薬剤師の転職、「応募書類は履歴書のみ」の場合の正しい対応
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、応募先の募集要項に提出書類として「履歴書のみ」と記載されているケースに遭遇することがあります。その際に、「本当に職務経歴書を提出しなくても良いのだろうか」「履歴書だけで、自分の経験やスキルが十分に伝わるだろうか」と、その対応に不安を感じてしまう方も少なくありません。この記事では、「履歴書のみ」と指示された場合の正しい考え方と、限られたスペースの中でご自身の魅力を最大限にアピールするための書き方のポイントを詳しく解説します。
なぜ「履歴書のみ」の指示があるのか
企業や医療機関が応募書類を「履歴書のみ」とするのには、いくつかの理由が考えられます。一つは、応募者が非常に多い人気求人で、まずは基本的な経歴で一次選考(スクリーニング)を行いたいという場合です。また、中小規模の薬局や病院で、採用プロセスが比較的シンプルであり、詳細は面接で直接確認したいと考えているケースもあります。
どのような理由であれ、採用担当者は「指示に正確に従えるか」という、応募者の基本的なビジネスマナーも見ています。したがって、まずは募集要項の指示通りに、履歴書のみを提出するのが基本の対応となります。
職務経歴書を自主的に送付するのは避けるべきか
「求められていない職務経歴書を自主的に送付すれば、熱意が伝わるのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。確かに、その意欲が評価される可能性もゼロではありません。しかし、採用担当者によっては、「指示を理解していない」「自己中心的な人物かもしれない」といった、かえってネガティブな印象を与えてしまうリスクも伴います。
最も安全で推奨されるのは、「指示通り履歴書のみを提出し、その中で最大限にアピールする」ことです。もし、どうしても職務経歴書で伝えたいことがある場合は、送付状に「履歴書では伝えきれない経験を職務経歴書にまとめましたので、ご一読いただけますと幸いです」と一言添えるという方法もありますが、これは応募先の社風などを考慮した上で、慎重に判断すべきでしょう。
履歴書のみで経験やスキルを効果的にアピールする方法
職務経歴書がない分、履歴書の限られたスペースを最大限に活用し、ご自身の経験やスキルを凝縮して伝える工夫が求められます。
特に重要となるのが、「職歴」欄の書き方です。単に「株式会社〇〇薬局 入社」と書くだけでなく、その下や横に、「内科・小児科を中心に1日平均100枚の処方箋を応需。在宅医療(個人宅5件)にも従事。」といったように、具体的な業務内容や経験の規模を簡潔に書き加えましょう。これにより、職務経歴書の役割の一部を補い、採用担当者はあなたのスキルレベルを具体的にイメージできます。
そして、最も力を注ぐべきなのが「自己PR」欄と「志望動機」欄です。自己PRでは、具体的な行動と、それによってもたらされた成果(可能であれば数字を用いる)をセットで記述します。「〇〇を提案し、患者様の待ち時間を平均5分短縮した」「後輩薬剤師の指導役として、業務マニュアルの改訂に携わった」など、あなたの主体性や貢献意欲が伝わるエピソードを盛り込みましょう。
面接への準備:口頭での職務経歴説明がより重要になる
応募書類が履歴書のみの場合、書類選考で伝えられる情報には限りがあります。そのため、面接の場では、あなたのこれまでのキャリアについて、より深く、そして具体的に説明する能力が求められます。面接官は、ほぼ間違いなく「これまでの職務経歴について、詳しく教えてください」と質問してくるでしょう。
この質問に備え、たとえ提出はしなくとも、職務経歴書を作成するくらいのレベルで、ご自身のキャリアの棚卸しと整理を事前に行っておくことが不可欠です。これまでの勤務先ごとに、どのような業務に、どのように取り組み、どのような成果を上げてきたのかを、ご自身の言葉でスムーズにプレゼンテーションできるように、万全の準備をして面接に臨みましょう。