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女性薬剤師の平均年収は?男性との違い・年齢別推移とキャリアの考え方

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薬剤師は、女性にとっても専門性を活かして長く活躍できる魅力的な職業の一つです。結婚や出産といったライフイベントと仕事との両立を目指す方も多い中で、自身の年収やキャリアパスに関心を持つのは当然のことでしょう。

この記事では、女性薬剤師の平均年収に焦点を当て、男性薬剤師との比較や年齢別の推移、そして働き方やライフイベントが収入にどう影響するのか、さらに年収アップを目指すためのキャリア戦略について、一般的な情報や近年の傾向を交えながら詳しく解説していきます。

女性薬剤師の平均年収 – 全体像と男性との比較

まず、女性薬剤師の平均年収はどの程度の水準にあるのでしょうか。厚生労働省が公表している「賃金構造基本統計調査」などの最新の公的データを参照すると、女性薬剤師の平均年収はおおむね540万円~550万円程度とされています。

これは、日本の全女性労働者の平均年収(約300万円台前半)と比較すると大幅に高い水準であり、専門職としての価値が給与に反映されていることがわかります。

一方で、男性薬剤師の平均年収(約620万円~630万円程度)と比較すると、女性薬剤師の平均年収は低い傾向にあります。この男女間の年収差が生じる主な要因としては、以下のような点が考えられます。

  • 勤続年数の違い: 女性は結婚や出産、育児などでキャリアを一時中断したり、離職したりするケースがあり、平均勤続年数が男性よりも短くなる傾向があります。
  • 役職者の割合: 管理薬剤師や薬局長、企業の管理職といった比較的年収の高い役職に就いている割合が、現状では男性の方が多い傾向にあります。
  • 雇用形態の違い: 女性はライフステージの変化に合わせて、パートタイムや時短勤務といった柔軟な雇用形態を選択する割合が男性よりも高く、これが平均年収に影響しています。
  • ライフイベントの影響: 育児休業期間中は収入が減少したり、復職後も時短勤務を選択したりすることで、一時的に年収が下がる時期があるためです。

しかし、これらの要因はあくまで一般的な傾向であり、個人のキャリア選択や働く環境によって状況は大きく異なります。

【年齢別】女性薬剤師の平均年収の推移と特徴

女性薬剤師の年収も、年齢や経験を重ねることで変化していきます。

(※以下に示す年収額は、あくまで一般的な目安であり、勤務先、地域、役職、雇用形態、個人のスキルなどによって大きく異なります。)

  • 20代:キャリアのスタートと成長期
    • 平均年収:約370万円~450万円 新卒で薬剤師としてのキャリアをスタートさせる20代。初任給は他の大卒と比較して高い傾向にありますが、男女差は比較的少ない時期です。日々の業務を通じて基礎を固め、実務経験を積んでいく中で、着実に年収も上昇していきます。
  • 30代:専門性の確立とライフイベントとの両立期
    • 平均年収:約500万円~550万円 専門知識やスキルも向上し、中堅として活躍する30代。この時期に結婚や出産といったライフイベントを迎える女性も多く、働き方を見直す方も出てきます。正社員としてキャリアを継続する場合は順調に年収が伸びますが、育児休業や時短勤務などを選択すると、一時的に年収の伸びが緩やかになったり、減少したりすることもあります。
  • 40代:キャリアの充実と多様な働き方
    • 平均年収:約550万円~600万円 子育てが一段落し、再びキャリアに注力する方や、管理職として活躍する方、専門性を深めていく方など、キャリアの方向性が多様化する年代です。経験と実績が評価され、年収も安定してくる時期ですが、男性との年収差が顕著になる傾向も見られます。
  • 50代:キャリアの円熟期と経験の活用
    • 平均年収:約600万円~650万円 長年の経験と知識を活かし、組織の中核を担ったり、後進の指導・育成にあたったりする50代。女性薬剤師にとっても年収がピークを迎える時期の一つです。役職によってはさらに高い年収を得ることも可能です。
  • 60代以上:ライフワークバランスを重視した働き方へ
    • 平均年収:約550万円~600万円(フルタイムの場合) 定年後の再雇用やパートタイム勤務など、働き方がより柔軟になる年代です。フルタイムで働き続ける場合は一定の年収を維持できますが、勤務時間を調整することで、ワークライフバランスを重視した働き方を選択する方も増えます。

働き方で変わる女性薬剤師の平均年収

女性薬剤師の年収は、どのような場所で、どのような雇用形態で働くかによっても大きく異なります。

  • 調剤薬局: 女性薬剤師にとって最も一般的な勤務先の一つです。正社員の場合、平均年収は450万円~550万円程度が目安。管理薬剤師や薬局長といった役職に就けば、600万円以上を目指すことも可能です。パートタイム勤務の時給も比較的高く、働き方の選択肢が豊富です。
  • 病院薬剤師: 専門性の高い業務に携われ、チーム医療への貢献を実感できる職場です。正社員の平均年収は400万円~600万円程度で、役職や経験によって変動します。託児所を完備している病院もあり、子育てと両立しやすい環境が整っている場合もあります。
  • ドラッグストア: 調剤業務に加え、OTC医薬品の販売や健康相談、店舗運営など幅広い業務に関わります。正社員の平均年収は500万円~600万円程度と、調剤薬局や病院と比較してやや高い傾向にあります。パートや派遣など、多様な働き方が可能な場合も多いです。
  • 製薬会社など企業薬剤師: MR(医薬情報担当者)、研究開発、学術、薬事といった職種では、男女問わず高い年収が期待できます。ただし、これらの職種は高い専門性やビジネススキルが求められ、競争も激しい傾向にあります。
  • 雇用形態:
    • 正社員: 最も安定した収入とキャリアアップが見込めますが、勤務時間や責任も伴います。
    • パート・アルバイト: 時給2,000円~2,800円程度が相場で、ライフスタイルに合わせて柔軟に働けますが、賞与や退職金がない場合が多いです。
    • 派遣社員: 時給2,500円~4,000円程度と高時給が魅力ですが、雇用の安定性や福利厚生面では正社員に劣る場合があります。

女性薬剤師が年収を上げるためのキャリア戦略

女性薬剤師が自身のキャリアとライフプランに合わせて年収アップを目指すためには、以下のような戦略が考えられます。

  • 専門性の向上と資格取得: 認定薬剤師(がん専門、緩和薬物療法、在宅療養支援など)や専門薬剤師の資格を取得することで、専門性を高め、資格手当やより専門的な業務への配置、昇進に繋がる可能性があります。特に、今後需要が高まる分野の専門性は市場価値を高めます。
  • キャリアアップと役職への挑戦: 管理薬剤師、薬局長、エリアマネージャーといった管理職を目指すことは、確実な年収アップに繋がります。そのためには、日々の業務で実績を積み、リーダーシップやマネジメントスキルを磨くことが重要です。
  • 継続的な就業とスキル維持・向上: ライフイベントによる休職期間中も、可能な範囲で最新の知識をアップデートしたり、復職に向けた準備をしたりすることで、ブランクの影響を最小限に抑え、スムーズなキャリア再開と年収維持・向上を目指せます。
  • 戦略的な転職: 現在の職場で昇給やキャリアアップが見込めない場合や、より自身のスキルや経験を高く評価してくれる職場を求める場合は、転職も有効な手段です。給与水準の高い企業や、専門性を活かせるポジション、あるいは子育て支援制度が充実している企業などを選択肢に入れると良いでしょう。
  • ワークライフバランスを考慮した上での年収目標設定: 年収額だけでなく、働きがい、勤務時間、休日、福利厚生、そして家庭との両立といった要素を総合的に考慮し、自身にとって最適なバランスの取れる年収目標を設定することが大切です。

ライフイベントと年収 – 女性薬剤師の働き方の多様性

女性のキャリアにおいて、結婚、出産、育児といったライフイベントは大きな転機となり、働き方や年収に影響を与えることがあります。薬剤師の資格は、これらのライフイベントを経ても専門性を活かして働き続けやすいという大きなメリットがあります。

  • 産休・育休制度の活用: 多くの職場で産前産後休業や育児休業制度が整備されており、安心して出産・育児に専念できる環境が整いつつあります。
  • 時短勤務・パートタイムへの移行: 育児期間中は、フルタイム勤務から時短勤務やパートタイム勤務へ一時的に移行し、仕事と家庭の両立を図る女性薬剤師は少なくありません。これにより一時的に年収は減少しますが、キャリアを完全に中断することなく継続できるという利点があります。
  • 復職支援制度: 育児休業からのスムーズな職場復帰を支援するための研修制度や相談窓口を設けている企業や医療機関も増えています。
  • 子育てと両立しやすい職場の選択: 託児所が併設されている病院や、残業が少なく休暇が取りやすい薬局、在宅勤務が可能な企業など、子育て中の女性薬剤師が働きやすい環境を提供している職場を選ぶことも重要です。

ライフイベントとキャリアを両立させるためには、早い段階から自身のキャリアプランを考え、パートナーや家族と協力し、利用できる制度を積極的に活用していくことが大切です。

まとめ

女性薬剤師の平均年収は、男性薬剤師と比較すると低い傾向にありますが、日本の全女性労働者の中では高い水準にあり、専門職としての価値が社会的に認められています。年収は、年齢、経験、勤務先、雇用形態、そしてライフイベントなど、様々な要因によって変動します。

重要なのは、年収額だけに捉われるのではなく、自身のキャリアプラン、ライフスタイル、そして薬剤師としてのやりがいや社会貢献といった価値観を総合的に考慮し、主体的にキャリアをデザインしていくことです。専門性を高め、変化に柔軟に対応し、利用できる制度を賢く活用することで、女性薬剤師も納得のいく収入と充実したキャリアを築いていくことは十分に可能です。

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黒岩満(くろいわみつる)
黒岩満(くろいわみつる)
キャリアアドバイザー
専門職の就職・転職活動を支援しています。求職者に対して、求人情報の提供、応募書類の添削、面接対策、キャリアプランの作成など、様々なサポートを行っています。好きな漫画は、ブラック・ジャック。
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