病院薬剤師の「仕事の流れ」|一日を通じて見る、専門家としての役割
病院薬剤師の仕事に興味を持ったとき、「実際に、一日の業務はどのような流れで進んでいくのだろうか」と、具体的なイメージを知りたいと思われる方は多いでしょう。多岐にわたる専門業務を、どのようなタイムスケジュールでこなしているのか。その「仕事の流れ」を知ることは、病院薬剤師という仕事のリアルな姿を理解するための、最も良い方法です。この記事では、ある病院薬剤師の一日を追いながら、その多様な役割と専門性が発揮される仕事の流れについて、詳しくご紹介します。
一日の始まり:情報収集と準備
病院薬剤師の一日は、出勤後、まず夜間の出来事を把握することから始まります。電子カルテを確認し、夜間に入院された患者様や、処方が変更になった患者様の情報をチェックします。その後、薬剤部全体での朝礼に参加し、当直の薬剤師からの申し送り事項や、その日の業務に関する連絡事項を全員で共有します。この朝の情報収集と準備が、一日の業務をスムーズかつ安全に進めるための、重要な土台となります。
午前中の業務:正確性とスピードが求められる時間
午前中は、その日の入院患者様全員の処方薬を準備する「調剤業務」や、点滴などの「注射薬混合調製」といった、正確性とスピードが求められる業務が中心となります。特に、抗がん剤の混合調製などは、専門的な知識と高度な技術が必要とされる、非常に緊張感の高い仕事です。また、病棟担当の薬剤師は、この時間帯に医師の回診に同行し、患者様の状態を直接確認しながら、治療方針について薬学的視点から意見交換を行うこともあります。
午後の業務:患者様と向き合う、病棟での専門的役割
午後の時間帯は、多くの薬剤師が調剤室を離れ、入院患者様のいる「病棟」へと活動の舞台を移します。新たに入院された患者様のもとを訪れ、ご自宅から持参された薬の内容を確認したり、アレルギー歴などを聞き取ったりする「初回面談」は、その後の薬物治療を安全に進めるための重要な業務です。また、入院中の患者様のベッドサイドへ赴き、薬の効果や副作用について説明する「服薬指導」も、午後の中心的な仕事の一つ。医師や看護師からの薬に関する様々な問い合わせに対応するのも、病棟における薬剤師の大切な役割です。
一日の終わりと、次への備え
夕方になると、その日に行った病棟業務の内容を電子カルテに記録し、他のスタッフへ情報を共有します。そして、翌日の業務の準備や、夜勤の担当者への申し送りを行い、一日の仕事を締めくくります。病院によっては、業務終了後に、新薬に関する勉強会や、症例検討会などが開催されることもあり、日々の業務と並行して、専門家としての自己研鑽も欠かせません。
「流れ」から見える、病院選びの重要性
これまで見てきた仕事の流れは、あくまで一例です。この流れの中で、調剤業務と病棟業務のどちらに、より多くの時間を割くかは、病院の方針や薬剤師の人数によって、大きく異なります。あなたがもし、「患者様と直接関わる時間を何よりも大切にしたい」と考えるのであれば、薬剤師が一日中病棟に常駐するような体制を整えている病院を選ぶべきです。ご自身が理想とする「仕事の流れ」を実現できる職場を見つけることが、やりがいを持って働き続けるための鍵となります。
まとめ
病院薬剤師の仕事の流れは、調剤室での精密な作業から、病棟での人間的なコミュニケーションまで、非常に多岐にわたる業務が、時間と共に有機的に連携して成り立っています。それは、薬の専門家として、一日を通じて多角的に患者様の治療を支える、ダイナミックでやりがいのある働き方です。あなたの理想とするキャリアを実現できる「仕事の流れ」を持つ病院を見つけるために、ぜひ一度、各病院の内部事情に精通した、転職のプロフェッショナルに相談してみてはいかがでしょうか。