病院薬剤師の給料と「手取り」の実態は？年収アップとキャリアの視点

病院薬剤師として、チーム医療への貢献や専門性の高い業務に日々従事される中で、ご自身の「給料」、そして毎月実際に銀行口座に振り込まれる「手取り」の金額について、関心をお持ちの方は非常に多いかと存じます。

求人票などに記載されている「月収」や「年収」は、いわゆる「額面給与」であり、そこから様々なものが差し引かれた後の金額が「手取り」となります。この二つの違いを正確に理解しておくことは、ご自身の現在の待遇を把握し、将来のキャリアプランを考える上で非常に重要です。

この記事では、病院薬剤師の給料（額面）と手取りの関係性や、手取り額に影響を与える要因、そして「手取り」を増やすためのキャリアの視点について詳しく解説いたします。

「給料（額面）」と「手取り」の基本的な違い

まず、「給料（額面給与）」とは、基本給に加えて、薬剤師手当、役職手当、時間外手当（残業代）、当直手当、通勤手当、住宅手当など、病院から支給される全ての金銭の総額を指します。

一方で、「手取り」とは、この額面給与から、法律に基づいて差し引かれるものが引かれた後の金額のことです。主に、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料といった社会保険料、そして所得税や住民税といった税金が差し引かれます。

一般的に、この「手取り」の金額は、額面給与のおおよそ75%から85%程度になることが多いと言われていますが、個人の状況（扶養家族の有無など）によっても変動いたします。

病院薬剤師の「手取り」額に影響する要因

病院薬剤師の給料、特に「手取り」額について考える際、病院特有の給与体系を理解しておく必要がございます。

国立病院や公立病院、大学病院などの多くは、公務員やそれに準じた給与規定、あるいは独自の俸給表（給与テーブル）に基づいて給与が決定されます。これらの給与体系は、勤続年数に応じて着実に昇給していく「年功序列型」であることが多く、若手のうちは給与水準が低めに抑えられている傾向がございます。

そのため、他の業種（例えばドラッグストアなど）と比較した場合、月々の「手取り」額が少ないと感じられることがあるかもしれません。

手取りだけでなく「総待遇」で考える重要性

病院薬剤師のキャリアを考える上で非常に重要なのが、「手取り」の額面だけでなく、福利厚生を含めた「総待遇」で判断するという視点です。

病院（特に規模の大きな公的病院や大学病院）は、月々の給料（手取り）が仮に低めであったとしても、それを補って余りある手厚い福利厚生が用意されているケースが少なくありません。

例えば、充実した住宅手当（場合によっては職員寮）、家族手当、しっかりとした退職金制度、手厚い院内保育や育児支援制度、長期的な雇用の安定性などです。これらを目に見える「手取り」額と合わせて考慮しなければ、その職場の本当の価値を見誤ってしまう可能性がございます。

病院薬剤師が「手取り」を増やすキャリア戦略

もし、福利厚生などを考慮しても、なおご自身の現在の「手取り」額について、ご不満や将来への不安を感じていらっしゃるのであれば、それはご自身のキャリアプランを見直す良い機会かもしれません。

一つの道は、現在の病院内でキャリアアップを目指し、主任、係長、薬剤部長といった管理職のポジションに就くことです。役職手当が加算されることで、額面給与が上がり、結果として手取り額も増加します。

しかし、現在の職場の給与体系や昇進の制度自体に限界を感じていらっしゃる場合には、よりご自身のスキルや経験を正当に評価し、高い給与水準を提示する職場へ「転職」することが、最も現実的かつ効果的な手段となることも少なくありません。

転職による年収（手取り）アップの可能性

同じ病院薬剤師であっても、転職によって年収（手取り）が改善されるケースは多くございます。例えば、経営が安定している私立病院グループや、薬剤師が不足している地域の病院では、現在の職場よりも高い給与条件が提示されることがございます。

あるいは、病院で培った臨床経験や専門知識を活かし、給与水準が比較的高いとされる製薬会社（臨床開発、学術など）や、管理職候補として大手ドラッグストアへキャリアチェンジすることも、大幅な年収アップ（手取り増）を実現する現実的な手段となり得ます。

ご自身の適正な給与水準を知るために

ご自身の現在の給料（額面）や手取り額が、薬剤師の転職市場において適正な水準なのかどうかを、個人で客観的に判断することは非常に難しいものです。

特に、給与水準が高い病院の求人や、管理職のポストなどは、一般の求人サイトには掲載されない「非公開求人」として扱われることが非常に多くあります。

薬剤師の転職を専門にサポートする転職エージェントは、こうした非公開求人情報や、各病院の詳細な給与体系、福利厚生の実態（総待遇）に精通しています。専門のコンサルタントにご相談いただくことで、ご自身の希望する「手取り」額やライフプランを踏まえ、年収アップが可能な最適なキャリアパスを具体的に提案してもらうことが可能です。

また、ご自身では直接交渉しにくい給与条件についても、コンサルタントが間に入って交渉を行うことで、より良い条件での転職が実現する可能性も高まります。

ご自身の現在の「手取り」額に疑問を感じたり、将来のキャリアについてお悩みであったりする病院薬剤師の方は、一度、転職エージェントに登録し、専門家の視点からアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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