薬剤師の履歴書、「農業手伝い」の経験を強みに変える書き方
薬剤師の転職活動で履歴書を作成する際、職歴にブランク期間があったり、実家が農家であるなどの理由で「農業手伝い」をしていた経験を、どのように書けば良いか悩むことがあるかもしれません。「専門職である薬剤師のキャリアとは関係ないから書かない方が良いのだろうか」「正直に書いても、どう評価されるのだろうか」と、その扱いは非常にデリケートな問題です。しかし、この一見すると異色な経歴も、書き方次第であなたの人柄や潜在能力を伝える、貴重なアピールポイントになり得ます。この記事では、農業手伝いの経験を履歴書で効果的に伝えるための正しい書き方を解説します。
「農業手伝い」の経験は履歴書に書くべきか
まず結論として、職歴に空白期間(ブランク)を作らないため、また、ご自身の経験を誠実に伝えるために、長期間にわたって従事していた「農業手伝い」は履歴書に記載することをお勧めします。特に、数ヶ月以上にわたる空白期間がある場合、採用担当者はその期間に何をしていたのかを必ず気にします。その際に、農業という生産活動に真摯に取り組んでいた事実は、あなたの働く意欲や責任感を示す上で、何 も書かないよりもはるかにポジティブな印象を与えます。ただし、週末に数回手伝った程度のごく短期間の経験であれば、あえて職歴欄に記載する必要はありません。
職歴欄への具体的な書き方
職歴欄に農業手伝いの経験を記載する場合は、それが家業の手伝いであることを明確にしつつ、どのような業務に従事していたのかを簡潔に記します。正社員としての職歴とは区別し、客観的な事実として伝えましょう。「入社」や「退社」といった言葉は使わず、「従事」や「退職」といった表現を用いるのが適切です。
記入例は以下のようになります。
令和〇年 4月 (家業である農業に専念するため前職を退職)
令和〇年 5月 家業の農業(稲作)に従事
作物の栽培管理、収穫、出荷作業全般を担当
令和〇年 9月 (薬剤師として復職するため退職)
このように、なぜ農業に従事し、なぜ再び薬剤師として働きたいと考えたのか、その背景が分かるように補足しておくと、キャリアの一貫性が伝わりやすくなります。
自己PR欄で経験をアピールに繋げる方法
農業手伝いの経験を、さらに強力なアピールに変えるためには、「自己PR」欄の活用が非常に有効です。職歴欄で示した事実に基づき、その経験を通じてどのようなスキルや強みを培ったのかを、薬剤師の仕事と結びつけて具体的に説明しましょう。
体力や自己管理能力をアピールする
農業は、天候に左右されながら、季節や作物の成長に合わせて計画的に作業を進める必要があります。また、早朝からの作業など、体力と自己管理能力が不可欠です。
例文:「家業の農業に従事する中で、天候や作物の生育状況を常に把握し、年間スケジュールを管理する計画性を養いました。また、早朝からの作業を続けることで、薬剤師として求められる体力と、日々の体調を整える自己管理能力にも自信があります。」
責任感や継続力をアピールする
作物を種まきから収穫まで育てる過程は、まさに生命を預かる仕事です。この経験は、患者様の健康と命に関わる薬剤師の仕事に対する責任感と通じるものがあります。
例文:「作物を種から育て、収穫して出荷するまでの一連の工程に責任者として携わりました。天候不順などの困難な状況も乗り越え、一つのことを最後までやり遂げる責任感と忍耐力を培いました。この経験で得た強い責任感を、患者様一人ひとりへの服薬指導に活かしていきたいと考えております。」