薬剤師のスキルアップと「年齢」。キャリア形成に「遅すぎる」はあるか?
薬剤師として日々の業務に携わる中で、「スキルアップしたい」という思いを持つことは、ご自身のキャリアを豊かにするために非常に重要です。しかし、その一方で、「もうこの年齢だから、新しいことを学ぶのは難しいのではないか」「若い頃にもっと勉強しておけばよかった」といった、「年齢」に関する不安やためらいを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
スキルアップに「年齢」は関係あるか
まず結論から言えば、薬剤師のスキルアップに「遅すぎる」ということは決してありません。医療は日進月歩の世界であり、新しい医薬品、新しい治療法、変化する医療制度に対応し続けるためには、何歳になっても学び続ける姿勢が「薬の専門家」として不可欠です。実際に、50代や60代からでも在宅医療といった新しい分野に挑戦し、第一線で活躍されている薬剤師の方も数多くいらっしゃいます。大切なのは「年齢」そのものではなく、変化を恐れずに学び続けようとする意欲です。
20代薬剤師のスキルアップ:基礎力の徹底
とはいえ、キャリアのステージ、すなわち「年齢」によって、求められるスキルや、取り組むべきスキルアップの優先順位が異なるのも事実です。例えば20代は、薬剤師としての「基礎体力」を徹底的に養う非常に重要な時期です。調剤技術、監査能力、服薬指導の基本、薬歴管理など、一人前の薬剤師として求められる業務を正確かつ迅速に遂行できるスキルを磨き上げることが最優先となります。この時期に培った強固な土台が、30代以降のキャリアの大きな資産となります。
30代薬剤師のスキルアップ:専門性の追求
30代になると、基礎的な業務は一通りこなせるようになり、次のステップとして「専門性」や「応用力」が求められ始めます。ご自身の興味・関心がある分野、例えば、がん、感染症、精神科、あるいは在宅医療といった特定の領域の知見を深め、認定薬剤師や専門薬剤師の資格取得を目指すのも良いでしょう。また、後輩薬剤師の指導・教育といった、チーム内での役割を意識したスキルアップも、この「年齢」から重要性を増してきます。
40代薬剤師のスキルアップ:マネジメントと組織貢献
40代は、ご自身の専門性に加え、組織全体を見渡す視野や「マネジメント能力」が期待される「年齢」です。薬局長や管理薬剤師として、店舗や部門の運営、スタッフの労務管理、教育体制の構築といった、組織に貢献するスキルが求められることが多くなります。あるいは、ご自身の高度な専門性を活かし、地域の多職種連携の中心的存在として、薬剤師の専門性を院外・局外に発信していく役割も期待されます。
50代以降のスキルアップ:経験と人間力
50代以降の薬剤師の皆様が持つ最大の強みは、これまでに積み重ねてきた豊富な「経験」と「知識」、そして何よりも「人間力」です。その深い知見を活かして、後進の育成や指導にあたるメンターとしての役割や、患者様や地域住民から厚い信頼を寄せられる「かかりつけ薬剤師」としての円熟した対応力は、若い「年齢」にはない大きな価値です。また、これまでの経験があるからこそ、新しい分野への挑戦も、ご自身の知見と結びつけてスムーズに進められる場合があります。
「年齢」に関わらずスキルアップできる環境とは
どの「年齢」であっても、スキルアップを実現するためには、個人の意欲だけでなく「環境」も非常に重要です。年齢や経験に関わらず、新しい知識や技術の習得を歓迎し、サポートしてくれる風土があるか。研修制度や資格取得支援制度は整っているか。そして何よりも、ご自身が望むスキルアップ(例えば、在宅医療の経験、マネジメントの経験など)に挑戦できる機会が、その職場にあるかどうかが鍵となります。
「年齢」とキャリアプランに関するご相談
「自分の年齢で、今から新しいスキルアップを目指しても評価されるだろうか」「今の年齢で転職して、新しい環境でやっていけるだろうか」といった不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ご自身の「年齢」をネガティブに捉えるのではなく、その「年齢」だからこそ持つ強みを活かし、次のステップに進むためのキャリアプランを考えることが大切です。
年齢を強みに変えるキャリアを
もし、ご自身の「年齢」と今後のキャリアプラン、スキルアップの方向性についてお悩みであれば、一度キャリアの専門家に相談してみるのも一つの方法です。薬剤師専門の転職エージェントは、あらゆる「年齢」層の薬剤師のキャリア相談に応じてきた豊富な実績があります。ご自身のこれまでのご経験を客観的に棚卸しし、それを「強み」として活かせるスキルアップの道筋や、それが実現できる最適な職場環境について、一緒に考えてみてはいかがでしょうか。