キャリアプランに「やりたいことがない」と悩む薬剤師の方へ

薬剤師として日々の業務に真摯に取り組む中で、ふとご自身の将来を考えた時、「特にやりたいことがない」と、明確な目標が見つからずに立ち止まってしまうことはありませんか。周りの同僚や先輩が将来のビジョンについて語っているのを聞き、焦りや不安を感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、キャリアプランについて「やりたいことがない」と感じるのは、決して特別なことでも、意欲が低いわけでもないのです。

なぜ「やりたいことがない」と感じてしまうのか

まず知っていただきたいのは、キャリアプランがすぐに決まらないのは、ごく自然なことだということです。特に薬剤師の仕事は、目の前の患者様一人ひとりに対して高い集中力と責任感が求められるため、多忙な毎日の中で長期的な未来についてじっくりと考える時間的、精神的な余裕を持つことが難しい場合が多くあります。また、どのようなキャリアの選択肢が存在するのか、具体的な情報が不足しているために、未来をイメージすること自体が困難であるという側面もあります。「やりたいことがない」のではなく、まだ「見つけられていない」だけなのかもしれません。

無理に未来を描かず、まずは「今」を見つめる

将来のことが思い浮かばない時は、無理に遠くの未来を描こうとする必要はありません。まずは、ご自身の「過去」から「現在」に至るまでの道のりを、一度静かに振り返ってみることから始めてみましょう。これまでの経験の中で、どのような業務にやりがいを感じたか、どのような時に仕事の喜びや達成感を覚えたか、逆にどのようなことに課題を感じたか。心に残っている出来事を一つひとつ整理していくことで、ご自身が仕事において何を大切にしているのか、どのようなことに興味を持つのかという価値観の軸が見えてきます。

日々の業務の中に眠るキャリアの種

立派なキャリアプランを立てなければと気負う必要はありません。ご自身の未来を照らすヒントは、日々の業務の中に隠されていることが多くあります。「患者様から感謝の言葉をいただくことに何よりの喜びを感じる」「新しい医薬品の情報を集め、知識を深めるのが好き」「後輩の成長をサポートすることにやりがいを感じる」といった、日常の中で感じるささやかな感情や関心こそが、ご自身らしいキャリアを築くための大切な種となります。その小さな種を、今後どのように育てていきたいかを考えることが、未来を描く第一歩です。

一人で悩まず、専門家と対話するという選択

ご自身の内面を見つめ直しても、考えがまとまらなかったり、堂々巡りになってしまったりすることもあるでしょう。そのような時、一人で抱え込まずに、客観的な視点を持つ第三者に相談してみることをお勧めします。特に、薬剤師のキャリア市場に精通した転職エージェントのキャリアアドバイザーは、転職を前提としていなくても、キャリアに関する相談に応じてくれます。数多くの薬剤師のキャリア形成を支援してきた専門家と対話する中で、ご自身の考えが整理されたり、これまで気づかなかったご自身の強みや新たな可能性を発見できたりすることは少なくありません。「やりたいことがない」という漠然とした不安を、未来への期待に変えるために、まずは専門家と話すことから始めてみてはいかがでしょうか。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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