薬剤師の初めての転職、職務経歴書の書き方完全ガイド
薬剤師として初めて転職活動を行う際、多くの方がまず戸惑うのが「職務経歴書」の作成ではないでしょうか。新卒の就職活動ではあまり馴染みのなかったこの書類ですが、即戦力が求められる中途採用の選考においては、あなたのスキルや経験、そして実績を具体的にアピールするための、極めて重要な「プレゼンテーション資料」となります。この記事では、初めて職務経歴書を作成する薬剤師の皆様が、自信を持ってご自身の価値を伝えられるよう、その基本的な作り方から、採用担当者に響く書き方のポイントまでを詳しく解説します。
なぜ職務経歴書が必要なのか?履歴書との違い
まず理解すべきは、履歴書と職務経歴書が持つ役割の根本的な違いです。履歴書は、あなたの氏名や学歴、そして薬剤師免許といった資格など、ご自身のプロフィールを証明するための「公的な書類」です。一方、職務経歴書は、これまでのキャリアで「どのような業務に、どのように取り組み、どのような成果を上げてきたのか」を、より具体的に、そして主体的にアピールするための書類です。採用担当者はこの職務経歴書から、あなたが自社で活躍してくれる具体的なイメージを描こうとしているのです。
作成を始める前の基本ルール
職務経歴書を作成する際は、まず全体の体裁を整えるための基本ルールを確認しましょう。作成は、手書きではなくパソコンのWordなどで作成するのが一般的です。用紙のサイズは、ビジネス文書の標準であるA4サイズを選び、情報量に応じて1枚から2枚程度にまとめるのが読みやすいボリュームとされています。そして、履歴書と同様に、日付の表記は「西暦」か「和暦」のどちらかに必ず統一してください。
冒頭で採用担当者の心を掴む「職務要約」
採用担当者は非常に多忙であり、職務経歴書の冒頭に記載された「職務要約」を読んで、続きを読むかどうかを判断すると言っても過言ではありません。ここは、あなたのキャリア全体の「あらすじ」を200字から300字程度で簡潔に伝える、最も重要な項目です。初めての転職であれば、これまでの経験を正直に、かつ分かりやすくまとめることを意識しましょう。
記入例:
〇〇大学薬学部卒業後、薬剤師として5年間、株式会社〇〇メディカルにて勤務してまいりました。〇〇薬局にて、内科・小児科領域を中心に、1日平均100枚の処方箋応需と服薬指導、薬歴管理に従事し、地域医療に貢献してまいりました。特に、患者様一人ひとりに寄り添う丁寧なカウンセリングを心がけ、かかりつけ薬剤師としての信頼関係構築に努めてきました。これまでの経験で培った臨床知識とコミュニケーション能力を、貴院のチーム医療において貢献できるものと考えております。
経験を具体的に示す「職務経歴」の書き方
職務経歴のセクションでは、これまで勤務してきた薬局や病院での業務内容を具体的に記載します。初めての転職であれば、一つの勤務先について、その概要とご自身が担当した業務を詳細に記述することになります。
記入例:
勤務期間:20〇〇年4月~現在
会社名:株式会社〇〇メディカル
事業内容:調剤薬局の運営(全国〇〇店舗展開)
配属先:〇〇薬局(1日の処方箋枚数:平均100枚、応需科目:内科、小児科、皮膚科)
職務内容:
・調剤、監査、服薬指導、薬歴管理業務
・医薬品の在庫管理、発注業務
・後輩薬剤師(パートタイマー)1名のOJT指導
・患者様の待ち時間短縮のため、散薬の予製棚の整理方法を提案・実行
実績がないと感じる場合の「取り組み」の見つけ方
初めての転職では、「特筆すべき実績がない」と感じてしまう方も多いでしょう。しかし、華々しい成果だけでなく、日々の業務における小さな工夫や改善への意識も、立派なアピールポイントです。「患者様の服薬コンプライアンス向上のために、お薬カレンダーの活用を提案した」「ヒヤリハット事例をチームで共有し、再発防止策を検討した」といった、あなたの主体的な行動が分かるエピソードを具体的に記述することで、仕事への真摯な姿勢が伝わります。
意欲と将来性を示す「自己PR」
自己PR欄は、職務経歴だけでは伝えきれない、あなたの仕事に対する姿勢や熱意、そして将来性を伝えるためのスペースです。職務経歴で示した経験の背景にある、あなた自身の考えや行動原理を具体的に記述しましょう。そして、その強みを活かして、入社後にどのように貢献していきたいのかという、未来に向けたビジョンで締めくくります。初めての転職だからこそ、これからのキャリアに対する前向きな意欲を、あなた自身の言葉で表現することが何よりも重要です。