2025.11.04

管理薬剤師のキャリア：「製造業」という専門性の高い道

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薬剤師としてのキャリアアップを考える際、「管理薬剤師」という責任あるポジションは、多くの方が意識する一つの重要なステップです。一般的に「管理薬剤師」と聞くと、調剤薬局やドラッグストアの店舗責任者を想像されるかもしれませんが、その活躍の場はそれだけではございません。

医薬品、医薬部外品、化粧品、あるいは医療機器などの「製造業」においても、「管理薬剤師」に相当する、薬剤師の専門知識と管理能力が法的に求められる、極めて重要なポジションが多数存在します。この記事では、「製造業」で働く薬剤師の役割や仕事内容、そのキャリアの魅力について詳しく解説いたします。

Contents

「製造業」における薬剤師の法的な役割
「製造業」における管理薬剤師の主な業務内容
製造管理者としての役割
品質管理（QC）・品質保証（QA）としての役割
求められるスキルと調剤経験からの転職
「製造業」の管理薬剤師求人を探す難しさ
専門家のサポートで拓く新たなキャリア

「製造業」における薬剤師の法的な役割

調剤薬局の管理薬剤師が、主に患者様への調剤・服薬指導と、その店舗の医薬品管理を行うのに対し、「製造業」における薬剤師の役割は、患者様と直接接する臨床業務とは全く異なります。

その主な役割は、製品が「創られ（製造）」、「管理される」プロセス全体における品質と安全性を、法的な責任者として担保することにあります。薬機法に基づき、医薬品や医薬部外品などの「製造所」には、その製造や品質管理を監督する「製造管理者」の設置が義務付けられており、薬剤師はこの「製造管理者」になるための資格要件の一つとなっています。

「製造業」における管理薬剤師の主な業務内容

「製造業」における薬剤師の業務内容は、調剤業務とは全く異なり、高度な「管理」能力が求められます。

製造管理者としての役割

「製造管理者」は、その製造所における製造管理および品質管理の最高責任者です。主な業務内容は、医薬品などの製造工程が、法律（GMP：医薬品の製造管理及び品質管理の基準）や手順書（SOP）通りに厳格に運用されているかを監視・監督することです。原材料の受け入れから最終製品の完成、試験検査、出荷判定に至るまで、全てのプロセスにおける品質を担保する、非常に専門性の高い役割ですNT。

品質管理（QC）・品質保証（QA）としての役割

「製造管理者」の指揮下、あるいは連携する部門として、品質管理（QC）や品質保証（QA）も薬剤師が活躍する中心的なフィールドです。

品質管理（QC）は、製品そのものの品質を科学的にチェックする役割を担い、原材料や最終製品が規格通りかを試験（例：HPLCなどを用いた成分分析、微生物検査）します。

品質保証（QA）は、「製品が安全に製造されるための仕組み（プロセス）」全体を管理・保証する役割を担います。製造記録を厳密に照査し、製品の「出荷可否判定」を行ったり、行政（PMDAなど）の査察に対応したりするなど、その業務は多岐にわたります。

求められるスキルと調剤経験からの転職

「製造業」の管理薬剤師関連ポジションは、調剤業務や服薬指導の経験よりも、むしろ薬機法をはじめとする関連法規への深い知識、品質管理（GMP）に関する専門知識、そして分析化学や微生物学といった理化学的な知見が重視される傾向にあります。

「調剤薬局や病院での経験しかない」という薬剤師の方でも、転職することは可能でしょうか。確かに、分析機器の使用経験やGMPの知識が求められることが多く、未経験者にとってはハードルが高いのも事実です。しかし、医薬品を扱ってきた薬剤師としての「安全性」「品質」に対する高い倫理観や、「管理薬剤師」としてのマネジメント経験（スタッフ指導、在庫管理など）は、大きな強みとして評価される可能性があります。