面接官7対1の極限プレッシャー。薬剤師が知るべき超集団面接の攻略法
7人の視線、それはあなたへの「期待」の証
薬剤師の転職活動における最終関門。面接室のドアを開けると、そこには7人もの面接官がずらりと並んでいる。その異様な光景と、四方八方から注がれる視線に、息が詰まるほどのプレッシャーを感じ、「これは圧迫面接なのではないか」と、極度の緊張に襲われるかもしれません。しかし、このような尋常ではない面接形式は、多くの場合、企業があなたという人材に、並々ならぬ関心と期待を寄せていることの、何よりの裏返しなのです。
なぜ「7対1」という面接が行われるのか
面接官が7人も同席する。その背景には、極めて明確な企業の意図が存在します。まず考えられるのは、薬剤部長や経営幹部候補、あるいは新規事業の責任者といった、会社の将来を左右するほど「極めて重要なポジション」の選考であるケースです。関係するすべての役員や部門長が、自身の目で直接あなたという人物を評価し、全会一致で採用を決定したいと考えているのです。また、本来なら何度も行うべき選考プロセスを、一度に集約することで、採用決定までの時間を大幅に短縮しようという「効率化」の目的もあります。
攻略の鍵は「視線のコントロール」と「ポジティブな心構え」
この極度のプレッシャーがかかる状況で、ご自身のパフォーマンスを最大限に発揮するためには、いくつかのコツがあります。まず、最も重要なのが「視線のコントロール」です。7人全員の顔を均等に見ようとすると、視線が定まらず、かえって落ち着きのない印象を与えてしまいます。基本は、「質問をしてくれた面接官」の目をまずはしっかりと見て、その人に対して答える姿勢を徹底しましょう。その上で、回答の冒頭と最後に、議長役と思われる中心人物や、他の面接官全体をゆっくりと見渡すように視線を配ることで、「私は、ここにいる全員と対話しています」という誠実な姿勢を伝えることができます。
そして、心の持ち方も重要です。「7人に審査されている」とネガティブに捉えるのではなく、「私の話を聞くために、7人もの会社のキーパーソンが集まってくれた」と、ポジティブに発想を転換してみましょう。
7人の誰にでも伝わる、普遍的な回答を
面接官には、現場の薬剤師もいれば、人事の専門家、そして経営のプロもいます。それぞれの知識レベルや視点が異なるため、どの立場の人が聞いても理解できる、普遍的で分かりやすい言葉で話すことを心がけましょう。現場の薬剤師にしか分からないような専門用語は避け、どの質問に対しても、まずは結論から簡潔に話すことを徹底してください。
薬剤師として試される「多職種連携」の素養
この特殊な面接形式は、実は、薬剤師に求められる重要な資質を測る上で、非常に合理的であると言えます。大規模なカンファレンスや委員会活動など、薬剤師は、立場の異なる多くの専門家を前に、専門家としての意見を述べ、合意形成を図る場面があります。7人の面接官という多様な聞き手を相手に、あなたが落ち着いて、かつ論理的に対話できる能力は、まさにこの高度なコミュニケーション能力と、多職種連携への適性を示していると評価されるのです。
未知の極限状況も、プロの「情報」と「訓練」で乗り切る
「次の面接は7対1です」。この一言を、事前に知っているのと知らないのとでは、当日の心の余裕は天と地ほどの差が生まれます。しかし、このような企業の極秘情報とも言える、特殊な選考形式の情報を、ご自身一人で入手することは絶対に不可能です。薬剤師専門の転職エージェントは、「この企業の最終面接は、社長と役員全員が出席する7対1の形式です」といった、合否を左右する極めて重要な「インテリジェンス」を、過去の実績から提供できる場合があります。
まとめ
面接官7対1という状況は、あなたの薬剤師キャリアにおいて、そう何度も訪れることのない、極限のプレッシャーがかかる場面です。しかし、それは裏を返せば、一度に多くの会社のキーパーソンに、あなたという人材の価値を直接印象付けることができる、またとない最高のチャンスなのです。正しい心構えと、プロとの徹底した事前準備があれば、そのプレッシャーを力に変え、最高の成果を掴み取ることができるでしょう。