病院への転職。「スキルアップ」を「志望動機」として伝える方法
薬剤師としてのキャリアを考える中で、「スキルアップ」を大きな目的として、「病院」という職場への転職を検討される方は少なくありません。調剤薬局やドラッグストアなど、他の業態では得難い経験や専門知識を求めて、病院薬剤師へのキャリアチェンジを目指すのは、ご自身の将来を見据えた非常に前向きな選択です。
薬剤師が「スキルアップ」の場として「病院」を選ぶ理由
なぜ、多くの薬剤師が「スキルアップ」の場として「病院」に魅力を感じるのでしょうか。その背景には、病院薬剤師ならではの業務内容があります。例えば、医師や看護師といった多職種と緊密に連携して治療方針に関わる「チーム医療」への参画、入院患者様のもとへ直接訪問し、ベッドサイドで薬学的管理を行う「病棟業務」、あるいは、がんや感染症、緩和ケアといった「特定の専門領域」に関する高度な知見を深められる環境などが挙げられます。これらは、薬剤師としての専門性を大きく高める「スキルアップ」に直結する経験と言えるでしょう。
「スキルアップしたい」だけでは「志望動機」として不十分な理由
しかし、いざ「病院」への転職活動を始め、面接の場で「志望動機」を伝える際、「スキルアップしたい」という言葉をそのまま使うことには、少し注意が必要です。採用担当者からすると、「スキルアップ」という言葉だけでは、「具体的に何を学びたいのか」が伝わりません。また、場合によっては、「『教えてもらう』ことが目的の、受け身な姿勢なのではないか」と受け取られてしまう可能性もゼロではないのです。
どのような「スキルアップ」かを具体的に示す
「病院」への「志望動機」として「スキルアップ」を伝える場合、その「中身」を具体的にすることが非常に重要です。「なぜ、病院でなければならないのか」を明確にする必要があります。例えば、「調剤薬局での服薬指導経験を活かしつつ、さらに臨床現場に近い病棟業務を通じて、患者様の状態変化に応じた薬学的提案ができるスキルを身につけたい」「チーム医療の一員として、多職種と連携し、専門性を発揮できる薬剤師になりたい」といったように、ご自身が「何を」学びたいのかを具体的に言葉にします。
「スキルアップ」と「病院への貢献」を結びつける伝え方
そして、「志望動機」として最も重要なのが、その「スキルアップ」が、ご自身の願望だけで終わるのではなく、最終的にその「病院」にどのような「貢献」をもたらすのかをセットで伝えることです。「スキルアップ」はあくまで手段であり、その目的は「病院の医療に貢献すること」である、という姿勢を示すのです。例えば、「貴院の充実した研修制度のもとで〇〇の専門性を高め、一日も早く戦力となり、貴院が力を入れている〇〇(例:がん治療)の分野で、患者様の治療成績向上に貢献したい」といった形で、ご自身の成長が「病院」のメリットにつながることを明確に伝えます。
これまでの経験が「スキルアップ」の土台となることを伝える
たとえ病院勤務が未経験であったとしても、これまでの調剤薬局などでの経験が全く無駄になるわけではありません。例えば、患者様とのコミュニケーション能力や、数多くの処方箋を迅速かつ正確に処理してきた経験は、病院の業務においても必ず活かせる強みです。「これまでの〇〇という経験を土台として、新たな環境で〇〇というスキルアップに挑戦したい」と伝えることで、単なる「未経験者」ではない、即戦力としての可能性もアピールできます。
本当に「スキルアップ」が実現できる「病院」かの見極め
ご自身の中で素晴らしい「志望動機」が構築できたとしても、その「スキルアップ」が本当に実現できる「病院」かどうかを見極めることは、同じくらい重要です。一口に「病院」と言っても、その規模や機能、そして何よりも「薬剤師の教育・研修体制」や「未経験者の受け入れ実績」は様々です。「スキルアップ」を掲げて入職したにもかかわらず、実際には調剤室の業務ばかりで、希望する病棟業務や専門領域に関われなかった、というミスマッチが起きてしまっては元も子もありません。
「志望動機」の整理とキャリアプランのご相談
ご自身のキャリアプランをどのように整理し、それを採用担当者に響く「志望動機」として言語化すれば良いのか。そして何より、ご自身が望む「スキルアップ」が本当に実現できる「病院」はどこなのか。こうした判断をご自身一人で行うのは、非常に難しいものです。求人票だけでは見えてこない、各病院の「教育体制の実態」や「職場の雰囲気」といった詳細な情報が必要になります。
転職エージェントと考える、あなたのキャリア
もし、「病院」への転職における「志望動機」の構築や、ご自身のキャリアプランに迷っているのであれば、一度キャリアの専門家に相談してみるのも一つの有効な手段です。薬剤師専門の転職エージェントは、多くの薬剤師のキャリアを見てきた実績と、各病院の内部事情に関する豊富な情報を持っています。皆様との対話を通じて、これまでのご経験や将来の希望を丁寧に棚卸しし、最適な「スキルアップ」の道筋と、それを実現できる「病院」探しを、客観的な視点から一緒に考えてくれるパートナーとなるでしょう。







