病院薬剤師と臨床薬剤師、その違いと現代における役割の進化
病院でのキャリアを考える際、「病院薬剤師」と「臨床薬剤師」という二つの言葉に触れ、その関係性や違いについて疑問に思ったことはないでしょうか。似ているようで少し違う、これらの言葉の背景を理解することは、ご自身の目指す薬剤師像を明確にする上で非常に役立ちます。ここでは、二つの言葉の意味と、現代の医療現場における薬剤師の役割の進化について解説します。
「働く場所」を示す病院薬剤師
「病院薬剤師」とは、その言葉が示す通り、勤務する「場所」が病院である薬剤師を指す呼称です。病院という組織に所属し、調剤、注射薬の混合調製、医薬品管理、そして後述する臨床業務など、その施設内で発生する多岐にわたる薬事業務全般を担う専門職の総称と理解することができます。これは、薬剤師の職種を勤務地によって分類した、最も広い意味での言葉です。
「業務内容」を指す臨床薬剤師
一方、「臨床薬剤師」とは、その「業務内容」に焦点を当てた言葉です。特に、調剤室での対物業務だけでなく、病棟に出て患者さまのベッドサイドへ赴き、治療に直接的に関わる薬剤師の働き方を指します。医師や看護師と共にチーム医療に参画し、薬物治療に関する専門的な提案を行ったり、患者さまと直接対話して服薬指導を行ったりといった、より臨床的な対人業務を主として担う薬剤師像を指しています。
二つの言葉がほぼ同義となった現代の医療現場
かつて、病院薬剤師の業務は調剤室内での作業が中心でした。しかし、医療の高度化と共に、薬剤師がより積極的に臨床へ関与することの重要性が認識されるようになり、その役割は大きく変化しました。現在では、国の方針としても薬剤師の病棟業務が推進されており、ほとんどの病院で「病院薬剤師」が「臨床薬剤師」としての役割を担うことが当たり前となっています。つまり、現代において、「病院薬剤師」という職務の本質は、「臨床薬剤師」として活躍することにあると言えるでしょう。二つの言葉は、ほぼ同義のものとして捉えられるようになっています。
真の臨床薬剤師を目指すための職場選び
ただし、「病院薬剤師」であれば誰でも等しく「臨床薬剤師」としての役割を深く追求できるかというと、必ずしもそうとは限りません。薬剤師が臨床業務にどれだけ時間と情熱を注げるかは、勤務する病院の理念や人員体制、そして薬剤師の役割に対する理解度に大きく左右されます。あなたが、真に患者さまの治療に貢献できる臨床薬剤師としてのキャリアを望むのであれば、薬剤師の臨床活動を積極的に支援し、その専門性を高く評価する文化を持つ病院を選ぶことが不可欠です。
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