管理薬剤師の「勤務時間」の実態は？役割と働きやすさの視点

薬剤師としてのキャリアアップを考えた際、「管理薬剤師」という責任あるポジションは、大きな魅力とやりがいを持つステップの一つです。しかし、その一方で、「責任が重くなる分、勤務時間も長くなるのではないか」「残業が増えたり、休みが取りにくくなったりするのではないか」といった、「勤務時間」に関する不安をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、管理薬剤師の「勤務時間」の実態や、その傾向、そして職場環境による違いについて詳しく解説いたします。

管理薬剤師の役割と「勤務時間」の関係

まず、管理薬剤師は、一般の薬剤師（勤務薬剤師）とは異なり、調剤業務や服薬指導といった日常業務に加え、法的な責任を伴う「管理業務」を担います。

具体的には、店舗全体の医薬品（麻薬や向精神薬を含む）の適正な管理、在庫のコントロール、勤務する他の薬剤師やスタッフへの監督・指導、そして保健所など行政機関への各種届出や査察時の対応など、その業務は多岐にわたります。

この「管理業務」を、通常の調剤業務と並行して、いつ行うのか。これが、「勤務時間」に影響を与える最大のポイントとなります。

「勤務時間」の実態と職場による違い

「管理薬剤師」の「勤務時間」は、勤務先の業態や、その職場の体制によって大きく異なります。

調剤薬局の場合

基本的には、薬局の営業時間内でのシフト制勤務が中心となります。しかし、一般薬剤師と異なる点として、月末のレセプト確認作業や、棚卸し業務、本社への報告書作成といった「管理業務」を、薬局の営業終了後（つまり「勤務時間」外）に行う必要が出てくるケースがございます。

また、小規模な薬局で人員に余裕がない場合、スタッフの急な欠勤や退職が発生した際に、そのシフトの穴埋めを最終的に引き受ける（結果として長時間勤務や休日出勤が発生する）という、責任者としての負担が生じる可能性もあります。

ドラッグストア（調剤併設型）の場合

調剤部門の管理薬剤師であれば、基本的には調剤部門の営業時間に基づいた「勤務時間」となります。しかし、店舗全体の運営（OTCカウンセリングや、店舗スタッフの管理）にも関わる場合、店舗の営業時間に合わせた不規則なシフトとなる可能性も考慮が必要です。

ただし、大手チェーンなどでは、人員体制やサポート体制（エリアマネージャーなど）が整っており、「勤務時間」や残業時間が厳格に管理されている場合も多くございます。

企業（医薬品卸など）の場合

医薬品卸売販売業の営業所管理者といった、企業に所属する管理薬剤師の場合、その働き方は大きく異なります。取引先が医療機関や薬局となるため、オフィスカレンダー（例：平日の日勤帯、土日祝休み）に準じた「勤務時間」となるケースが一般的です。調剤薬局や病院とは異なり、規則的な勤務時間を実現しやすいキャリアと言えるでしょう。

「勤務時間」の長さは「職場環境」次第

「管理薬剤師」だからといって、必ずしも「勤務時間」が長くなる（きつくなる）わけではございません。その負担の度合いは、個人の能力よりも、その職場の「人員体制」と「サポート体制」に大きく左右されます。

スタッフの人数に十分な余裕がなく、管理薬剤師が調剤業務も管理業務も、時にはシフトの穴埋めまでも一人で背負うような職場環境では、当然ながら「勤務時間」は長くなり、負担も大きくなります。

逆に、大手企業などで人員が充足しており、管理業務をサポートする事務スタッフがいたり、エリアマネージャーが適切にフォローしてくれたりする体制が整っていれば、管理薬剤師は本来の「管理業務」に集中でき、ワークライフバランスの取れた「勤務時間」で働くことも十分に可能です。

「勤務時間」とキャリアを両立させるための転職

もし皆様が、「管理薬剤師としてのキャリアアップは目指したいが、プライベートの時間も大切にしたい」「現在の職場で、管理薬剤師としての責任だけが重く、勤務時間の負担が大きい」と感じているのであれば、それはご自身の適性の問題ではなく、現在の「職場環境」が原因かもしれません。

「管理薬剤師」のキャリアと、「安定した勤務時間」を両立できる職場へ転職することは、決して不可能ではございません。

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しかし、求人票の文面だけでは、その薬局の「実際の勤務時間」や、「平均残業時間」、「人員体制の余裕度」、「本社のサポート体制」といった、働きやすさに直結する「内部事情」を正確に把握することは困難です。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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