面接で「90度法」はNG?薬剤師が知るべき、信頼される座り方と姿勢
心理学テクニック、面接での落とし穴
転職面接という極度の緊張感が支配する場で、少しでもリラックスし、ご自身の本来の力を発揮したい。その思いから、様々なコミュニケーションに関する心理学のテクニックを学んでいる、熱心な方もいらっしゃるかもしれません。その一つとして、相手と少し体の角度をずらして座ることで、対面するプレッシャーを和らげ、会話を弾みやすくするという「90度法」という手法があります。しかし、このテクニックを、転職面接というフォーマルな場で安易に使うことには、あなたの評価を致命的に下げてしまう、大きなリスクが伴うのです。
結論:転職面接において「90度法」は、絶対にNGです
まず、最も重要な結論からお伝えします。カウンセリングの場面や、あるいはプライベートでの会話において有効とされる「90度法」ですが、ビジネスのフォーマルな場、とりわけ、あなたが評価される立場にある「面接」においては、実践すべきではありません。意図的に体を斜めに向けて座るその行為は、残念ながら、あなたの評価を著しく損なう「失礼な態度」と見なされるリスクが極めて高いのです。
なぜ面接で「斜めに座る」のがマナー違反なのか
その理由は、面接という場が持つ特殊な意味合いにあります。相手とまっすぐ、真正面に向き合うことは、「あなたの話を、真剣に、そして誠実に聞いています」という、敬意と真摯さを示す、最も基本的なボディランゲージです。体を斜めに向ける、あるいは斜に構えるあなたの姿は、面接官の目には、「話を聞く気がない」「やる気のない、横柄な態度」と映ってしまう可能性が高いのです。たとえあなたにそのつもりがなくても、あらぬ誤解を生み、それだけで不合格の烙印を押されてしまうことさえあり得ます。
面接で評価される、正しい椅子の座り方
では、面接の場において、どのような座り方が最も評価されるのでしょうか。それは、奇をてらうことのない、基本に忠実な姿勢です。椅子に深く腰掛けすぎず、背もたれから拳一つ分ほど体を離し、背筋をまっすぐに伸ばします。そして、ご自身の体の中心を、常に面接官の方へと、真正面に向けること。手は、男性であれば軽く拳を握って、女性であれば指を揃えて重ねて、膝の上に置きます。このシンプルで美しい「基本姿勢」こそが、あなたの誠実さと、面接に集中しているという高い意欲を示す、最強のボディランゲージなのです。
薬剤師の「向き合う姿勢」が問われている
このマナーは、薬剤師というあなたの職業と、実は深く結びついています。薬剤師の仕事は、患者様の不安や悩みに、ただ薬を渡すだけでなく、その心にまで寄り添い、真正面から向き合い、真摯に耳を傾けることから始まります。服薬指導のカウンターで、患者様から体を斜めに向けて話を聞く薬剤師を、誰が心から信頼するでしょうか。面接で、面接官にまっすぐ向き合うあなたのその姿勢は、あなたが患者様にも同じように真摯に向き合える、信頼できる医療人であることの、何よりの証明となるのです。
正しい所作は、客観的なフィードバックで身につける
頭では「まっすぐ座る」と分かっていても、長年の癖や、当日の緊張から、無意識のうちに姿勢が崩れたり、体が斜めになったりすることは、誰にでもあることです。ご自身の姿勢の癖は、自分一人ではなかなか気づくことができません。薬剤師専門の転職エージェントでは、模擬面接を通じて、あなたの座り方、視線、手の位置といった、立ち居振る舞い全体を客観的にチェックし、改善点を的確にアドバイスします。
まとめ
面接の緊張を和らげるための心理学テクニックは数多く存在しますが、「90度法」を面接で実践するのは、百害あって一利なしと言えるでしょう。小手先のテクニックに頼るのではなく、背筋を伸ばし、相手の目を見て、真正面から真摯に対話しようとするその姿勢こそが、面接官の心を動かします。その誠実な「向き合う姿勢」が、薬剤師としてのあなたの信頼性を、何よりも雄弁に物語るのです。