面接官の「ご縁がありましたら」、その言葉の真意と向き合い方

面接の最後に、面接官から「本日はありがとうございました。またご縁がありましたら、よろしくお願いいたします」といった言葉をかけられ、その真意について、帰り道でずっと考え込んでしまったというご経験はないでしょうか。この「ご縁がありましたら」という表現を、いわゆる不採用のサイン、お祈りフラグと捉えて、落ち込んでしまう方も少なくないかもしれません。しかし、この言葉には様々なニュアンスが含まれており、一概に不合格のサインと決めつけてしまうのは早計です。ここでは、その言葉が使われる背景と、私たちがどう向き合うべきかについて解説いたします。

「ご縁がありましたら」が使われる場面と意図

面接の締めくくりに使われる「ご縁がありましたら」という言葉は、状況や面接官の意図によって、実に様々な意味合いを持ちます。最も多いのは、合否の結果に関わらず、面接の最後を丁寧な印象で締めくくるための「社交辞令としての定型句」として使われるケースです。この場合、言葉自体に深い意味はなく、合否とは直接関係ありません。一方で、残念ながら不採用を前提として、そのことをやんわりと示唆するために使われる場合も確かに存在します。また、応募者への評価は高いものの、他にも有力な候補者がいて比較検討中である場合や、今回のポジションとは合わないが、将来的に別の機会で改めてお声がけしたいと考えている場合など、ポジティブなニュアンスが含まれていることもあります。

言葉の真意だけで合否は判断できない

このように、「ご縁がありましたら」という言葉は非常に多義的であり、その一言だけで合否を判断することは、ほぼ不可能であると理解することが重要です。面接官個人の口癖であったり、企業全体で面接の締めくくりに使うように指導されている定型句であったりする可能性も十分に考えられます。大切なのは、その言葉一つに一喜一憂するのではなく、面接全体の会話の流れや、質問の内容、ご自身の回答への手応えといった、総合的な視点で面接を振り返ることです。

面接後の不安との向き合い方

面接が終わった時点で、応募者としてできることは全て終わっています。面接官の言葉の裏を読もうと時間を費やすよりも、気持ちを切り替えて、次の選考の準備や新しい求人情報を探すことに意識を向ける方が、転職活動全体にとってはるかに建設的です。もちろん、今回の面接での受け答えを振り返り、「もっとこう答えれば良かった」といった点を次回の面接に活かすための反省は重要ですが、結果をコントロールできない部分で悩みすぎないようにしましょう。

面接の客観的な評価を知るための手段

面接官の言葉の真意を推測しようとしても、結局は憶測の域を出ず、かえって不安が募ってしまうことも少なくありません。ご自身の面接が客観的にどう評価されたのか、その手応えを知りたいと感じるのであれば、薬剤師の転職を専門とする転職エージェントの活用が有効です。転職エージェント経由で応募した場合、担当のコンサルタントが企業の採用担当者に連絡を取り、面接の評価や感触について、可能な範囲で情報を得てくれることがあります。一人で憶測を重ねて悩むよりも、プロを通じて客観的な情報を得ることで、安心して次のステップに進むことができるでしょう。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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