【薬剤師向け】職務経歴書の見本と項目別書き方ガイド
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、履歴書とあわせて提出を求められる「職務経歴書」。履歴書がご自身のプロフィールを証明する公的な書類であるのに対し、職務経歴書は、これまでのキャリアで培ってきたスキルや経験、そして実績を具体的にアピールするための、いわば「プレゼンテーション資料」です。採用担当者はこの書類から、あなたが即戦力として自社で活躍できる人材かどうかを判断します。この記事では、あなたの価値を最大限に伝え、転職を成功に導くための職務経歴書のお手本として、各項目の書き方を詳しく解説します。
作成を始める前の基本ルール
職務経歴書を作成する際は、まず全体の体裁を整えるための基本ルールを確認しましょう。作成は、手書きではなくパソコンのWordなどで作成するのが一般的です。用紙のサイズは、ビジネス文書の標準であるA4サイズを選び、情報量に応じて1枚から2枚程度にまとめるのが読みやすいボリュームとされています。そして、履歴書と同様に、日付の表記は「西暦」か「和暦」のどちらかに必ず統一してください。
冒頭で採用担当者の心を掴む「職務要約」
採用担当者は非常に多忙であり、職務経歴書の冒頭に記載された「職務要約」を読んで、続きを読むかどうかを判断すると言っても過言ではありません。ここは、あなたのキャリア全体の「あらすじ」を200字から300字程度で簡潔に伝える、最も重要な項目です。これまでの経験の中から、応募先の求人で最も活かせると考えるスキルや実績を凝縮して記載し、採用担当者の興味を引きつけましょう。
記入例:
〇〇大学薬学部卒業後、薬剤師として10年間、調剤薬局および病院にて勤務してまいりました。調剤薬局では管理薬剤師として5年間、店舗運営と後輩育成に携わり、地域密着型のかかりつけ薬剤師としての役割を追求しました。その後、△△総合病院にて病棟薬剤業務に従事し、特に循環器領域における多職種連携と薬物治療管理の経験を積んでおります。これらの経験で培った幅広い臨床知識とマネジメント能力を、貴院のさらなる発展に貢献できるものと考えております。
あなたのキャリアを具体的に示す「職務経歴」
職務経歴のセクションでは、これまでの勤務先ごとに、在籍期間、法人名、事業内容、そして具体的な職務内容と実績を記載します。単に業務内容を羅列するのではなく、「どのような工夫をしたか」「どのような成果に繋がったか」を具体的に示すことが、他の応募者との差別化に繋がります。
記入例:
勤務期間:20〇〇年4月~20〇〇年3月
会社名:株式会社〇〇メディカル
事業内容:調剤薬局の運営(全国〇〇店舗展開)
配属先:〇〇薬局
職務内容:
内科・小児科の処方箋を中心に、1日平均120枚の調剤、服薬指導、薬歴管理に従事いたしました。20〇〇年4月より管理薬剤師に就任し、医薬品の在庫管理や後輩薬剤師2名の指導・育成も担当しました。また、地域の健康相談会を自主的に企画・実施し、かかりつけ薬剤師としての信頼関係構築に貢献しました。
即戦力性をアピールする「活かせる経験・知識・スキル」
この項目では、これまでの経験から得たスキルを、応募先の求人内容に合わせて整理し、あなたが即戦力として貢献できることを具体的にアピールします。専門知識、PCスキル、語学力など、箇条書きのように分かりやすく示すと効果的です。
記入例:
専門知識
循環器領域の薬物治療に関する深い知識、抗凝固薬のモニタリング経験
業務スキル
在宅医療における訪問服薬指導、多職種連携カンファレンスでの処方提案
PCスキル
電子薬歴システム(〇〇社製)の操作、Word、Excel、PowerPoint
意欲と将来性を示す「自己PR」
自己PR欄は、職務経歴だけでは伝えきれない、あなたの仕事に対する姿勢や熱意、そして将来性を伝えるためのスペースです。職務経歴で示した実績の背景にある、あなた自身の考えや行動原理を具体的に記述しましょう。そして、その強みを活かして、入社後にどのように貢献していきたいのかという、未来に向けたビジョンで締めくくります。
記入例:
私の強みは、課題解決に向けて主体的に行動する力です。前職の病院では、病棟での残薬問題が課題となっておりました。そこで、看護師と連携し、患者様への服薬状況のヒアリング方法を標準化するとともに、退院時指導のフォーマットを改善する提案を行いました。その結果、退院後の残薬量を前年比で30%削減することに成功しました。この経験から、部署の垣根を越えて協働することの重要性を学びました。地域医療連携を重視されている貴院において、この課題解決能力を活かし、患者様にとってより安全で質の高い医療の提供に貢献したいと考えております。