薬剤師の転職面接、「他に受けている企業」で嘘はNG？誠実さが信頼を築く答え方

転職活動の面接で、「他に選考を受けている企業はありますか？」と尋ねられた際、少しでもご自身を有利に見せたい、あるいは本命企業への熱意を強くアピールしたいという気持ちから、「つい、事実と異なることを話してしまったらどうなるだろうか」という考えが、心をよぎる瞬間はないでしょうか。「御社しか受けていません」と熱意を示すための嘘や、逆に、ご自身の人気が高いように見せるための嘘。しかし、そのどちらの嘘も、もし発覚した際には、あなたの社会人としての信頼を根底から揺るがしかねない、非常に高いリスクを伴う行為なのです。この記事では、なぜ嘘がNGなのかという理由と、嘘をつくことなく、ご自身の状況を正直に、かつ戦略的に伝えるための、誠実な答え方について詳しく解説いたします。

なぜ、他社の選考状況で嘘をついてはいけないのか

面接における嘘は、たとえそれが良かれと思ってついたものであっても、発覚した際には取り返しのつかない事態を招きます。もし嘘が発覚すれば、あなたが話すすべての内容の信憑性が失われ、「重要な局面で虚偽の報告をする、不誠実な人物」という、回復不可能なレッテルを貼られてしまいます。これは、患者様の生命に関わる正確な情報を扱い、絶対的な信頼性が求められる薬剤師として、最も致命的な評価です。そして、あなたが思う以上に、嘘が発覚する可能性は高いのです。特に、転職エージェントを介している場合、担当者はあなたの活動状況を把握しているため、すぐに矛盾が明らかになります。

パターン別・嘘のリスクと正しい対応

応募者がつきがちな嘘には、主に二つのパターンがあります。一つは、「御社しか受けていません」という、熱意をアピールするための嘘です。一見、高い志望度を示しているように思えますが、もし他の企業の選考に進んでいることが何らかの形で発覚すれば、「平気で嘘をつく人物」という最悪の印象を与えてしまいます。転職活動で、複数の企業を比較検討するのは当然のことです。この場合の正しい対応は、「他に選考が進んでいる企業はありますが、その中でも御社が第一志望です」と、正直さと熱意を両立させて伝えることです。

もう一つのパターンは、「他にも複数の企業から内定が出そうです」といった、ご自身の市場価値を高く見せ、採用を急がせようとする、駆け引きのための嘘です。これは、非常に傲慢な印象を与えるだけでなく、もしその後の選考で他社に落ちてしまった場合、つじつまが合わなくなり、ご自身の立場を苦しくするだけです。

嘘をつかずに「第一志望」の熱意を伝える方法

嘘に頼らなくても、あなたの熱意を伝える方法は、いくらでもあります。他社の選考状況を正直に話した上で、「しかしながら、本日〇〇様から直接お話を伺い、貴社が取り組まれている〇〇という点に、改めて大変強い魅力を感じました。私の〇〇というキャリアプランは、貴社でこそ実現できると確信しております」といったように、その企業でなければならない理由を、ご自身の言葉で、改めて力強く語るのです。小手先の駆け引きではなく、真摯な対話を通じて熱意を伝えることこそが、本当に面接官の心を動かすのです。

誠実さは、薬剤師としての最も重要な資質

薬剤師の仕事は、患者様や医師との、絶対的な信頼関係の上に成り立っています。その信頼は、日々の誠実な言動の積み重ねによってのみ、築かれるものです。面接で嘘をつくという行為は、この薬剤師としての最も根幹となる資質を、ご自身で否定する行為に他なりません。たとえ正直に話すことで、目の前の選考に不利になる可能性があったとしても、あなたの薬剤師としての長いキャリアを守るのは、その「誠実さ」なのです。

デリケートな交渉は、プロの代理人にお任せください

他社の選考状況をどう伝えるかという質問は、応募者の誠実さと、コミュニケーションにおける交渉力が試される、非常に難しい場面です。「正直に話して、損をしたくない」という気持ちから、つい嘘をつきたくなる心理的なプレッシャーは、一人で抱えるには大きいものです。

このような時、転職エージェントを利用していれば、デリケートな企業とのコミュニケーションや駆け引きを、あなたが直接行う必要は一切ありません。キャリアアドバイザーが、あなたの活動状況を正確に把握した上で、プロとして、あなたにとって最も有利になるように、企業側へ選考状況を伝え、スケジュール調整などの交渉を行います。あなたは、嘘をつく必要も、不利な駆け引きをするストレスもなく、常に誠実な姿勢で、面接そのものに集中することができるのです。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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