20代薬剤師のキャリアプラン:「ない」と焦る前に考えたいこと
薬剤師として社会人生活が始まり、日々の業務にも少しずつ慣れてきた20代。目の前の仕事に一生懸命取り組む中で、ふと将来のことを考えた時、「この先どのようなキャリアを歩んでいけば良いのだろう」と、具体的な道筋が思い浮かばずに立ち止まってしまうことはありませんか。同期や先輩がキャリアについて話しているのを聞き、「自分にはキャリアプランがない」と焦りを感じることもあるかもしれません。しかし、20代で明確なキャリアプランがないのは、決して珍しいことではないのです。
なぜ20代ではキャリアプランが思いつかないのか
20代は、薬剤師としての基礎を築き、一人前になるための非常に重要な時期です。新しい知識の習得やスキルの向上に追われ、目の前の業務を覚えることに精一杯で、長期的なキャリアについてじっくり考える時間的、精神的な余裕がなくても当然と言えます。また、社会人としての経験がまだ浅いため、どのようなキャリアの選択肢が存在するのか、業界全体を俯瞰して見ることが難しく、未来を具体的にイメージするための情報が不足していることも大きな要因の一つです。
無理に壮大な目標を立てる必要はない
キャリアプランというと、何か大きな目標を掲げなければならないと考えがちですが、20代のうちは、壮大なゴールを無理に設定する必要はありません。むしろ、この時期に大切なのは、日々の業務を通じてご自身の興味や関心、そして「好き」や「得意」を見つけていくことです。「患者様とじっくり話すことにやりがいを感じる」「医薬品の情報を深く掘り下げることが面白い」「チームで協力して業務を進めるのが好き」といった、日常業務の中で感じるささやかな感情こそが、ご自身のキャリアの方向性を示す大切な道しるべとなります。
まずは経験の棚卸しから始めてみる
将来が思い浮かばない時は、一度立ち止まり、これまでの経験を整理してみることをお勧めします。学生時代から今に至るまで、どのようなことに力を入れ、どのような時に成長を実感できたか。成功体験だけでなく、うまくいかなかった経験からも、ご自身の課題や価値観が見えてくるはずです。この「経験の棚卸し」を通じてご自身の現在地を把握することが、未来へ向かうための羅針盤を手に入れる第一歩となります。
視野を広げ、可能性に触れる
ご自身の経験の中だけでは、キャリアのイメージはなかなか広がりません。少しだけ視野を外に向けて、様々な情報に触れてみましょう。身近な先輩薬剤師がどのようなキャリアを歩んでいるのか話を聞いてみたり、興味のある分野の勉強会やセミナーに参加してみたりするのも良い方法です。ご自身が今まで知らなかった働き方や多様な価値観に触れることで、キャリアに対する固定観念が取り払われ、新たな興味や目標が見つかるきっかけになることも少なくありません。
専門家との対話が未来を拓く鍵になる
一人で考えたり、情報を集めたりする中で、かえって混乱してしまったり、考えがまとまらなくなったりすることもあるでしょう。そのような時、キャリア形成の専門家に相談するという選択肢があります。薬剤師のキャリア市場に精通した転職エージェントのキャリアアドバイザーは、転職を前提としていなくても、キャリアに関する相談に応じてくれます。20代の薬剤師が抱える特有の悩みや可能性を深く理解しており、客観的な視点からご自身の強みやキャリアの選択肢を一緒に整理してくれます。キャリアプランが「ない」という漠然とした不安を、未来への期待に変えるために、まずは専門家と話すことから始めてみてはいかがでしょうか。