薬剤師の職務経歴書、手書きはアリ?押さえておきたいポイントと注意点
薬剤師の転職活動において、職務経歴書はあなたの経験やスキルをアピールするための重要な書類です。近年、パソコンでの作成が主流となっていますが、「手書きの職務経歴書はどのように評価されるのだろうか」「手書きで作成する場合、どのような点に注意すれば良いのか」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、薬剤師が職務経歴書を手書きで作成する際の是非や、具体的な書き方、注意点について詳しく解説します。
薬剤師の職務経歴書は手書きでも良いのか?
結論から言うと、現代の転職活動において、薬剤師の職務経歴書は**パソコンでの作成が一般的であり、推奨されます。**その理由は、読みやすさ、修正の容易さ、そして企業側が情報を管理しやすい点にあります。
しかし、以下のようなケースでは手書きの職務経歴書が許容されたり、場合によっては指定されたりすることもあります。
- 応募先からの指定がある場合: 求人情報に「手書きの職務経歴書を提出」と明記されている場合は、その指示に従いましょう。
- 小規模な薬局や個人のクリニックなど: 一部の小規模な事業所では、手書きの書類が慣習として残っている場合があります。
- パソコンスキルに自信がない場合: どうしてもパソコンでの作成が難しい場合の最終手段として考えられますが、その場合でも丁寧さが求められます。
手書きのメリット・デメリット
メリット:
- 丁寧さや熱意が伝わる可能性: 一文字一文字丁寧に書かれた書類からは、作成者の誠実さや入職への熱意が伝わると感じる採用担当者もいるかもしれません。
- 個性を表現できる場合も: 字の美しさや丁寧な書き方で、良い印象を与えられる可能性があります。
デメリット:
- 読みにくくなるリスク: 字の癖やインクのかすれなどにより、内容が伝わりにくくなることがあります。
- 修正が大変: 書き損じがあった場合、最初から書き直す必要があり、時間と手間がかかります。
- 作成に時間がかかる: パソコン作成に比べて、清書に多くの時間を要します。
- ITスキルへの懸念: 業種や企業によっては、手書きであることで「基本的なPCスキルがないのでは?」と懸念される可能性があります。特に電子薬歴や各種システム化が進む現代の薬剤師業務においては、この点は無視できません。
基本的にはパソコンでの作成を推奨しますが、やむを得ず手書きで作成する場合は、デメリットを理解した上で、細心の注意を払って作成する必要があります。
薬剤師が職務経歴書を手書きで作成する際の準備
手書きで職務経歴書を作成すると決めたら、まずは以下の準備を整えましょう。
1. 用紙の選び方
市販の職務経歴書用紙、または無地や薄い罫線入りのA4サイズの白い上質な紙を選びます。コピー用紙のような薄いものではなく、ある程度の厚みがあるものが望ましいです。枚数は多くても2枚程度に収まるように内容を整理しましょう。
2. 筆記用具の選び方
黒のボールペンまたは万年筆を使用します。インクの色は黒が基本です。消せるボールペンや鉛筆書きはNGです。ペンの太さは0.5mm~0.7mm程度が一般的で、文字が潰れず、かつ細すぎないものを選びましょう。インクがにじみにくいもの、かすれにくいものを選ぶことも大切です。
3. 下書きの重要性
いきなり清書するのではなく、必ず鉛筆で薄く下書きをしましょう。誤字脱字やレイアウトのバランスを確認し、修正箇所があればこの段階で直しておきます。下書きの線は、清書後にきれいに消せるように、筆圧をかけすぎないように注意してください。
4. 清書時の心構え
時間に余裕を持って、落ち着いた環境で清書に臨みましょう。焦りはミスにつながります。一文字一文字、丁寧に書くことを心がけてください。
【項目別】手書きの薬剤師職務経歴書の書き方と注意点
手書きで職務経歴書を作成する際は、特に以下の点に注意して、読みやすく丁寧な書類を目指しましょう。
全体のレイアウトと文字
- 文字の大きさ・丁寧さ: 読みやすい、ある程度の大きさの文字で、楷書で丁寧に書きましょう。走り書きや続け字は避け、一画一画を正確に書くことが重要です。
- 文字のバランス・行間・余白: 文字の大きさや間隔を均等にし、行間や上下左右の余白も適切に取りましょう。詰め込みすぎると読みにくくなります。
- 統一感: 文体(です・ます調など)や数字の表記(算用数字か漢数字か)は、書類全体で統一します。
日付・氏名・連絡先
書類の冒頭に来る情報であり、間違いは許されません。特に慎重に、正確に記載しましょう。
職務要約
パソコン作成の場合と同様に、これまでのキャリアの概要を200~300字程度で簡潔にまとめます。手書きの場合も、内容はしっかりと練り、丁寧に書き写しましょう。
職務経歴
- 薬局名・病院名・企業名の正式名称: 略称ではなく、正式名称で正確に記載します。(例:「(株)〇〇」ではなく「株式会社〇〇」)
- 業務内容や実績の記述: 箇条書きを効果的に使うと、手書きでもすっきりと見やすく整理できます。各項目の先頭を揃えるなど、見た目の美しさにも配慮しましょう。
- 例(業務内容):
・調剤業務(内服薬、外用薬、注射剤の調剤、監査) ・服薬指導(患者様への説明、副作用モニタリング、吸入指導) ・薬歴管理(電子薬歴システム〇〇への入力補助、紙薬歴管理)
- 例(業務内容):
- 数字の書き方: 処方箋枚数や在籍年数などの数字は、算用数字(1, 2, 3…)で書くのが一般的ですが、漢数字(一, 二, 三…)を用いる場合は全体で統一しましょう。見やすさを考慮すると算用数字が推奨されます。
活かせる経験・知識・スキル
薬剤師免許をはじめ、専門薬剤師・認定薬剤師資格などの資格名は、正式名称で正確に記載します。研修の修了なども同様です。
自己PR
あなた自身の言葉で、熱意を込めて丁寧に記述しましょう。手書きだからこそ、その丁寧さが自己PRの内容を補強することもあります。
手書きの職務経歴書で失敗しないための最終チェックポイント
清書が終わったら、提出前に必ず以下の点をチェックしましょう。
- 誤字脱字の徹底確認: 声に出して読んだり、一晩おいてから再度確認したり、可能であれば第三者(家族や友人など)に見てもらうのも有効です。
- インクのかすれや汚れがないか: インクがかすれていたり、手や定規でこすって汚れていたりしないか確認します。
- 文字が潰れて読みにくくなっていないか: 特に画数の多い漢字や小さな文字が潰れていないか確認しましょう。
- 全体的なバランスは整っているか: レイアウトが偏っていたり、文字の大きさが不揃いだったりしないか、全体を見渡して確認します。
- コピーを取っておく: 提出する前に必ずコピーを取り、控えとして保管しておきましょう。
手書きの職務経歴書を提出する際のマナー
- クリアファイルに入れて丁寧に扱う: 完成した職務経歴書は、汚れたり折れたりしないように、無色透明のクリアファイルに入れて丁寧に扱いましょう。
- 郵送の場合の添え状: 郵送で提出する場合、添え状も同封するのがマナーです。職務経歴書が手書きの場合、添え状も手書きで統一する方が丁寧な印象を与えることもありますが、パソコンで作成したものでも問題ありません。統一感を重視する場合は手書きが良いでしょう。
- 直接手渡す場合の注意点: 面接時などに直接手渡す場合は、クリアファイルに入れた状態で、相手が読みやすい向きにして両手で渡しましょう。
まとめ
薬剤師の職務経歴書は、パソコンでの作成が主流であり、一般的に推奨されています。しかし、応募先からの指定がある場合や特別な事情がある場合には、手書きで作成することもあるでしょう。
手書きで職務経歴書を作成する際は、何よりも「丁寧さ」が重要です。一文字一文字心を込めて書かれた書類は、あなたの誠実さや熱意を伝える助けとなるかもしれません。ただし、読みにくさや修正の困難さといったデメリットも理解し、細心の注意を払って作成に臨みましょう。
最終的には、手書きであれパソコン作成であれ、職務経歴書の内容そのものが最も重要です。これまでの経験やスキル、そして応募先への貢献意欲をしっかりと伝えられるよう、準備と作成に時間をかけましょう。