お役立ち情報

薬剤師の採用人数、その実態は?【職場別の動向から将来性まで】

sho0202

「薬剤師の採用人数は、全体でどのくらいなのだろう?」

「薬局や病院、ドラッグストアでは、それぞれ何人くらい募集があるの?」

就職・転職活動を進めるにあたり、薬剤師の採用市場の規模や動向を把握することは、自身のキャリアを考える上で非常に重要です。採用人数の多寡は、仕事の見つけやすさや、将来性を測る一つの指標となります。

この記事では、薬剤師の採用人数の全体像から、職場別の特徴、そしてその数字の背景にある要因までを掘り下げ、これからのキャリアを考える上でのヒントを解説します。

薬剤師の採用人数の全体像と動向

まず、日本全国で働く薬剤師の総数は、厚生労働省の統計によると年々増加傾向にあります。これは、薬学部の6年制移行に伴う卒業生数の増加が背景にあります。

一方で、薬剤師の需要はどうでしょうか。需要の高さを示す指標の一つに「有効求人倍率」がありますが、薬剤師の有効求人倍率は他の職種に比べて依然として高い水準を維持しています。これは、求職者一人に対して何件の求人があるかを示す数字であり、薬剤師を求める職場が数多く存在することを意味しています。

つまり、薬剤師の供給(人数)は増えているものの、それを上回る、あるいは同程度の強い需要が続いているのが現在の採用市場の全体像と言えます。ただし、地域や働き方によって、その状況は少しずつ変化しています。

【職場別】採用人数の内訳と特徴

薬剤師が活躍する職場は多岐にわたりますが、採用人数は職場によって大きく異なります。

調剤薬局

薬剤師の採用人数が最も多いのが、調剤薬局です。全国に約6万店舗以上存在し、地域医療のインフラとして欠かせない存在だからです。特に、全国展開する大手調剤薬局チェーンでは、毎年数百人規模で新卒薬剤師を採用するケースも珍しくありません。中途採用も、欠員補充や新規出店に伴い、年間を通じて活発に行われています。

病院・クリニック

病院やクリニックの採用人数は、調剤薬局に比べると限られます。大学病院や大規模な公的病院では、毎年定期的に新卒採用を行いますが、その枠は数十名程度であることが多いです。中小規模の病院では、退職者が出た際の欠員補充が中心となるため、募集は不定期かつ少数となります。専門性が求められる分、採用のハードルは高くなる傾向にあります。

ドラッグストア

調剤薬局併設型店舗の増加に伴い、ドラッグストアにおける薬剤師の採用人数は大きく伸びています。調剤業務はもちろん、OTC医薬品のカウンセリング販売を担う薬剤師の需要は非常に高く、大手企業では年間を通じて積極的な採用活動を行っています。マネジメント職へのキャリアパスも用意されているため、多様な人材を求めています。

企業(製薬会社など)

製薬会社や医薬品卸売企業などでの採用人数は、上記3つの職場に比べてごく少数です。研究開発、臨床開発(CRA)、DI業務、管理薬剤師など、職種は様々ですが、いずれも高い専門性が求められるため、採用枠は非常に限られており、狭き門と言えます。

採用人数に影響を与える要因とは?

薬剤師の採用人数は、様々な社会的な要因によって変動します。

  • 高齢化と医療需要の増大: 日本の高齢化に伴い、医薬品を必要とする人の数は増え続けています。これが、薬剤師に対する根強い需要の最大の要因です。
  • 「かかりつけ薬剤師・薬局」の推進: 国が推進する「対物業務から対人業務へ」という方針のもと、患者一人ひとりに寄り添う「かかりつけ機能」が求められています。これにより、在宅医療への参画など、薬剤師の業務範囲が拡大し、新たな人材需要が生まれています。
  • 薬学部新設と薬剤師数の増加: 薬学部の新設により、薬剤師の供給数は増加しています。これにより、特に都心部では、人気のある職場や好条件の求人に対する競争が激しくなる傾向が見られます。
  • 企業の成長戦略: 大手薬局やドラッグストアの新規出店計画は、そのまま採用人数に直結します。企業の成長戦略が、採用市場の大きな部分を動かしています。

採用人数から読み解く、これからの就職・転職活動

これらの状況を踏まえると、これからの薬剤師のキャリアを考える上で、以下の点が重要になります。

  • 「売り手市場」でも、専門性が重要に: 全体として求人は多いものの、誰でもどこにでも簡単に入れるわけではありません。特に、専門性が求められる病院や、条件の良い人気企業への就職・転職では、他の人にはない「自分の強み」が求められます。在宅医療、がん、緩和ケアといった分野の知識や経験は、今後ますます価値を高めていくでしょう。
  • 地域による需要の差を理解する: 薬剤師が充足している都心部に比べ、地方やへき地では薬剤師不足が深刻な問題です。これらの地域では、より良い条件で迎え入れられる可能性が高くなります。自身のライフプランと合わせて、働く場所を柔軟に考えることも一つの戦略です。

まとめ

薬剤師の採用人数は、働く場所によって大きく異なりますが、社会全体の需要は依然として高く、安定した職業であることに変わりはありません。しかし、薬剤師の総数が増加する中で、これからは「ただ資格を持っている」だけではなく、「専門性を持ち、主体的にキャリアを築く」という姿勢がより一層重要になってきます。

採用人数の動向を参考にしつつ、自分がどんな薬剤師になりたいのか、どんなフィールドで貢献したいのかを深く考え、満足のいくキャリアを築いていってください。

ABOUT ME
黒岩満(くろいわみつる)
黒岩満(くろいわみつる)
キャリアアドバイザー
専門職の就職・転職活動を支援しています。求職者に対して、求人情報の提供、応募書類の添削、面接対策、キャリアプランの作成など、様々なサポートを行っています。好きな漫画は、ブラック・ジャック。
記事URLをコピーしました