管理薬剤師の「リモートワーク」は可能か?その実態と新しい働き方
薬剤師の皆様がご自身のキャリアを考える際、責任ある「管理薬剤師」のポジションと、柔軟な働き方である「リモートワーク(在宅勤務)」の両方に、関心をお持ちになることもあるかもしれません。特に近年、働き方が多様化する中で、「管理薬剤師の業務をリモートワークで行うことはできないのだろうか」と、その可能性について情報を探されている方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、「管理薬剤師」の法的な役割と、「リモートワーク」の現実的な両立の可能性、そしてキャリア選択の視点について詳しく解説いたします。
「管理薬剤師」の法的な役割と「リモートワーク」の壁
まず、「管理薬剤師」は、一般の勤務薬剤師とは異なり、薬剤師法に基づき、一つの薬局や営業所(店舗)に一人必ず配置される、医薬品管理の最高責任者です。
その法的な定義は、「その薬局又は営業所を実地に管理する者」とされています。この「実地に管理する」という文言こそが、「管理薬剤師」の「リモートワーク」を困難にする最大の理由です。
管理薬剤師の業務は、調剤業務や服薬指導だけでなく、店舗全体の医薬品(特に麻薬や向精神薬など)の厳格な「現物管理」、法令遵守の徹底、勤務する他の薬剤師やスタッフへの「実地での」監督・指導、そして保健所など行政機関による立入検査(査察)時の対応など、物理的にその場にいることが前提となる業務が中核を占めます。
「フルリモート」の管理薬剤師は現実的か
こうした法的な責務から、調剤薬局やドラッグストアの「管理薬剤師」が、ご自宅などから「フルリモート」で勤務することは、現状の法解釈や実務上、ほぼ不可能であると言わざるを得ません。
医薬品の品質管理や、スタッフの監督といった「管理」業務は、現場から離れて行うことはできないのです。
「一部リモートワーク」という可能性(ハイブリッド型)
「フルリモート」が難しいとしても、「一部リモートワーク可」という働き方はどうでしょうか。
例えば、大手チェーン薬局や企業によっては、本社とのオンライン会議、報告書の作成、スタッフのシフト管理といった、PCで完結する「管理業務」の一部に限り、週に数日あるいは数時間程度、自宅での作業(在宅勤務)を許可しているケースも、無いとは言えません。
しかし、これは「管理薬剤師」だからというより、その企業の柔軟な働き方(例:全社的なリモートワーク推進)の一環として認められている場合がほとんどであり、依然として「実地での管理」が基本となります。
「リモートワーク」を重視する場合のキャリアチェンジ
もし皆様が、薬剤師としてのキャリアにおいて、「リモートワーク」という働き方を最優先に考えたい場合、「管理薬剤師」という現場の管理職とは異なるキャリアパスを検討する必要があります。
例えば、製薬会社やCRO(開発業務受託機関)における専門職です。臨床開発モニター(CRA)は、出張(医療機関への訪問)が多い業務ですが、訪問時以外の報告書作成などは「リモートワーク(在宅勤務)」を積極的に導入している企業が増えています。
また、データマネジメント(DM)やファーマコビジランス(PV)、メディカルインフォメーション(DI)といった職種も、業務の性質上、デスクワークが中心となるため、「リモートワーク」を導入しやすい傾向にあります。
ご自身のキャリアプランと転職エージェントの活用
「管理薬剤師」としてのキャリアアップと、「リモートワーク」という働き方の両立は、現状では非常に難しいと言わざるを得ません。
ご自身のキャリアプランとして、「管理薬剤師」というマネジメントの道に進むことを優先するのか、あるいは臨床現場を離れてでも「リモートワーク」が可能な企業(製薬、CROなど)への転職を目指すのか、ご自身の価値観を整理することが重要です。
理想の働き方を見つけるために
しかし、求人票の文面だけでは、その薬局がどの程度、管理薬剤師の業務負担に配慮しているのか(管理業務に集中できるか)、あるいは企業の「リモートワーク」がどの程度実質的に運用されているのかといった「内部事情」を正確に把握することは困難です。
薬剤師専門の転職エージェントは、こうした一般には公開されていない、各薬局や企業の内部事情に精通しております。「管理薬剤師」のポストは、「非公開求人」として扱われることも多くございます。
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