薬剤師の履歴書、「退社」と「退職」はどっちを使う?正しい書き分けを解説
履歴書の職歴欄を作成する際、以前勤めていた会社を辞めた事実を記すにあたり、「退社」と「退職」という二つの言葉のうち、どちらを使うのが正しいのかと迷った経験はありませんか。どちらも日常的に使われる言葉ですが、ビジネス文書である履歴書においては、その使い分けに明確なマナーが存在します。この記事では、薬剤師の転職活動における、履歴書での「退社」と「退職」の適切な使い方について詳しく解説します。
「退社」と「退職」が持つ意味の根本的な違い
まず、この二つの言葉が持つ意味の違いを正しく理解しましょう。「退社」という言葉には、実は二つの意味があります。一つは、「その日の勤務を終えて、会社から退出する」という意味です(例:「本日は18時に退社します」)。そしてもう一つが、「会社との雇用契約を終了し、その会社を辞める」という意味です。
一方で、「退職」という言葉が持つ意味は、「会社との雇用契約を終了し、その職を辞める」という一つだけです。このように、「退社」は文脈によって二通りの意味に解釈できる可能性があるのに対し、「退職」は会社を辞めるという意味しか持たない、より明確な言葉であるという違いがあります。
履歴書では「退職」を使うのが最も確実で丁寧
上記の意味の違いから、履歴書の職歴欄では「退職」という言葉を使用するのが最も一般的であり、誤解の余地がないため強く推奨されます。履歴書は、あなたのこれまでの経歴を正確に伝えるための公的な書類です。複数の意味を持つ可能性のある「退社」よりも、意味が一つに定まる「退職」を用いる方が、ビジネス文書としてより適切であるとされています。
もちろん、職歴欄の文脈で「退社」と記載したからといって、採用担当者が「今日の勤務を終えた」と誤解することはなく、会社を辞めたと理解してくれるでしょう。そのため、決定的な間違いではありません。しかし、より丁寧で正確な表現を心がけるのであれば、「退職」を選ぶのが賢明な判断です。
病院や薬局などの場合の表現
薬剤師の勤務先は、一般企業である株式会社だけでなく、医療法人や社会福祉法人など多岐にわたります。組織の形態に合わせた言葉を選ぶと、より配慮が伝わり、丁寧な印象になります。
病院やクリニックといった医療法人に勤務していた場合は、入った時を「入社」ではなく「入職(にゅうしょく)」と表現するのが一般的です。そして、辞めた時については、同様に「退職」を使用します。省庁や役所といった公務員の場合は、「入庁」や「退官」といった言葉が使われることもありますが、いずれの組織形態であっても、辞めたことを示す言葉として「退職」は共通して使える、最も汎用性の高い表現と言えます。迷った際は「退職」と記載しておけば間違いありません。
具体的な記入例
調剤薬局チェーン(株式会社)の場合
令和2年 4月 株式会社〇〇メディカル 入社
令和7年 9月 一身上の都合により退職
医療法人の病院の場合
平成30年 4月 医療法人△△会 △△総合病院 入職
令和2年 3月 一身上の都合により退職