細を話す義務はありませんが、伝えるべきことがある場合は、それを誠実かつ前向きに伝えることが、結果的に企業との信頼関係を築くことに繋がります。事前に正しい知識と準備をしておくことが、予期せぬ質問にも自信を持って対応するための鍵となるのです。