向いていない？ミスマッチを防ぐために知っておきたい、病院薬剤師という働き方

専門性を高め、チーム医療の最前線で活躍できる病院薬剤師は、薬剤師にとって非常に魅力的なキャリアの一つです。その一方で、いざ転職を考えたとき、「自分は本当に病院薬剤師という仕事に適性があるのだろうか」と、一度立ち止まって考えることも、後悔のないキャリア選択のためには極めて重要です。ここでは、病院薬剤師ならではの働き方の特性に焦点を当て、ご自身の価値観や志向と照らし合わせるための視点をご提供します。

定型的な業務を好む傾向

日々の業務がある程度決まった流れで進むことに、安心感や効率の良さを見出す方もいらっしゃるでしょう。しかし、病院の現場は常に変化と隣り合わせです。入院患者さまの容態の急変や、緊急手術に伴う急な処方変更など、予測不能な事態に柔軟に対応することが日常的に求められます。決まった手順で着実に業務を進めることを得意とする方にとっては、こうした環境が精神的な負担に感じられる側面があるかもしれません。

チームよりも個人での業務遂行を重視する姿勢

病院薬剤師の業務は、医師や看護師をはじめとする多職種との連携なくしては成り立ちません。常に周囲と情報を共有し、意見を交換しながら、患者さまにとっての最善策を共に見つけ出していくプロセスが中心となります。そのため、誰かと相談するよりも、まずはご自身の力で黙々と仕事に集中したい、一つの業務に深く没頭したいという志向をお持ちの場合、頻繁なコミュニケーションが求められる環境に、働きづらさを感じる可能性があります。

知識の更新よりも経験の応用を望む考え

これまでに培ってきた知識や経験を活かして、安定的に業務に取り組みたいと考えるのは自然なことです。しかし、病院で扱われる医薬品や治療法は日進月歩で進化しており、常に新しい情報を学び、知識を更新し続ける意欲が不可欠となります。学会や勉強会へ積極的に参加し、最新の知見を探求することに喜びを感じる方にとっては最適な環境ですが、継続的な学習を負担に感じてしまう場合は、他の職場の方が能力を発揮しやすいかもしれません。

ワークライフバランスを最優先する価値観

ご自身の生活やご家族との時間を大切にすることは、充実した人生を送る上で非常に重要です。病院薬剤師の勤務は、職場によっては夜勤や休日出勤、当番制の待機などが含まれることもあり、勤務時間が不規則になりがちです。もちろん、近年は労働環境の改善が進んでいる病院も増えていますが、患者さまの命を24時間体制で預かるという職務の特性上、プライベートの時間を最優先に考えたい方にとっては、希望する働き方との間に隔たりが生まれる可能性があります。

ご自身の特性に合った最適な職場選び

ここまでにご紹介した内容は、あくまで働き方の一つの側面であり、いずれかがご自身に当てはまるからといって、病院薬剤師への道が閉ざされるわけではありません。大切なのは、ご自身の持つ特性や価値観を深く理解し、それを最大限に活かせる環境を見つけ出すことです。例えば、患者さまと長く深い関係を築きたいという思いは、地域に根差した薬局でこそ輝くかもしれません。ご自身の適性を客観的に分析し、数ある選択肢の中から最適な職場を見つけ出すために、転職の専門家に相談してみるのも有効な手段です。

薬剤師としてのキャリアは多様性に満ちています。ご自身が心から「ここで働きたい」と思える場所を見つけることが、充実した職業人生の第一歩となるでしょう。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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