薬剤師の転職、応募書類で「健康診断書」は必要?
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、募集要項の提出書類の中に「健康診断書」が含まれていたり、選考の過程で提出を求められたりすることがあります。「なぜ健康診断書の提出が必要なのだろうか」「どのタイミングで準備すれば良いのか」と、その扱いに戸惑う方も少なくないでしょう。この記事では、応募書類としての健康診断書の役割と、提出を求められた際の正しい対応について詳しく解説します。
応募書類として健康診断書が求められる理由
企業や医療機関が応募者に健康診断書の提出を求める主な理由は、応募者が入社後に、健康上の問題なく業務を遂行できるかどうかを確認するためです。これは、労働安全衛生規則によって、事業者には常時使用する労働者を雇い入れる際に、健康診断を行うことが義務付けられている(雇入時健康診断)ためです。
特に、患者様の健康と命を預かる薬剤師という職業は、心身ともに健康な状態で業務に臨むことが求められます。採用担当者は、健康診断書を通じて、応募者が安定的かつ継続的に勤務できる健康状態にあるかを確認し、入社後の適切な人員配置を検討するための参考情報としています。
健康診断書は「指示があってから」準備するのが基本
まず、最も重要な原則として、募集要項に明確な指示がない限り、応募者側から自主的に健康診断書を応募書類に同封する必要はありません。一般的に、履歴書や職務経歴書とは異なり、健康診断書は選考の初期段階で必須とされる書類ではないからです。
提出を求められるタイミングとしては、最終面接の前や、内定後、入社手続きの一環として指示されるケースがほとんどです。採用が内定した後に、企業が指定する医療機関で「雇入時健康診断」を受診し、その結果を提出するという流れが一般的です。
募集要項に記載がある場合の対処法
もし、募集要項の提出書類の中に「健康診断書」と明記されている場合は、その指示に従う必要があります。その際に注意すべきなのが、「3ヶ月以内に受診したもの」といったように、有効期間が定められていることが多い点です。直近で会社の定期健康診断などを受けており、その結果の写しが手元にあれば、それが利用できるかを確認しましょう。
もし手元に適切な健康診断書がない場合は、最寄りの医療機関で健康診断を受診し、新たに発行してもらう必要があります。健康診断の結果が出るまでには1週間から2週間程度かかることもあるため、提出期限に間に合うよう、早めに準備に取り掛かることが大切です。
健康状態に関するプライバシーと告知義務
健康診断書には、ご自身のプライバシーに関わる非常にデリケートな情報が含まれています。企業には、そこで得た情報を採用選考以外の目的で利用してはならず、厳重に管理する義務があります。
一方で、応募者側も、ご自身の健康状態について正直に申告する「告知義務」があります。もし、業務に支障をきたす可能性のある持病などを隠して入社し、その後に業務の継続が困難になった場合、採用時の告知義務違反として、信頼関係が損なわれるだけでなく、最悪の場合は解雇の理由となる可能性もあります。
業務遂行に影響のない健康上の課題については、過度に心配する必要はありません。大切なのは、ご自身の現在の健康状態を正直に伝え、誠実な姿勢で選考に臨むことです。その姿勢こそが、採用担当者からの信頼を勝ち取るための第一歩となります。