薬剤師の転職面接:和室でのマナーと注意点
和室での面接に備える心構え
薬剤師の転職活動における面接は、多くの場合、会議室や応接室といった洋室で行われます。しかし、応募先が個人経営の薬局や、歴史のある病院、クリニックなどの場合、稀に和室(応接間など)に通されるケースも想定されます。和室には、洋室とは異なる特有のマナー(作法)が存在するため、事前に流れを理解しておくと、当日慌てずに済みます。薬剤師として求められる細やかな配慮や、TPOに応じた対応力を示す良い機会と捉え、基本的なマナーを押さえておきましょう。
入室時のマナー:襖(ふすま)の開け方と挨拶
和室の入り口が襖(ふすま)である場合、洋室のドアとは作法が異なります。まず、襖の前に正座(または座った姿勢)になり、ノックの代わりとして、引手に手をかけ軽く2〜3回音を立てるか、それが難しい場合は「失礼いたします」と声をかけます。中から「どうぞ」と返事があったら、両手で引手に手をかけ、まず少しだけ(数センチ)開けます。次に、体の向きをやや斜めにしながら、襖を必要な分だけ開けます。入室したら、面接官の方を向き直り、正座のまま「失礼いたします」と挨拶し、振り返って両手で静かに襖を閉めます。
部屋の中での移動と座る位置
和室の作法として、畳の上を歩く際は、畳のへり(縁)や敷居を踏まないように注意して歩くのが基本です。面接官から指示された座布団の場所(通常は出入り口に最も近い「下座」)まで、畳のへりを避けて静かに移動します。
座布団の正しいマナー
和室での面接において、最も重要とも言えるのが座布団の扱いです。洋室で椅子に座るタイミングと同様に、面接官から「どうぞお座りください」と勧められるまでは、座布団には座りません。座布団の横(あるいは後ろの下座側)に正座して待ちます。着席を促されたら、まず「失礼いたします」と一礼します。この時、いきなり座布団の上に座るのはマナー違反とされています。まず、座布団の下座側(通常は座布団の左側)に正座し、そこで改めて氏名を名乗り、「本日はよろしくお願いいたします」と挨拶と丁寧なお辞儀を行います。
座布団に座るタイミングと座り方
挨拶が終わり、面接官が着席する(あるいは着席を再度促す)のを確認してから、座布団に座ります。座布団に座る際は、足で踏みつけたり、立ったまま座ったりするのは厳禁です。正座のまま、両手を軽く前につき、膝をつけたまま座布団の中央まで移動します(「にじる」という動作です)。
面接中の姿勢とお辞儀の仕方
座布団の上では、面接が終了するまで背筋を伸ばした正しい正座の姿勢を保つのが基本です。足がしびれても、ご自身から姿勢を崩すのは避けましょう(もし面接官から「どうぞ楽にしてください」と勧められた場合は、「ありがとうございます。失礼いたします」と一言断り、崩しても構いません)。お辞儀は、座った状態で行います。背筋を伸ばしたまま、両手を膝の前に「ハ」の字に置き、ゆっくりと体を前に倒します。「敬礼」や「最敬礼」は深く、会釈は浅く、と丁寧に行いましょう。
退室時のマナー:座布団から下りるタイミング
面接が終了し、面接官から退室を促されたら、まずは座ったまま「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」と感謝の言葉を述べ、最も丁寧なお辞儀(最敬礼)をします。その後、立ち上がる際には、いきなり立ち上がるのではなく、まず座布団から下座側(座った時と逆側がスムーズな場合もあります)に静かに下りて(にじり出て)、再び畳の上で正座の状態になります。
最後の挨拶と退室
座布団から下りて正座した状態で、改めて「失礼いたします」と一礼してから立ち上がります。そして、襖の前まで移動し、再度面接官の方を向き直り、「失礼いたします」と立礼(立った状態でのお辞儀)をします。襖を開け、退室し、最後に襖を静かに閉めます。
特殊な場面でも安心な準備を
和室での面接は非常に稀なケースですが、もしそのような場面に遭遇しても、慌てず丁寧に対応することで、薬剤師として求められる「相手への配慮」や「TPOをわきまえる能力」を強くアピールすることができます。こうした特殊なケースも含め、面接のマナー全般に少しでも不安を感じるようであれば、転職の専門家である転職エージェントにご相談いただくのも一つの有効な手段です。転職エージェントでは、応募先の薬局や病院の雰囲気、過去の面接傾向なども把握している場合があります。万全の準備で自信を持って面接に臨むために、ぜひ一度ご登録をご検討ください。







