面接の「入退室」と「下座」。薬剤師の配慮が伝わるビジネスマナー
薬剤師の転職活動において、面接はご自身のキャリアを左右する重要な局面です。多くの方が、自己PRや志望動機といった「話す内容」の準備に万全を期されますが、それと同時に「入退室」の作法、特に「上座(かみざ)・下座(しもざ)」について不安を感じられることも少なくないのではないでしょうか。
面接官は、皆様の受け答えだけでなく、その一連の所作(しょさ)にも注目しています。この記事では、面接本番で慌てず、ご自身の「丁寧さ」や「配慮」をしっかりと伝えるための、入退室と「下座」のマナーについて詳しく解説いたします。
「下座」を意識する、その理由とは
日本のビジネスマナーにおいて、「下座」とは、一般的に入り口に最も近い席や位置を指し、訪問した側や目下の者が座る(立つ)場所とされています。一方、入り口から最も遠い奥まった席が「上座」であり、相手方(この場合は面接官)が座る場所です。
面接の場で「下座」を意識することは、単なる古いルールを守るということ以上の意味を持ちます。それは、ご自身が「謙譲(けんじょう)の精神」を持ち、面接の時間をいただく相手方(面接官)に対して「敬意を払っている」という姿勢を、行動で示すことにつながるからです。
薬剤師という職業は、患者様やそのご家族、医師や看護師といった他職種に対し、常に丁寧な対応と「配慮」が求められる仕事です。面接時のこうした細かな所作は、皆様が「信頼に足る薬剤師」であるかどうかを判断する、一つの重要な材料となっているのです。
【入室編】入室時の「下座」とは、どの位置か
では、具体的に「入室」の際に、どのように「下座」を意識すればよいのでしょうか。
まず、待合室などで担当者に名前を呼ばれ、面接室のドアの前に進みます。ノックは3回が丁寧とされています。室内から「どうぞ」「お入りください」という返事があったら、「失礼いたします」と室内に聞こえる声で述べ、軽く一礼(会釈)してからドアを開けて入室します。
入室したら、面接官の方に完全に背中を向けないよう、ドアの方に少し斜めに向き直り、静かに、丁寧にドアを閉めます。「バタン!」と大きな音が立たないよう、最後まで手を添えて閉め切ることが、丁寧さを示す最初のポイントです。
ドアを閉めたら、面接官の方に向き直り、一礼した後、用意された椅子の横まで進みます。面接の場において、応募者の椅子は、**あらかじめ「下座」の位置(=入り口に近い側)**に用意されていることがほとんどです。
皆様が意識すべき「下座」での作法とは、**「入室後、自ら部屋の奥(上座側)には進まず、入り口に近い、用意された椅子の横にまっすぐ立つ」**という、その一連の行動そのものを指します。
【挨拶・着席編】「下座」での正しい振る舞い
椅子の横(ドアに近い側)に立ったら、そこで初めて面接官の目を見て、ハキリとした声でご自身の氏名を名乗り、挨拶をします。
「(ご自身の氏名)と申します。本日は、面接のお時間をいただき、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします」
挨拶が終わったら、背筋を伸ばしたまま、最も丁寧なお辞儀(30度~45度)を、心を込めて行います。
ご自身の判断で先に座ることはせず、必ず面接官から「どうぞ、おかけください」と着席を促されるのを待ちます。
声をかけられたら、「失礼いたします」と再び述べ、軽く一礼(会釈)してから、静かに着席します。カバンは椅子の脚元(利き腕と反対側)に自立させて置くのがマナーです。
「知っている」だけでは不安が残る、面接マナー
ここまで「下座」を意識した入退室マナーについて解説してまいりましたが、「知識」として知っていても、面接本番の緊張した状態では、無意識のうちにご自身の「癖」が出てしまうものです。
「お辞儀の角度は浅くなかっただろうか」「ドアを閉める音が大きすぎなかったか」「椅子の横に立つ位置は正しかったか」
こうした細かな所作は、ご自身一人ではなかなか気づき、修正することが難しいものでもあります。
転職エージェントが「入退室」の不安もサポートします
私たち転職エージェントは、皆様の薬剤師としてのキャリアプランに最適な求人をご紹介するだけでなく、面接本番で皆様の魅力が最大限に伝わるよう、総合的なサポートを行っております。
その中心となるのが、「模擬面接」です。
模擬面接の場では、皆様の自己PRや志望動機といった受け答えの内容を拝見するのはもちろんのこと、面接室への入室から退室まで、その一連の流れをすべて通しで行っていただきます。
私たちは面接官の視点で、「ノックの仕方」「お辞儀の角度」「下座」を意識した立ち位置、「ドアの閉め方」といった細かな所作の一つひとつを客観的に拝見し、皆様の「癖」を修正するアドバイスをさせていただくことが可能です。
ご自身のマナーに自信が持てれば、面接本番でも余計な緊張をすることなく、「下座」といった細かなルールに心を奪われることなく、本来の「ご自身の経験と熱意」を伝えることに集中していただけます。
面接に関するどんな些細な不安も、どうぞお気軽に私達にご相談ください。







