キャリアパスは誰が決める?薬剤師が主体的に未来を築くための考え方
薬剤師としてキャリアを歩む中で、「ご自身のキャリアパスをどう考えていますか」と問われた際、「キャリアパスは会社が決めるものではないのか」と、疑問に感じたことはありませんか。特に、日本においては、長く組織に属し、会社が示す道筋に沿ってキャリアを重ねていくという考え方が根強くありました。しかし、薬剤師の働き方が多様化する現代において、ご自身の職業人生を豊かにするためには、この「キャリアパスは誰が決めるのか」という問いに対する、新しい答えを持つことが不可欠です。
キャリアパスとキャリアプランの違い
まず理解しておきたいのは、「キャリアパス」と「キャリアプラン」という二つの言葉の違いです。一般的に「キャリアパス」とは、企業や組織が従業員に対して提示する、昇進や昇格、職務経験のモデルケースや道筋を指します。それは、一つの組織の中でどのようなステップを経て成長していけるのかを示した、いわば「企業内の地図」のようなものです。
一方で、「キャリアプラン」とは、ご自身の価値観や興味・関心に基づき、どのような職業人生を送りたいかを主体的に描く、「個人の設計図」を指します。この二つは密接に関連しており、本来、キャリアパスはご自身のキャリアプランを実現するための一つの選択肢として存在します。
答え:キャリアの道筋は「あなた自身」が決める
結論から言えば、あなたのキャリアパスの最終的な決定権は、他の誰でもない、あなた自身にあります。企業が提示するキャリアパスは、あくまでも組織が用意したモデルルートの一つに過ぎません。そのルートを歩むかどうか、あるいは、別のルートを探すのか。その選択は、ご自身のキャリアプランという、内なる羅針盤に従うべきなのです。
変化の激しい時代において、企業が個人のキャリアを生涯にわたって保証してくれるという考え方は、もはや現実的ではありません。主体的にご自身のキャリアプランを描き、その実現に最適なキャリアパスを選択していく姿勢こそが、長期的に充実した職業人生を送るための鍵となります。
主体的なキャリアパスの描き方
では、どのようにしてご自身のキャリアパスを描いていけば良いのでしょうか。その第一歩は、ご自身の内面と向き合う「自己分析」です。これまでの経験を振り返り、どのような業務にやりがいを感じ、何を大切にしたいのかというご自身の価値観の軸を定めることが、全ての始まりとなります。
次に、その価値観を基に、どのような薬剤師になりたいかという、ご自身のキャリアプランを具体的に描きます。専門性を究めるスペシャリストの道、組織を率いるマネジメントの道、あるいは臨床現場を離れた新たなフィールドへの挑戦。多様な選択肢の中から、ご自身が心から納得できる未来像を描き出すのです。
企業が示すキャリアパスとのすり合わせ
ご自身のキャリアプランが明確になったら、次に行うべきは、そのプランが、現在あるいはこれから属そうとする組織が提示するキャリアパスと、どの程度合致しているかを見極めることです。企業の理念や事業戦略、そしてどのような人材を求めているのかを深く理解し、ご自身の未来像と重ね合わせてみましょう。もし、そこに大きな隔たりがあるのであれば、環境を変える、すなわち転職も有効な選択肢の一つとなります。
専門家と共に、最適なキャリアパスを描く
ご自身のキャリアパスについて一人で考え抜き、その実現に最適な環境を一人で見つけ出すことは、決して容易なことではありません。特に、各企業がどのようなキャリアパスを用意し、どのような人材を求めているかといった詳細な内部情報は、個人で収集するには限界があります。
そのような時、薬剤師のキャリア市場に精通した転職エージェントのキャリアアドバイザーは、心強いパートナーとなり得ます。客観的な視点からご自身の経験や価値観を整理し、ご自身では気づかなかった新たなキャリアの可能性や、理想のキャリアパスを実現するための最適な道を共に考え、提示してくれます。キャリアパスは誰かに決められるものではなく、ご自身で築き上げていくもの。その重要なプロセスを、専門家と共に歩んでみてはいかがでしょうか。