面接で「聞いてはいけないこと」とは？不適切な質問への対応

なぜ薬剤師の面接で質問への対応が重要か

薬剤師の転職活動において、面接はご自身の経験やスキルを伝える重要な機会です。採用担当者は、様々な質問を通して、あなたの能力や人柄、そして組織への適合性を見極めようとします。しかし、面接でされる質問の中には、応募者の適性や能力とは関係のない、プライベートな事柄や、差別につながる可能性のある不適切な内容が含まれている場合があります。特に薬剤師は、高い倫理観と人権意識が求められる職業です。面接という場で、どのような質問が不適切であり、もしそのような質問をされた場合にどう対応すべきかを理解しておくことは、ご自身の権利を守り、公正な選考を受ける上で非常に重要です。

面接で「聞いてはいけない」とされる質問（禁止・不適切事項）

職業安定法や厚生労働省の指針では、採用選考にあたって配慮すべき事項が示されており、応募者の基本的人権を尊重し、就職差別につながるような質問は避けるべきとされています。採用選考は、あくまで応募者の適性や能力に基づいて行われるべきであり、本人の努力では変えられない事柄や、本来自由であるべき事柄によって採否が左右されるべきではありません。

本籍・出生地に関すること

戸籍謄本（抄本）や住民票の提出を求めたり、本籍地について尋ねたりすることは、部落差別につながる可能性があるため不適切です。

家族に関すること

家族の職業、地位、学歴、収入、資産などについて尋ねることは、応募者本人の能力とは関係なく、家庭環境による差別につながる可能性があります。また、両親の離婚や家族構成の詳細なども同様です。

住宅状況に関すること

自宅の間取り、部屋数、近隣の施設などを尋ねることは、プライバシーの侵害にあたり、業務遂行能力とは関係ありません。

生活環境・思想信条に関すること

宗教、支持政党、人生観、尊敬する人物、購読している新聞・雑誌などを尋ねることは、思想・信条の自由を侵害する可能性があります。また、結婚や出産の予定、労働組合や学生運動への参加経験なども、本来自由であるべき個人の選択に関わることであり、不適切な質問とされます。

不適切な質問をされた場合の対応方法

もし面接中に、上記のような不適切な質問をされた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。正直に答えたくないと感じるのは当然です。その際は、慌てたり感情的になったりせず、落ち着いて対応することが大切です。

回答を控える意思を丁寧に伝える

最も基本的な対応は、回答を控える旨を丁寧に伝えることです。「申し訳ありませんが、そのご質問への回答は控えさせていただいてもよろしいでしょうか」や、「そのご質問は、私の業務遂行能力とは直接関係がないように思われますので、お答えを控えさせていただきます」といった形で、相手への敬意を払いながらも、答える義務がないことを示します。

質問の意図を確認する

場合によっては、「恐れ入りますが、そのご質問は、今回の業務とどのような関連がございますでしょうか」と、質問の意図を穏やかに尋ねてみることも一つの方法です。面接官自身が質問の不適切さに気づいていない可能性もあります。

答える範囲を限定する、あるいは質問をかわす

例えば、結婚や出産の予定について聞かれた際に、「プライベートなことですので回答は控えさせていただきます」と答えることもできますが、角が立たないように「現時点では未定ですが、入職後はまず業務に専念し、貢献したいと考えております」といった形で、仕事への意欲を示すことで質問をかわす方法もあります。

重要なのは、不適切な質問に対して毅然とした態度を示しつつも、面接全体の雰囲気を壊さないよう、冷静かつ丁寧なコミュニケーションを心がけることです。

面接での不安は転職エージェントへ

面接でどのような質問がされるのか、特に不適切な質問をされた場合にどう対応すれば良いのか、ご自身一人で準備を進めることに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。特に、応募先の企業文化や面接官のタイプによって、質問の傾向が異なる場合もあります。

もし、こうした面接対策や、企業の情報収集、面接での受け答えマナー全般に少しでも不安を感じるようであれば、転職の専門家である転職エージェントにご相談いただくのも一つの有効な手段です。転職エージェントでは、薬剤師の転職市場に精通したコンサルタントが、応募先の詳細な情報や過去の面接傾向に基づき、想定される質問とその効果的な回答方法、そして不適切な質問への対応策について、具体的なアドバイスを行います。また、模擬面接を通じて、実践的な練習を行い、自信を持って本番に臨むためのサポートを受けることも可能です。

まとめ：正しい知識で公正な選考を

面接は、応募者と企業（病院・薬局）が相互に理解を深めるための場です。不適切な質問に対しては、正しい知識を持って冷静に対応することが、ご自身の権利を守り、公正な選考を受けるために重要です。不安な点は専門家も活用しながら、万全の準備で自信を持って面接に臨みましょう。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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