薬剤師の履歴書、「特技がない」と悩んだ時の対処法と例文
薬剤師の転職活動で履歴書を作成する際、多くの項目の中でも特に「趣味・特技」の欄を前に、「自分には人に誇れるような特技なんてない」「何を書けば良いのだろうか」と、深く悩んでしまう方も少なくありません。しかし、特技がないと感じていても、引け目を感じたり、この欄を空欄にしたりする必要は全くありません。この記事では、特技がないと悩む薬剤師の方が、ご自身の魅力を効果的に伝え、人柄をアピールするための考え方と書き方のポイントを詳しく解説します。
採用担当者は「特技」から何を見ているか
まず理解しておきたいのは、採用担当者は、あなたが全国大会で優勝した経験や、プロ級のスキルを求めているわけではない、ということです。この欄を通じて知りたいのは、あなたのスキルや経歴だけでは伝わらない「人間性」や「個性」、そして仕事への取り組み方を推し量るヒントです。例えば、長年続けていることであればあなたの「継続力」が、チームで行うことであれば「協調性」が伝わります。また、面接の場で会話を弾ませるための、アイスブレイクのきっかけとなることも少なくありません。大切なのは、実績の有無ではなく、あなたがどのようなことに興味を持ち、どう向き合っているかという姿勢です。
「特技」という言葉の捉え方を変えてみる
「特技がない」と感じてしまう最も大きな原因は、「特技」という言葉を「他人より抜きん出て優れている、特別な技能」と、非常にハードルを高く設定してしまっていることにあります。しかし、履歴書における特技は、もっと身近なもので構いません。「人より少し得意なこと」「好きで続けていること」「やっていると楽しいと感じること」といった視点で、ご自身の日常を振り返ってみましょう。あなたにとっては当たり前のことでも、他人から見れば立派な長所や特技であることは、決して珍しくないのです。
日常の中にある「特技」の見つけ方と例文
あなたの日常的な行動や習慣の中に、薬剤師の仕事にも通じる強みが隠されています。
丁寧さや正確性をアピールしたい場合
薬剤師の業務に不可欠な資質は、日常の習慣から見つけ出すことができます。
特技:整理整頓
「日頃から身の回りを整理整頓し、常に必要なものがどこにあるか把握できる状態を保つことを得意としております。この習慣は、医薬品の在庫管理や調剤業務において、ミスのない正確な作業を遂行する上で役立つと考えております。」
その他の例:料理(レシピを正確に再現する)、データ入力、掃除
継続力や計画性をアピールしたい場合
長期間続けていることは、あなたの粘り強さや自己管理能力の証明になります。
特技:読書
「月に5冊以上、様々なジャンルの本を読むことを習慣にしています。知らない知識に触れることが好きで、目標を決めて計画的に読み進めることで、継続的な学習能力を養いました。この探求心を、薬剤師として常に最新の医薬品情報を学び続ける姿勢にも活かしていきたいです。」
その他の例:ジョギング、資格の勉強、旅行の計画を立てること
コミュニケーション能力をアピールしたい場合
人との関わりの中で、あなたが自然と行っている得意なことも立派な特技です。
特技:人の話を丁寧に聞くこと
「友人や家族からよく相談事を持ちかけられます。相手の話にじっくりと耳を傾け、その気持ちに寄り添うことを大切にしております。この傾聴力は、患者様の不安や疑問を丁寧に引き出し、信頼関係を築く上で必ず活かせると考えております。」
その他の例:人の顔と名前を覚えること、笑顔で挨拶すること
どうしても思いつかない場合の最終手段とNG例
もし、どうしても特技が思い浮かばなくても、「特になし」と記載したり、空欄のまま提出したりするのは絶対に避けましょう。自己分析ができていない、あるいは入社意欲が低いと受け取られてしまう可能性があります。その場合は、正直に「現在、夢中になれるものを探している最中です。何事にも積極的に挑戦したいと考えております」というように、前向きな意欲を示す書き方も一つの手です。大切なのは、あなたという人物を伝えようとする誠実な姿勢です。