薬剤師の転職、提出した履歴書の保管期間は?法律の定めと個人情報の扱い
薬剤師の転職活動において、ご自身の経歴や個人情報が詰まった履歴書。選考のために提出した後、「この書類は、その後どのように扱われるのだろうか」と、その保管期間や管理方法について気になった経験をお持ちの方も少なくないでしょう。特に、不採用となってしまった場合に、大切な個人情報がどうなるのかは大きな関心事です。この記事では、採用選考で提出した履歴書の保管期間について、採用された場合と不採用だった場合に分け、法律上の定めや一般的な企業の対応について詳しく解説します。
採用された場合(合格者)の履歴書の保管期間
まず、採用試験に合格し、その企業や医療法人に入社した場合、提出した履歴書は返却されることなく、企業側で保管されるのが一般的です。これは、履歴書が「労働関係に関する重要な書類」として、労働基準法第109条に基づき、保管することが法律で義務付けられているためです。
この法律により、企業は雇用した従業員の履歴書を、その従業員が在籍している期間中はもとより、退職または死亡した日から5年間(当面の間は経過措置として3年間)保管しなければなりません。この義務は、正社員だけでなく、パートやアルバイトといった全ての雇用形態の従業員に適用されます。保管された履歴書は、人事労務管理上の基礎資料として、社会保険の手続きや各種証明書の発行などに利用されます。
不採用だった場合の履歴書の保管期間
一方で、残念ながら不採用となってしまった応募者の履歴書については、企業に法律上の保管義務はありません。また、応募者に返却する義務も法的には定められていません。そのため、その後の対応は各企業や医療法人の判断に委ねられています。
しかし、多くの企業では、個人情報保護の観点や、応募者から後日問い合わせがあった場合への対応、あるいは将来的なトラブル防止の観点から、すぐに廃棄するのではなく、一定期間保管する方針をとっています。その保管期間は企業によって異なりますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月、長くても1年程度が目安とされています。
保管期間が終了した履歴書の扱い
採用・不採用にかかわらず、定められた保管期間が終了し、不要となった履歴書は、個人情報保護法に則って適切に処分されます。履歴書は極めて重要な個人情報であるため、採用選考という当初の利用目的が終了した後は、企業にはそれを安全に廃棄する責任があります。
具体的な廃棄方法としては、紙の履歴書であればシュレッダーにかけて物理的に復元不可能な状態にしたり、電子データであれば専用のソフトウェアを使って完全に削除したりするのが一般的です。したがって、企業から履歴書が返却されなかったとしても、あなたの個人情報が不適切に扱われたり、外部に流出したりする心配は、基本的にはないと考えて良いでしょう。
応募者として知っておきたいこと
近年では、個人情報保護への意識の高まりから、募集要項の中に「応募書類は返却いたしませんので、あらかじめご了承ください」といった一文を明記している企業が増えています。履歴書を送付する前に、まず募集要項を隅々まで確認し、書類の取り扱いに関する記載があるかを確認する習慣をつけましょう。
履歴書は、一度提出したら基本的には手元に戻ってこない、ということを前提として準備することが大切です。提出する前には、必ずコピーを取るか、パソコンで作成した場合はデータを大切に保管しておくようにしましょう。これは、ご自身の経歴を正確に記録しておくという意味でも、また、今後の面接対策などでご自身が記載した内容を振り返るためにも、非常に重要な習慣です。