面接の入退室マナー、「動画」で確認する前に。薬剤師の「信頼感」が伝わる所作のポイント
薬剤師の転職活動において、面接の準備は多岐にわたります。自己PRや志望動機を練り上げると同時に、当日の「入退室」のマナーについて不安を感じ、「転職 面接 入退室 動画」といったキーワードで検索し、お手本となる動画を探された経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
テキストだけでは分かりにくい「お辞儀の角度」や「カバンを置くタイミング」、「ドアの開閉の所作」などを、視覚的に確認したいというお気持ちは、非常に合理的で、準備熱心な証拠です。
しかし、面接官は、動画のお手本と寸分違わぬ完璧な所作を皆様に求めているわけではありません。彼らが見ているのは、その一連の所作に、皆様の「薬剤師としての資質」が表れているかどうかです。
この記事では、皆様が「動画」で確認したいであろう入退室の具体的な手順を詳しく解説するとともに、なぜ薬剤師の面接でその所作が重要視されるのか、その本質についてお伝えいたします。
なぜ薬剤師の面接で「入退室」の所作が重視されるのか
薬剤師という職業は、患者様の命と健康に関わる医薬品を扱うため、日常業務において何よりも「丁寧さ」「正確性」「落ち着き」、そして「周囲への配慮」が求められます。
面接室に入室してから退室するまでの一連の動作が、もし慌ただしく、雑なものであった場合、面接官は「この人は、もしかしたら調剤業務や監査、患者様対応においても、どこか配慮が足りないのではないか」と、無意識のうちに皆様の資質と結びつけて判断してしまう可能性も、ゼロではないのです。
「動画」で学ぶ「型」以上に、その一つひとつの動作に「丁寧な心」を込めることが、皆様の「信頼感」を伝える鍵となります。
【入室の手順】動画のようにイメージする、入室から着席まで
一つひとつの手順を、落ち着いて丁寧に行うことを心がけましょう。
1. ノックから入室
まず、待合室などで担当者に名前を呼ばれたら、面接室のドアの前まで進みます。ドアを「コン、コン、コン」と3回、強すぎず弱すぎない音でノックします。
室内から「どうぞ」「お入りください」という返事があったら、「失礼いたします」と室内に聞こえる声で述べ、軽く一礼(会釈)してからドアを開けて入室します。
2. ドアの閉め方と椅子の横への移動
入室したら、面接官の方に完全に背中を向けないよう、ドアの方に少し斜めに向き直ります。そして、ドアノブを持った手で、静かに、丁寧にドアを閉めます。「バタン!」と大きな音が立たないよう、最後まで手を添えて閉め切る。(※いわゆる「後ろ手」で閉めるのは厳禁です)
ドアを閉めたら、面接官の方に向き直り、一礼した後、用意された椅子の横(通常はドアに近い側)まで進みます。
3. 最初の「挨拶」と着席
椅子の横に立ったら、面接官の目を見て、ハキリとした声で挨拶をします。
「(ご自身の氏名)と申します。本日は、面接のお時間をいただき、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします」
挨拶が終わったら、背筋を伸ばしたまま、最も丁寧なお辞儀(30度~45度)を、心を込めて行います。
ご自身の判断で先に座ることはせず、必ず面接官から「どうぞ、おかけください」と着席を促されてから、「失礼いたします」と再び軽く一礼し、着席します。カバンは椅子の脚元(利き腕と反対側)に自立させて置くのがマナーです。
【退室の手順】最後の印象を決定づける、退室までの流れ
面接がどれほど上手くいったと感じても、最後の「退室」の手順で気を抜いてはいけません。感謝の気持ちを込めて、最後まで丁寧な所作を心がけましょう。
1. 面接終了の合図と感謝
面接官から「本日はこれで終了です」といった言葉があったら、まずは座ったまま、「本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました」と、感謝の気持ちを伝えます。その後、荷物をまとめ、立ち上がります。
2. 退室の「挨拶」
立ち上がったら、入室時と同様に、椅子の横に立ち、面接官の方をしっかりと見て、改めて「本日は、誠にありがとうございました。よろしくお願いいたします」と述べ、深く一礼します。
3. ドアの前での一礼と最後の退室
ドアの前まで進み、退室する直前に、もう一度、必ず面接官の方に向き直ります。「失礼いたします」と述べ、丁寧に最後の一礼(会釈)をします。
静かにドアを開けて退室したら、部屋の外で面接官に背中を向けたままドアを閉める(=後ろ手)のではなく、必ずドアの方に向き直り、面接官に最後の会釈(えしゃく)をするくらいの気持ちで、静かに、丁寧にドアを閉めます。建物を出るまでが面接である、という意識を持ちましょう。
「動画」で学んだ知識を「自信」に変えるために
「動画」やこの記事で「正しい手順(知識)」を知ることは、不安を解消する上で非常に重要です。しかし、皆様の本当の不安は、「ご自身が、本番の緊張した状態でも、正しくできるか」という点にあるのではないでしょうか。
ご自身の「お辞儀の角度」が適切か、無意識のうちに「後ろ手」になっていないか、カバンを置く所作が「慌ただしく」見えていないか…。こうした「ご自身の癖」は、ご自身一人で「動画」を見ているだけでは、なかなか気づき、修正することが難しいものです。
転職エージェントの「模擬面接」というサポート
この「客観的な練習相手」として、私たち転職エージェントは存在しています。
「模擬面接」の場では、皆様の受け答えの内容はもちろんのこと、こうした「入退室」の一連の流れをすべて通しで行っていただき、面接官の視点で、皆様の細かな所作を客観的に拝見し、具体的なアドバイスをさせていただくことが可能です。
「動画」で得た知識を、皆様だけの「自信」に変え、面接本番で本来の力を存分に発揮していただく。それこそが、私達転職エージェントが提供できる、大きな価値の一つです。
面接に関するどんな些細な不安も、どうぞお気軽に私達にご相談ください。







