薬剤師の転職面接、やむを得ず「喪服」で臨む場合の注意点とマナー

転職活動を進める中で、大切な面接の日と、ご身内の不幸といった弔事が、予期せず重なってしまう。それは、誰にでも起こり得る、心身ともに非常に辛く、どのように対応すべきか、深く苦慮する状況です。「面接にはスーツで行くのが社会人としての常識だが、どうしても喪服しか着ていくことができない…」「この服装で面接会場を訪れることは、あまりにも失礼にあたるのではないだろうか」と、深い悲しみと同時に、面接への強い不安を抱えていらっしゃるそのお気持ち、お察しいたします。この記事では、このような緊急事態において、応募先企業に対して最大限の誠意を伝え、ご自身の状況を理解してもらうための、適切な対応方法とマナーについて詳しく解説いたします。

基本的な考え方：可能な限り「日程変更」を相談する

まず、あなたが取るべき最も誠実で、かつ社会人として適切な対応は、無理に面接へ向かうことではなく、応募先企業に正直に事情をお話しし、面接の「日程変更」をお願いすることです。

ご身内の不幸は、誰にとっても最優先すべき、やむを得ない事情です。その旨を誠実に伝えれば、ほとんどの常識ある企業は、あなたの状況を理解し、快く日程の再調整に応じてくださるはずです。精神的に落ち着かず、万全の状態で臨めない面接では、あなたの本来の魅力は伝わりません。また、無理に面接を強行しようとする応募者よりも、辛い状況の中で、誠実に相談の連絡をくれる応募者の方が、人として信頼できると、面接官は評価するでしょう。日程変更のお願いは、判明した時点ですぐに、まずは電話で直接伝えるのがマナーです。

どうしても「喪服」で臨むしかない場合の心構え

弔事の日程の都合などで、どうしても面接の日程を変更できず、喪服で臨まざるを得ない、という極めて例外的な状況もあるかもしれません。その場合は、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。まず、無断で喪服のまま訪問することは、絶対に避けなければなりません。必ず事前に電話で採用担当者に一報を入れ、「大変申し訳ございません。本日、身内に不幸がありまして、この後、お通夜に参列せねばならず、やむを得ず、略式の喪服でお伺いすることの失礼をお許しいただけますでしょうか」といったように、正直に事情を説明し、その服装で訪問しても良いか、必ず許可を得てください。

喪服で面接に臨む際の、印象を和らげる工夫

もし、企業からの許可を得て、喪服で面接に臨むことになった場合、その重たい印象を少しでもビジネスシーンに近づけるための、最大限の努力と配慮を心がけましょう。もし、時間に少しでも余裕があれば、コンビニエンスストアなどで、白い無地のワイシャツやブラウスを購入し、インナーだけでも着替えることで、印象は大きく変わります。男性の場合、ネクタイは必ず黒無地のものから、ビジネス用の落ち着いた色のものに替えましょう。数珠や、光沢のない黒い布製のバッグ、金具のない靴といった、明らかに弔事用と分かる小物は避け、できるだけビジネス用のものに持ち替える配慮も必要です。

面接当日の振る舞いと言葉遣い

面接室に入室したら、質疑応答が始まる前に、まずご自身の口から、「本日は、このような服装で伺い、大変申し訳ございません」と、改めて深くお詫びの言葉を述べましょう。理由は、「身内に不幸がありまして」と簡潔に述べるだけで十分です。その後は、ご自身の悲しみを引きずることなく、気持ちをプロとして切り替え、面接官との対話に集中する姿勢が、あなたの精神的な強さを示すことにも繋がります。

最も困難な時に、あなたに寄り添うパートナー

ご身内の不幸と大切な面接が重なるという、心身ともに極めて困難な状況において、一人で冷静に判断し、企業とデリケートなコミュニケーションを取るのは、至難の業です。どのような言葉を選んで日程変更をお願いすれば良いのか、その交渉に、大きなストレスと不安を感じることでしょう。

このような最も辛い時にこそ、転職エージェントは、あなたの代理人として、そして精神的な支えとして、大きな力になります。あなたは、担当のキャリアアドバイザーに状況を伝えるだけで構いません。あとは、キャリアアドバイザーが、あなたのプライバシーに最大限配慮しながら、あなたに代わって企業へのお詫びと、丁寧な日程変更の交渉を、迅速かつ確実に行います。あなたは、気まずく、辛い交渉事から解放され、本当に向き合うべき、ご家族とのことやご自身の心のケアに専念することができるのです。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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