薬剤師の転職、履歴書で使う敬語の基本マナー|「貴社」の正しい使い方とは
履歴書は、あなたのこれまでの経歴や保有スキルを伝えるための書類であると同時に、社会人としての常識や人柄を示すためのものでもあります。特に、そこで使われる「敬語」の正確さは、文章全体からにじみ出る知性や品格を決定づけ、採用担当者に与える印象を大きく左右する重要な要素です。この記事では、薬剤師の転職活動において、丁寧で誠実な人柄が伝わる、履歴書における正しい敬語の使い方と基本マナーを解説します。
履歴書の文体は「です・ます調」の丁寧語で統一する
まず、履歴書を作成する上での最も基本的なルールは、文章の文体を「です・ます調」の丁寧語で統一することです。特に、自己PRや志望動機といった、ご自身の考えや経験を文章で説明する欄では、必ずこの文体を用いましょう。「~である」「~と考える」といった常体(だ・である調)は、レポートや論文などで使用されるものであり、応募書類で使うと、相手への敬意に欠ける、あるいは高圧的な印象を与えてしまう可能性があります。文章の隅々にまで丁寧な言葉遣いを意識することが、あなたの真摯な姿勢を伝える第一歩です。
「貴社」と「御社」の明確な使い分けをマスターする
敬語の中でも、特に転職活動で頻繁に使い、かつ間違いやすいのが、相手の会社を指す敬称です。これは「書き言葉」と「話し言葉」で、使用する言葉が明確に異なります。
履歴書や職務経歴書、送付状、Eメールといった、文字として記す場面では「貴社(きしゃ)」を使用します。一方で、面接や電話、企業説明会など、口頭で話す場面では「御社(おんしゃ)」を使用します。履歴書の中では、応募先企業のことはすべて「貴社」と記載するのが正しいマナーです。また、応募先が病院であれば「貴院」、薬局であれば「貴局」、社会福祉法人であれば「貴法人」と、組織の形態に合わせた敬称を使い分けることで、より一層丁寧で、企業研究をしっかり行っているという印象を与えることができます。
尊敬語と謙譲語を正しく使う
相手への敬意をより深く示すためには、丁寧語に加えて、尊敬語(相手や第三者の行為を高める言葉)と謙譲語(自分自身の行為をへりくだって表現する言葉)を適切に使い分けることが重要です。例えば、企業の求人情報を見たことを伝える際は、「貴社の求人を見ました」ではなく、謙譲語を使って「貴社の求人を拝見しました」と表現する方が、よりフォーマルで洗練された印象になります。
また、自身の考えを述べる際も、「〇〇と考えます」よりは、「〇〇と存じます」という謙譲語を用いることで、控えめで知的な雰囲気を演出できます。
二重敬語など、間違いやすい表現に注意する
敬意を示そうとするあまり、過剰な敬語表現になってしまう「二重敬語」には注意が必要です。例えば、「おっしゃられる」は、「言う」の尊敬語である「おっしゃる」に、さらに尊敬の助動詞「られる」が付いた二重敬語です。この場合は、シンプルに「おっしゃる」とするのが正しい日本語です。同様に、「拝見させていただく」も、「見る」の謙譲語である「拝見する」に「させていただく」が付いた過剰な表現であり、「拝見します」とするのが適切です。シンプルで正しい敬語を心がけることが、あなたの教養の高さを示します。