薬剤師の履歴書、論文経験の正しい書き方とアピール法
薬剤師としての専門性や探求心を示す上で、学生時代の卒業論文や、これまでのキャリアで執筆に関わった学術論文、学会での発表経験は、非常に強力なアピールポイントとなり得ます。しかし、これらの学術的な業績を、履歴書や職務経歴書にどのように記載すれば、採用担当者にその価値が効果的に伝わるのか、その書き方に悩む方も少なくないでしょう。この記事では、あなたの研究経験を転職活動の強みに変えるための、論文業績の正しい書き方とアピール術について詳しく解説します。
論文経験は履歴書に書くべきか?
まず結論として、特に病院や製薬企業、研究機関など、専門性や研究マインドが重視される職場に応募する場合、論文や学会発表の経験は積極的に記載すべきです。これらの業績は、あなたが特定の分野において深い知識を有していること、そして論理的思考力や探求心、粘り強さといった、薬剤師の業務にも通じる重要な資質を兼ね備えていることの客観的な証明となります。調剤薬局やドラッグストアへの応募であっても、あなたの学習意欲や向上心を示す上で、有効なアピール材料となり得ます。
記載する場所:履歴書と職務経歴書の役割分担
一般的な日本の履歴書には、論文業績を記載するための専用の欄は設けられていません。そのため、論文に関する詳細な情報は、履歴書とは別に提出する「職務経歴書」に記載するのが基本となります。職務経歴書の中に「研究業績」や「学会発表」といった項目を設け、そこで業績を一覧で示します。
履歴書の「自己PR」欄や「特記事項」欄では、「〇〇に関する研究論文の執筆経験があり、詳細は職務経歴書に記載しております」というように、アピールしたい業績の存在を簡潔に示唆し、職務経歴書へ誘導する形をとるのがスマートです。
論文業績の正しい書き方(フォーマット)
職務経歴書に論文業績を記載する際は、第三者がその情報を正確にたどれるよう、学術的なルールに則った形式で記述することが重要です。一般的には、以下の要素を順番に記載します。
まず、共著者を含めた全ての「著者名」を論文に記載されている順番通りに記し、ご自身の名前に下線を引きます。次に「論文タイトル」、そして「掲載誌名」、「巻数・号数」、「ページ」、最後に「発行年(西暦)」を記載します。また、論文の種類に応じて「原著論文」「総説」「症例報告」のように分類したり、「査読あり」といった情報を補足したりすると、より丁寧な印象になります。
記入例:
【研究業績】
・原著論文(査読あり)
<u>薬剤師 太郎</u>, 〇〇 二郎, △△ 三郎. 「〇〇における△△の効果に関する研究」. 日本〇〇学会雑誌, 25(3), 110-118, 2023.
学会発表の場合も同様に、「演者名(ご自身に下線)」「演題名」「学会名」「開催年月日」「開催地」を記載します。
自己PRで論文経験を強みに変える方法
単に論文のリストを提示するだけでは、あなたの本当の価値は伝わりません。その研究経験を通じて、どのようなスキルを身につけ、それを入社後にどう活かせるのかを「自己PR」欄で具体的に語ることが、他の応募者との差別化に繋がります。
例えば、「卒業研究では、〇〇というテーマに粘り強く取り組み、仮説と検証を繰り返す中で、課題に対する論理的な分析力と問題解決能力を養いました。この経験は、薬剤師として臨床現場で直面する複雑な症例に対し、根拠に基づいた最適な処方提案を行う上で必ず活かせると考えております」というように、研究のプロセスで得た能力を、薬剤師の業務内容と結びつけて説明しましょう。研究という経験を、あなたならではの強みとして、自信を持ってアピールしてください。