薬剤師の履歴書、役職は書かない方が良い?正しい判断基準と書き方
薬剤師としてキャリアを重ね、管理薬剤師や薬局長といった責任ある役職を経験された方が転職活動を行う際、「この役職経験は、履歴書に書かない方が良いのだろうか」「役職を書くと、かえって応募できる求人の幅を狭めてしまうのではないか」と、その記載について深く悩むことがあります。しかし、役職経験はあなたのキャリアにおける重要な実績であり、その事実を意図的に記載しないという選択は、あなたの経歴を正しく伝えないだけでなく、重大なリスクを伴う可能性があります。この記事では、履歴書における役職の記載に関する正しい考え方と、その経験を効果的にアピールするための書き方について詳しく解説します。
結論として役職は正直に、かつ正確に書くのが基本
まず、最も重要な原則として、会社から正式に与えられた役職は、履歴書の職歴欄にすべて、時系列に沿って正直に記載するのが絶対的なルールです。管理薬剤師や薬局長といった役職は、あなたのマネジメント能力や責任感、そして専門性の高さを客観的に証明する、非常に重要な経歴の一部です。この事実を意図的に記載しない行為は、ご自身の貴重なアピール機会を損失するだけでなく、経歴を偽っていると見なされる「経歴詐称」のリスクを伴います。採用担当者は、応募者の「誠実さ」を厳しく見ています。すべての経歴を正確に記載することが、信頼関係の第一歩です。
なぜ役職を書かないという選択は避けるべきなのか
役職を書かないという選択が推奨されない理由は、主に二つあります。一つは、前述の通り「経歴詐称」を疑われるリスクです。入社手続きの際に提出する「雇用保険被保険者証」などから、過去の経歴は明らかになります。そこで記載のない役職が発覚すれば、信頼を失い、内定取り消しといった事態を招きかねません。
二つ目の理由は、ご自身の価値を正しく伝えられないという「機会損失」です。例えば、管理薬剤師の経験は、医薬品の在庫管理や法令遵守、スタッフの教育といった、薬局運営に不可欠なスキルを保有していることの証明となります。これらの経験は、一般の薬剤師として応募する場合であっても、あなたの視野の広さや問題解決能力の高さを示す強みとなり得ます。その貴重なアピール材料を、自ら手放す必要はありません。
「役職を書くと不利になるのでは?」という懸念への対処法
役職経験があることで、「一般の薬剤師の求人に応募しにくい」「マネジメント職しか興味がないのでは」と誤解されることを懸念される方もいらっしゃるでしょう。その場合は、職歴欄で事実を正直に伝えた上で、「志望動機」や「自己PR」の欄で、ご自身のキャリアに対する考え方を丁寧に説明することが有効な対処法となります。
例えば、「管理薬剤師として店舗運営に携わる中で、改めて患者様一人ひとりと向き合う臨床業務の重要性を再認識いたしました。今後は、これまでのマネジメント経験で培った広い視野を活かしつつ、プレイヤーとして、貴局が目指す地域密着型のかかりつけ薬剤師の役割に専念したいと考えております」というように説明すれば、役職経験をポジティブな強みとして示しつつ、今回の転職における明確な目的意識を伝えることができます。
履歴書への正しい役職の書き方
職歴欄に役職を記入する際は、時系列に沿って、就任した年月とともに分かりやすく記載することが大切です。
記入例:
平成〇年 4月 株式会社〇〇メディカル 入社
〇〇薬局に配属
令和〇年 4月 同薬局 管理薬剤師に就任
令和〇年 4月 九州エリア エリアマネージャーに就任
そして、その役職で具体的にどのような職務を遂行し、どのような実績を上げたのかといった詳細な内容は、別途作成する「職務経歴書」で詳しくアピールします。履歴書では事実を正確に記し、職務経歴書でその価値を具体的に説明するという役割分担を意識しましょう。あなたのこれまでの貴重な経験を隠すのではなく、自信を持って、そして誠実に伝えることが、転職成功への鍵となります。