薬剤師の転職、キャリア式職務経歴書の書き方【テンプレート付】
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、ご自身のスキルや専門性を効果的にアピールするための職務経歴書は、採用の可否を左右する非常に重要な書類です。その書き方にはいくつかの形式がありますが、特定の専門分野での経験や、多様なスキルを強調したい場合に特に有効なのが「キャリア式」と呼ばれる形式です。この記事では、あなたの強みを最大限に伝え、採用担当者の目に留まるキャリア式職務経歴書の書き方を、テンプレートを交えて詳しく解説します。
キャリア式職務経歴書とは?
キャリア式職務経歴書とは、これまでの経歴を時系列で記す一般的な「編年体形式」とは異なり、ご自身の経験やスキルを「職務分野」や「専門分野」ごとにまとめて記載する形式です。例えば、「調剤業務」「病棟業務」「在宅医療」「DI業務」といったカテゴリーに分け、それぞれの分野でどのような経験を積み、どのような実績を上げてきたのかを具体的に示します。時系列に縛られずに、ご自身が最もアピールしたい経験やスキルを最初に提示できるため、特定の専門性を強くアピールしたい場合に非常に有効です。
薬剤師の転職でキャリア式がおすすめなケース
キャリア式のフォーマットは、特に以下のような経歴を持つ薬剤師の方におすすめです。
一つ目は、特定の専門領域(がん、精神科、循環器など)での経験が豊富で、その専門性を次のキャリアでも活かしたいと考えている場合です。二つ目は、調剤業務だけでなく、DI業務や治験関連業務、後輩指導、店舗管理など、多岐にわたる業務を経験してきた方です。これらの多様なスキルを、分野ごとに整理して示すことで、ご自身の対応能力の高さを効果的にアピールできます。三つ目は、転職回数が多い方や、職歴にブランク期間がある方です。キャリア式は時系列が目立ちにくいため、キャリアの一貫性をスキル面から強調することができます。
キャリア式職務経歴書の基本テンプレートと構成
キャリア式の職務経歴書は、主に以下の項目で構成されます。Wordなどで作成する際は、A4サイズ1〜2枚程度にまとめるのが一般的です。
1. 職務要約
まず冒頭で、これまでのキャリア全体の概要を200字から300字程度で簡潔にまとめます。採用担当者はこの数行を読んで、続きを読むかどうかを判断すると言っても過言ではありません。ご自身のキャリアのハイライトや、最もアピールしたい専門性を凝縮して記載しましょう。
2. 活かせる経験・知識・スキル
次に、これまでの経験から得たスキルを箇条書きで分かりやすくまとめます。「専門知識」として特定の診療科領域の知識を挙げたり、「業務スキル」として在宅医療やDI業務の経験を記載したりします。
3. 職務経歴詳細(キャリア別)
ここがキャリア式職務経歴書の核となる部分です。ご自身の経験を職務分野ごとにカテゴリー分けし、それぞれの分野で担当した業務内容、実績、そして工夫した点などを具体的に記述します。
(記入例)
【1】調剤業務・服薬指導
・〇〇総合病院(20〇〇年〜20〇〇年)
- 内科、外科、小児科を中心に1日平均200枚の処方箋に対応。
- 入院患者様への持参薬鑑別、定期処方鑑査、退院時服薬指導を担当。
【2】病棟薬剤業務
・〇〇総合病院(20〇〇年〜20〇〇年)
- 循環器内科病棟(50床)の担当薬剤師として、持参薬管理、配薬カートのセット、注射薬の混合調製に従事。
- 医師、看護師とのカンファレンスに週1回参加し、薬学的観点から処方提案を実施。
【3】後輩指導
・〇〇総合病院(20〇〇年〜20〇〇年)
- 新人薬剤師2名のOJT指導役を担当。調剤・監査業務の指導計画を作成し、独り立ちまでをサポート。
4. 職務経歴(会社別)
キャリア別の詳細を記載した後、所属していた企業や医療法人の概要(在籍期間、法人名、事業内容など)を時系列で簡潔に記載します。
5. 自己PR
最後に、これまでの経験全体を通して、ご自身の強みや仕事に対する姿勢をアピールします。そして、その強みを活かして、入社後にどのように貢献していきたいのかという、未来に向けたビジョンで締めくくります。
テンプレートを活用する際の注意点
テンプレートはあくまで書類作成の骨格です。採用担当者の心に響く職務経歴書を完成させるためには、その中身をあなた自身の言葉で、具体的に記述することが何よりも重要です。応募先の求める人物像を深く理解した上で、ご自身のどの経験がその企業で貢献できるのかを、明確に結びつけて記述することが、転職成功への鍵となります。