薬剤師の転職を成功に導く、職務経歴書の作り方
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、履歴書とあわせて提出を求められる「職務経歴書」。履歴書がご自身のプロフィールを証明する公的な書類であるのに対し、職務経歴書は、これまでのキャリアで培ってきたスキルや経験、そして実績を具体的にアピールするための、いわば「プレゼンテーション資料」です。採用担当者はこの書類から、あなたが即戦力として自社で活躍できる人材かどうかを判断します。この記事では、あなたの価値を最大限に伝え、転職を成功に導くための、職務経歴書の基本的な作り方を詳しく解説します。
職務経歴書が持つ重要な役割
まず理解すべきは、履歴書と職務経歴書が持つ役割の根本的な違いです。履歴書は、学歴や職歴といった事実を客観的に示すものです。一方、職務経歴書は、あなたがこれまでのキャリアで「どのような業務に、どのように取り組み、どのような成果を上げてきたのか」を、より具体的に、そして主体的にアピールするための書類です。特に、即戦力が求められる中途採用において、採用担当者は職務経歴書から、あなたの専門性やスキル、そして入社後の貢献度を具体的にイメージしようとします。質の高い職務経歴書は、書類選考の通過率を高めるだけでなく、面接での質疑応答を有利に進めるための土台となります。
作成を始める前の基本ルール
職務経歴書を作成する際は、まず全体の体裁を整えるための基本ルールを確認しましょう。作成は、手書きではなくパソコンのWordなどで作成するのが一般的です。用紙のサイズは、ビジネス文書の標準であるA4サイズを選び、情報量に応じて1枚から2枚程度にまとめるのが読みやすいボリュームとされています。そして、履歴書と同様に、日付の表記は「西暦」か「和暦」のどちらかに必ず統一してください。フォントは明朝体が基本で、文字サイズは10.5から11ポイント程度が見やすいでしょう。
採用担当者の心を掴む「職務要約」の作り方
採用担当者は非常に多忙であり、職務経歴書の冒頭に記載された「職務要約」を読んで、続きを読むかどうかを判断すると言っても過言ではありません。ここは、あなたのキャリア全体の「あらすじ」を200字から300字程度で簡潔に伝える、最も重要な項目です。これまでの経験の中から、応募先の求人で最も活かせると考えるスキルや実績を凝縮して記載し、採用担当者の興味を引きつけましょう。どのような経験を積んできた薬剤師で、どのような強みを持っているのかが、この数行で伝わるように意識することが大切です。
経験を具体的に示す「職務経歴」の作り方
職務経歴のセクションでは、これまでの勤務先ごとに、在籍期間、法人名、事業内容、そして具体的な職務内容と実績を記載します。単に業務内容を羅列するのではなく、「どのような工夫をしたか」「どのような成果に繋がったか」を具体的に示すことが、他の応募者との差別化に繋がります。「〇〇を提案し、待ち時間を平均〇分短縮した」「後輩薬剤師〇名の指導を担当した」というように、可能であれば数字を用いて実績を示すと、より客観的で説得力のある内容になります。担当した業務内容は、応募先の求人内容と関連性の高いものから順に記載すると、アピールしたいポイントが伝わりやすくなります。
即戦力性をアピールする「活かせる経験・知識・スキル」
この項目では、これまでの経験から得たスキルを、応募先の求人内容に合わせて整理し、あなたが即戦力として貢献できることを具体的にアピールします。専門知識、PCスキル、語学力など、箇条書きで分かりやすく示すと効果的です。例えば、「専門知識」として特定の診療科領域の深い知識を挙げたり、「業務スキル」として在宅医療やDI業務の経験を記載したりします。電子薬歴の操作経験なども、即戦力性をアピールする上で有効な情報です。
意欲と将来性を示す「自己PR」
自己PR欄は、職務経歴だけでは伝えきれない、あなたの仕事に対する姿勢や熱意、そして将来性を伝えるためのスペースです。職務経歴で示した実績の背景にある、あなた自身の考えや行動原理を具体的に記述しましょう。そして、その強みを活かして、入社後にどのように貢献していきたいのかという、未来に向けたビジョンで締めくくります。なぜこの応募先でなければならないのかという、志望動機と繋がる内容にすることで、あなたのアピールはより一貫性と説得力を持つものになります。