面接で「存じております」は使っていい?薬剤師のための正しい敬語と伝え方
面接で試される言葉遣いのマナー
薬剤師の転職面接では、これまでの経験や専門知識はもちろんのこと、社会人としてのコミュニケーション能力、とりわけ言葉遣いの丁寧さや適切さも見られています。面接官から「当社の取り組みについてご存知ですか」といった質問をされた際、「はい、存じております」と返答すべきか、それとも他の表現が良いのか、迷った経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。この一言が、あなたの印象を左右することもあります。
「存じております」は敬語として正しいか
まず、「存じております」という言葉自体は、「知っている」の謙譲語である「存じる」に、丁寧語の「おります」が付いた、文法的には正しい敬語表現です。目上の方に対して、自分が何かを知っているという事実を伝える際に用いることができます。したがって、面接の場で使用すること自体が間違いというわけではありません。しかし、言葉は文法的な正しさだけではなく、相手に与える印象や会話の流れも考慮する必要があります。
使う際に注意すべき点と相手に与える印象
「存じております」という表現は、時として少し堅苦しく、言い方によっては尊大な印象を与えてしまう可能性があります。また、この言葉だけで回答を終えてしまうと、そこで会話が途切れてしまい、面接官からは「知っているというだけで、それ以上関心がないのだろうか」と、意欲を疑われてしまうかもしれません。面接官が知りたいのは、単に情報を知っているか否かという事実だけでなく、その情報を知った上で、あなたがどう考え、何を感じたかという点なのです。
好印象を与える言い換え表現と答え方のコツ
面接官の質問の意図に応え、好印象を与えるためには、「知っている」という事実に加えて、ご自身の考えや意欲を添えて述べることが極めて重要です。例えば、「はい、存じております」と返答した後に、「特に、貴社が注力されている在宅医療の推進について、ウェブサイトを拝見し、大変感銘を受けました」といったように、具体的な感想や関心を持った点を続けると、会話が広がり、企業研究をしっかり行っている熱心な姿勢が伝わります。「はい、〇〇の件ですね。以前より関心を寄せておりました」といった、より自然な言い回しを用いるのも良いでしょう。
薬剤師の面接における応用
薬剤師の面接では、より専門的な取り組みについて尋ねられる場面が想定されます。例えば、「当薬局が地域のかかりつけ機能の強化に取り組んでいることはご存知ですか」と質問されたとします。その際には、「はい、存じ上げております。患者様一人ひとりに寄り添い、継続的に健康をサポートするという理念に深く共感しており、私もぜひその一員として、これまでの服薬指導の経験を活かして貢献したいと考えております」というように、知識と自身の意欲を結びつけて回答することで、より説得力が増します。
敬語の不安はプロに相談
面接という緊張する場面では、普段使い慣れない敬語が不自然になったり、咄嗟に適切な言葉が出てこなかったりすることも少なくありません。そうした言葉遣いに関する不安は、転職のプロフェッショナルであるエージェントに相談することで解消できます。薬剤師専門の転職エージェントでは、模擬面接を通じて、あなたの話し方の癖や言葉遣いを客観的に評価し、より良い表現をアドバイスしてくれます。応募先の社風に合わせたコミュニケーションの取り方など、専門家ならではの視点でサポートを受けることができます。
まとめ
「存じております」は正しい敬語表現ですが、面接の場ではその一言で終わらせないことが肝心です。大切なのは、知識をただ披露するのではなく、その情報に自身の想いや意欲を乗せて、自分の言葉で伝えることです。丁寧な準備と練習を重ね、自信を持って面接に臨みましょう。