薬剤師の転職面接、「特技がない」と悩む前に。日常に隠れた強みを見つける方法
転職活動の面接で、「あなたの特技は何ですか?」と尋ねられた時、「人に誇れるような特別な特技なんて、自分には何もない…」と、答えに窮し、自信をなくしてしまう。そんな風に悩んでしまう応募者の方は、実は非常に多くいらっしゃいます。多くの人が、「特技」という言葉を、スポーツでの輝かしい実績や、プロ級の芸術的なスキルといった、非常にハードルの高いものだと誤解してしまっているのです。この記事では、その思い込みからご自身を解放し、あなたの日常の中に隠れている、薬剤師としての魅力を伝えるための「ささやかでも力強い特技」を見つけ出し、自信を持って語るための方法について詳しく解説いたします。
なぜ「特技はありません」と答えてはいけないのか
まず、面接で特技について尋ねられた際に、最も避けるべきなのは「特にありません」という回答です。面接官は、あなたに誰もが驚くようなすごい特技を期待しているわけではありません。この質問を通じて、あなたが仕事以外で何に関心を持ち、どのように物事に取り組む人物なのか、その「人柄」や「個性」を知りたいのです。「特にありません」という回答は、ご自身の人柄をアピールできる絶好の機会を自ら放棄してしまうだけでなく、「何事にも無関心」「自分をアピールする意欲がない」といった、消極的な人物であるという、意図しないネガティブな印象を与えかねません。
「特技」のハードルを下げる:見方を変えれば全てが強み
「特技」という言葉のハードルを、少し下げて考えてみましょう。特技とは、必ずしも「他人より圧倒的に優れていること」である必要はありません。あなたにとっての特技とは、「意識せずに、なぜか長年続けられていること」であったり、「友人や家族から、よく褒められたことがあること」、あるいは「やっていて全く苦にならないこと」であったりするのです。この視点に立てば、あなたのこれまでの経験や、ごくありふれた日常の中に、必ずアピールできる「特技の種」が隠されているはずです。
日常から「特技」を見つけ出すための3つの視点と例
ここでは、ご自身の日常から特技を見つけ出すための、三つの視点をご紹介します。
一つ目の視点は、「継続していること」です。例えば、毎朝のウォーキングやジョギング、毎日欠かさず日記をつけていること、あるいは長年続けている料理や掃除といった家事も、立派な特技になり得ます。これらは、あなたの「継続力」や「自己管理能力」、そして「計画性」といった、仕事に直結する強みをアピールする材料となります。例えば、「特別な特技というわけではありませんが、毎朝30分のウォーキングを〇年間続けております。この習慣を通じて、日々の体調を管理する自己管理能力と、決めたことを地道に続ける継続力が身につきました。この力は、薬剤師としての健康管理や、日々の学習を継続する上で役立つと考えております」といった形で伝えることができます。
二つ目の視点は、「人から褒められたこと」です。「あなたの説明は分かりやすいね」「いつも机の上がきれいだね」「人の顔を覚えるのが早いね」といった、他人からの評価の中に、あなた自身が気づいていない強みが隠されています。これらは、それぞれ「説明力」「整理整頓能力」「記憶力」といった、薬剤師の業務に直接活かせる能力です。「特技は、整理整頓です。前職の調剤室でも、薬品の配置やラベリングを常に工夫し、同僚から『〇〇さんが整理すると、業務効率が上がる』と褒めていただいた経験がございます。この整理整頓能力は、ミスの許されない在庫管理業務などで活かせると考えております」と、具体的なエピソードを交えて語ると良いでしょう。
三つ目の視点は、「苦にならずにできること」です。細かい作業に没頭することや、特定の分野についてとことん調べ抜くこと、あるいは、ただ黙って人の話を聞くこと。これらは、それぞれ「集中力」「探求心」「傾聴力」という、あなたの才能の表れです。「人の話をじっくりと聞くことが苦になりません。この傾聴の姿勢は、患者様の不安に寄り添う、かかりつけ薬剤師としての業務で最も重要な資質の一つだと考えております」というように、薬剤師としての適性を示すことができます。
あなたの「当たり前」は、他人にとっての「才能」です
「特技がない」と悩む必要は、全くありません。あなたが当たり前のように毎日続けていること、苦もなくこなしていることこそが、他人から見れば、あなたの素晴らしい才能であり、魅力的な個性なのです。しかし、ご自身のことを客観的に見つめ、その価値を再発見し、説得力のある自己PRとして言語化する作業は、一人では非常に難しいものです。そのような時は、転職の専門家であるキャリアアドバイザーにご相談ください。キャリアカウンセリングという深い対話を通じて、あなた自身もまだ気づいていない「隠れた特技」や「本当の強み」を一緒に発掘し、それを応募先企業に最も響くストーリーとして組み立てるお手伝いをいたします。