薬剤師の履歴書、「一身上の都合により退職」の正しい使い方
薬剤師の皆様が転職活動で職務経歴を記載する際、ほとんどの方が目にする「一身上の都合により退職」という言葉。自己都合で退職した場合に用いる定型句として広く知られていますが、その意味を正しく理解し、適切な場面で使うことが、ビジネスマナーに則った応募書類を作成する上で不可欠です。この記事では、履歴書における「一身上の都合により退職」の正しい使い方や、その他の退職理由の書き方について詳しく解説します。
「一身上の都合」が指す具体的な理由
「一身上の都合」とは、会社側の事情ではなく、ご自身の個人的な事情によって退職した場合に用いる表現です。具体的には、キャリアアップやキャリアチェンジを目的とした転職、結婚や出産・育児、ご家族の介護、転居といった家庭の事情、あるいはご自身の病気療養など、理由は多岐にわたります。履歴書においては、これらのプライベートな内容を詳細に記述する必要はなく、「一身上の都合により退職」と簡潔にまとめるのが一般的です。
履歴書への正しい書き方
職歴欄には、退職した会社の名称を記載した行に、「一身上の都合により退職」と書き添えます。例えば、「令和〇年〇月 株式会社〇〇薬局 一身上の都合により退職」のように、一行にまとめて記載するのがシンプルで分かりやすい書き方です。在籍期間が長く、複数の部署を経験している場合は、最後の職歴を記した一行下の行に「一身上の都合により退職」と記載すると、より丁寧な印象になります。どちらの書き方でも間違いではありません。
自己都合ではない場合の退職理由
退職の理由がご自身の都合ではない場合は、「一身上の都合」という言葉は使用しません。例えば、契約社員や派遣社員として勤務し、定められた契約期間が終了して退職した場合は、「契約期間満了により退職」と事実を正確に記載します。また、会社の倒産や事業所の閉鎖、人員整理といった会社側の事情による退職の場合は、「会社都合により退職」と記します。これは、失業手当の給付条件などにも関わる重要な情報ですので、正しく記載することが求められます。
面接で退職理由を伝える際のポイント
履歴書に「一身上の都合により退職」と記載した場合、面接の場では、その具体的な理由について質問されることがほぼ間違いありません。この際、たとえ前職に対する不満が退職のきっかけであったとしても、それをそのまま伝えるのは避けるべきです。給与や労働時間、人間関係といったネガティブな理由を前面に出してしまうと、採用担当者に「不満を抱きやすい人」「環境適応能力に懸念がある」といった印象を与えかねません。
退職理由は、「専門性を高め、認定薬剤師の資格取得を目指したい」「地域医療に深く貢献できる在宅医療に挑戦したい」というように、ご自身の将来のキャリアプランに繋がる、前向きでポジティブな言葉に変換して伝えることが重要です。応募先の薬局や企業で、ご自身の経験をどのように活かし、貢献していきたいかという未来志向の姿勢を示すことが、転職成功の鍵となります。